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中学生で醜形恐怖症になり、克服した話

自分の顔が醜くて仕方ない。どうしてこんな顔で産まれてしまったんだろう?


これが「醜形恐怖症」の症状であることを知ったのは、かなり後でした。当時はとにかく必死で、早く大人になって整形すれば人生が好転すると思っていました。

少しでも心当たりがある方、家族や友人が醜形恐怖でパニックになったことがある方に是非読んでほしいです。


私が発症した直接的要因は、同級生に容姿に関して否定的なことを言われ続けたからです。

しかしこれ以外にも学校、家族での人間関係トラブルやそれによる精神疾患の併発など、複雑な要素が絡み合った結果最後のトリガーが外れたと推察しています。
貴方のまわりにいる容姿を揶揄われていつも笑っている女の子も、いつ心が壊れるか時間の問題です。男の子だって、そうです。ほとんどの子はたまたま、運良く自己を保っているに過ぎません。
私の簡単な生い立ちと共に悪化していく症状と、寛解までの道のりを説明していきます。

容姿に無頓着だった小学生


公立の小学校で過ごしました。高学年の頃に親の都合で転校をしたのですが、当時は女子との関係が上手くいかず困った時は男子が助けてくれていました。
○○くんは私さんのことが好きなんだって!という噂話も何度か聞きました。自慢に聞こえますね。申し訳ない。でも私の人生で唯一人並みにモテたのがこの短期間だけなので許してください…
肝心の容姿はというと、客観的に見てそんなにかわいくなかった!!大人しめな転校生という属性が気を引いたのだと思います。ただ女子と仲良くなりたかった私は、ある時からあからさまに男子と距離を取り始めます。こうして男子には嫌われ、女子は人が変わったかのように私と仲良くしてくれるようになりました!

程なくして2度目の転校をします。※この学区でエスカレーター式に公立中学校まで卒業したのですが、全国数カ所回った中でも治安がかなり悪かったです……
この頃から家庭環境が悪化しまして、家ではここに書けないような幼児退行症状が出ていました。友達関係はというと、女子とは相変わらず仲良くやっていました。
反対に男子とは適度なコミュニケーションの取り方が分からなくなってしまい、ほぼ全員から嫌われていました。途中から菌扱い(学生定番のアレだ!)をされ、リーダー格の男子からは机同士をくっつけない、ブス!死ね!など日常茶飯事でした。
それでも明確に病むことはなく、強いて言えば私って唇ちょっと分厚いかな?と気にしたくらいでした。

周りが急速に可愛くなる中学時代

中学生になると、スクールカーストの基準が変わってきます。これまで優位に立っていた体格の良いガキ大将的ボスではなく、細モテお洒落女子が中核となりクラスが形成されるのです。

入学後最初のプチ行事で班のメンバーがアイプチを直しにトイレに行ったきり出てこなくなったり、休み時間の会話は○○ちゃんの髪質が良いだとか使っているシャンプーを真剣に情報交換したりと住む世界が変わってきました。私は相変わらず、日焼け止めも塗らずにニコニコ動画とゲーム三昧でした。話すネタもそれしかありません。私のクラスは気の強い女子が多く、段々と人間関係のストレスが溜まり始め過食するようになりました。
当時パピコのチョココーヒー味にハマっており、帰宅後2本食べて良いルールにしていました。絶対真似しちゃダメです。

こうしてぶくぶく太りはじめた私。食生活とストレスどちらが原因なのか分からないのですが、顔に大量のニキビとアトピー性皮膚炎特有の荒れや色素沈着が出現し、目も当てられないほどになっていました。当時はアトピーが原因であることも知らず、ひたすら顔のことを言われる日々。職員室に入っただけで名前も知らない生徒に「凄い顔wwww」と言われ、自分はとんでもない化け物顔なんだ!と認識し始めます。

このあと母の会社の同僚が私の病状に気づいてくれて、皮膚科に行くことを強く勧めてくれました。今も完治はしていませんが、化粧ができるまでの肌に回復しました。本当に感謝しています。お子さんがいらっしゃる皆さんは、ニキビや肌荒れが悪化している場合は病院に連れて行ってあげてほしいです。子供だけでは判断ができません。塗り薬一つで劇的に改善する場合もあります。

さて、肌荒れの症状はコンシーラーで隠せるレベルになってきました。この頃は良くも悪くもマスクという鎧を見つけ、四六時中それで身を守っていました。大声で容姿を笑われることは少なくなりましたが、よほどトラウマになったのか街ゆく人やクラスメイトが自分のことをブスと言っている幻聴のようなものに悩まされるようになりました。この症状は数年で自然と無くなっていきました。

エスカレートする願望


初めは馬鹿にされない普通の容姿がほしい!と思っていた私ですが、インスタやツイッターでチヤホヤされるインフルエンサーや自撮り界隈を見るたび「自分もこうなりたい」と思うようになってしまいました。

思えば小学生の頃から卒業文集の「可愛い女の子ランキング」には入ったことがないし、誰かに容姿を褒めてもらった経験もありません。みんなに可愛いと言ってもらいたいし、凝ったデザインの美しい服を着こなしたい…しかし鏡の自分はガタついた目、がっちりした鼻、タプタプの唇でとても可愛いとは言えません。

何度も何度もノーマルカメラで自分の顔を撮るというブスにとっての自傷行為をし、顔の粗探しを始めることが日課になっていました。休日はずっと鏡を見ては整形したいと泣き喚いていました。

ブス→ギリ普通 になるよりも
ギリ普通→可愛い になるほうが何倍も大変なことに気付き、行き詰まってしまいました。


そんな時、周りから「ブスでも特別可愛くもないけどメイクでなんとかなるんじゃない?」との助言を頂きました。そうか!すっぴん美人は生まれ変わらないとなれないけど化粧なら変われるかも知れない…!!
アイライナーとファンデーションしかしたことのなかった私にとって、「メイク」という新しい可能性が生まれました。

ここから数年かけてメイク研究をしました。
まずは低予算でできるダイエットとメイクをやり込んで、それでも気になった部分は整形を考えようという考えでした。
具体的な改善点としては

がっちりした鼻
横幅と存在感のある鼻が本当に苦手でした。何度も大きさを測っては病んでいました。しかし高さがあることに気づいたので海外コスメで根本からガッツリシェーディングとハイライトを入れすらっとした鼻に詐称しています。


タプタプの唇(+人中)
唇自体は分厚い方ではないのですが、上唇が薄いためそう見えていることに気付きました。初めは下唇をコンシーラーで潰していたのですが、上手くいかなかったので上唇を拡張する方向にシフトしました。チークを薄っすら乗せ、ティントをM字にしっかり乗せています。


ガタガタの目
よく観察してみると左目が瞼の重い末広二重で、右目が平行二重でした。オリシキで癖をつけることで左目は平行にすることができました。数ヶ月に一回取れる場合があるので、完全ではありませんがある程度安定しています。逆さまつげで目のほとんどが隠れていることに気づいたのでパーマをしました。それでも下瞼の粘膜が見えず目が埋もれてしまうため、オリシキで睫毛をくっつけています。


ここから長い間、病み→病み→メイクで改善→病み→病み→メイクで改善→前向き→病み

このサイクルを繰り返し、目に見える容姿の変化を生むことでメンタルを回復させることができました。


最後に伝えたいこと

この症状を完治させることは難しいのかもしれません。今でもすっぴんを見せるのは嫌だし、落ち込んでいる時に容姿に否定的なことを言われると立ち直れなくなってしまいます。他撮りが恐怖だし、初対面の人の前でマスクを外すのもすご〜く嫌です。

ただ、メイクやダイエットを実践することによって自分に少しだけ自信を持つことはできました。前だったら自分は着てはいけない!と思い込んでいた服を着れるようになったり、堂々とコスメが好きなんだよね〜!と言えるようになりました。

醜形恐怖症は怖い病気です。私自身何度も自分の顔を殴ったこともあるし、死のうと思ったこともあります。精神科の先生にも相談したのですが、理解してはもらえませんでした。
今少しずつ社会で認知されている段階だと思います。だからこそ理解者や、発症者を少なくするための社会づくりが必要だと思っています。
何気ない言葉がその人を一生、独立した美の呪縛に縛りつけることになるかもしれないのですから。

読んでいただきありがとうございました!

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