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慣らし保育前夜のできごと

上の娘が産まれた時は仕事を続けて、産休育休を取って1歳の誕生日に復職した。
毎朝託児所に送ると泣いてしがみついて離れなかったこと、子どもが小さい時に一緒にいられなかったこと、自分にとってはトラウマのような思い出だった。
2人目はもう少し一緒にいたいという思いもあって退職したのに。このたび、事情があって上の娘の時よりも早く、下の子を保育園へ入れることになった。

たくさんの葛藤があり、これでもかというほど泣いて悩んで。でもここは保育園激戦区。4月の段階ではもちろん待機児童だった。それが、ポイントの低い「求職活動」を理由に申し込んでいたのに、年度途中だというのに、たまたま条件の合う保育園に空きが出たのだ。
悩みに悩んだ末に結局、入園することに。

そんな、慣らし保育、前夜。
決断したのに、やはり涙が止まらない。

こんな日に限って上の娘がなかなか寝付けず、お水飲みたい、遊びたい、おトイレ行きたい…
勘弁してくれと思いつつ、トイレに付き添ってると不意にまた涙が出てきた。
目が赤いよ?って3歳児に心配かけてしまった。

布団に戻ると娘が珍しく抱きついてきてくれて、優しいあたたかな時間が流れた。
ぷぅっと可愛い音がした。

「あはっ。オナラ出ちゃった」と娘。
「元気な証拠だね」と咄嗟に謎の返し。
それに対して
「元気なひよこだね、くわっくわっ!」

母は笑った。涙も出てきて、泣き笑い。
娘もつられてケラケラ笑った。

程なくして娘は寝た。
ささやかでいつも通り、それでいて新生活前夜という特別な今夜のことは忘れたくなくて。
書き付けてから寝ようと思った。

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