ぴえん充電器と紙芝居
あの時から、私は、感情を表す事が全く出来なくなった。
ステージに立ち、カンカンカンカン、とざい、とうざーい、一世一代の紙芝居屋でござーい、かかかかんかん。拍子木を鳴らし口上を述べる。
紙芝居の昔話は、喜怒哀楽、表情豊かに始まっていたはずだ。
しかし、今はどうだろう。
喜び充電器、怒り充電器、悲しみ、楽しみ、それぞれ充電しないと感情が入らなくなってしまった。
そのことで、また、あいつとやり合った。あの一言を言わなければ‥。
ジリジリ熱くなってきた。臭いが出ているかもしれない。はやくいかなきゃ。
こんなステージに立っている暇などない。
最後はぴえんで終わらすつもりだ。しかしながら、このぴえん充電器、今日に限って調子が悪い。
ぴえんくらいの軽めの涙で丁度良いから。最後なのだから。
早くいかなきゃ。
早く行って処理しなければいけない。
だから、だから、ぴえん充電器よお願いだ。
私に最後に力をくれ。
ぴえんで紙芝居を終えて、このステージを去るのだ
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