シェア
ミラログ
2020年3月7日 18:22
ぶあつい、重たいドアを、ユヅキはからだごと、ぶつかるみたいにしておし開けた。頭の上で、カラン、コロンと、そうぞうしい音が鳴った。 カウベルっていうのだ。 前に来た時、おじいちゃんから教わった。「あのぅ。すみません……」 ユヅキはそう言ったきり、その場でもじもじとした。中に入ったはいいが、そこからどうしていいのかがわからない。「あら。松本さんのところの」 よかった。カウンターの中にい