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【3D】詰将棋カラオケ企画で考えていたこと

はじめに

将棋の指せるVtuber―通称「将棋V」による年末配信企画、「将棋V年末企画」(そのまま)を今年も開催した。

2021年将棋V年末企画 YouTube再生リスト↓

今回はその中で私が企画を担当した3D企画「詰将棋カラオケ」について制作後記みたいなものを書こうと思う。

本来、意見発信は動画や配信にしたい派だけど、口頭で説明するとめちゃくちゃ長くなって聞くのも大変だと思ったので文章記事にした。


そもそもVtuber活動は3Dを目標としていた

私は2DのカラダでのVtuberデビューをしたのだが、当初から3Dのカラダで活動をしたいと思っていた。

目指していたモデルがキズナアイ・ミライアカリ・輝夜ルナ・電脳少女シロ...といった面々だったのもあるが、一番の理由は3D空間で芸をしたり物を持ったり投げたりといったことがしたかったからだった。

ただしそれには高いハードルを4つ超える必要がある。
・3Dのカラダを手に入れる
・その3Dのカラダを動かす
・3Dの空間、物体を用意する
・3Dの空間内にカラダを持っていき、動かし、物体と干渉するようにする

とても無理だったので私は2Dでの活動をとりあえず選び、周りの真似をする形でネタ動画を出したり将棋動画を出したり雑談配信をしたりゲーム実況配信をしたりしていた。

発信活動や将棋自体が好きだったので楽しかったけれど、Vtuberとしてやりたかったのは↑の太字の通りだったので「本当はあれがやりたいんだけどなぁ」の違和感はずっと抱えていた形。

【補足】
ぶっちゃけ私がデビューした時点でこの4つを全てクリアする VRChat は既に存在したのだが、
・VroidStudioがなかったので3Dのカラダを用意するのが難しかった
 (あった気もするけどまぁ用意できたのは半年後だったのでそういうことで...)
・当時私が学生でお金がなかったのでモーションキャプチャ用のVR機器を買えなかった
・VR機器がない手前、VRCに前向きでなかったのでVRCワールドの勉強もする気が起きなかった
という風に絶妙に噛み合っていなかった。


3Dであればいいというわけでもなかった

デビューからしばらく経ち、VroidStudio そのほかのツールやサービスが整ってきていて3Dのカラダを持つことのハードルが下がり、個人Vtuberでも持っていることがそこまで珍しくなくなってきていた。

であるけれども「3DのVtuberでやることってそれなん?」と思って周りを眺めていた。
今まで2Dのカラダを映していたスペースに、3Dのバストアップがでてきて左右にゆらゆら揺れているだけみたいなのが多い。
(ちょうど今の私の普段の配信スタイルがこれなんだけど、「これを3D化って言うのはなぁ」と当初から思っていて、なので最初に導入したときもそんなに大々的に言ったりはしなかった。)

2Dに比べて角度(体の向き)が大きくとれるようになったり表情が豊かになったりちょっと手が振れるようになったりはしていたけど、例えば字幕掴んで動かしてとかそういうのはできない。

最近は逆に「雑談配信やゲーム配信するなら3Dでなくても2Dの方がむしろ利点が~」みたいな論を見ることがあるが、「そら(そういう使い方するなら)そうよ」と思う。


"予めプログラムされた動きを再生する"形式では満足しない

SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland」 というものに行った。VRライブイベントである。
VRChatに会場のある本イベントでは、有料チケットを買うことで豪華アーティスト(画像)のライブステージを見ることができた。

画像1

画像2

SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland 公式サイトよりスクショ)

ただ、ライブステージとは言うものの、実際はステージ上に3D映像が再生されているのみで、ライブ感・「そこに居る」感というのがあまり感じられなかった。
手を振ったら振り返してくれるとかそういうのが欲しいよなぁと思った。

なので3D空間でのライブと言え度、予め収録しておいたものを再生するだけでは弱いなと感じた(当然それ自体を否定するつもりはなく私自身楽しかったが、最終着地点ではないとも思った)。
ライブ感・「そこに居る」感というのは最終的なゴール地点では欲しいと思った。


ただ3D-VR会場でライブすればいいわけでもなかった

再生するだけではダメと書いたが、ライブするだけでも満足しないと思った。

↓は私が好きなグループの一つの RIOT MUSIC の年末のライブイベント
※蛇足だがオススメは19:00ころの道明寺ここあ『吹雪』

「めちゃくちゃいい!」と思ったが、同時に「もう一声欲しい!」という感じでもあった。具体的には、せっかくならVirtual空間ならではの演出が欲しいと思った。

例えば↓の『メンタルチェンソー』では、開幕でP丸様がステージ床から飛び出てくる(リアルではそう簡単にはできないパフォーマンス)。

念のため補足しておくと、RIOT MUSIC の彼女たちは V-Singer であり歌を見せるライブであったためこれ以上の演出は不要と思っている。あくまで私が3D-Vtuberに対して求めたいことを書いた。


といったいろいろを受けてできた詰将棋カラオケ

周りに難癖をつけまくってできたのがアレかと思うと辛いところがあるが、やりたいことをがんばってできるだけ再現したつもりであった。

3Dの空間内で動き、物体と干渉するようにしたい
 >詰将棋部分で主に再現。本当は曲内でもパフォーマンスをしたかったが難易度が高く断念。

ライブ感・「そこに居る」感を出したい
 >あくまでMVでなく、リアルタイムでギミックを動かしその中で歌う形式とした。ここはもっと強化したい部分で、今後はVRChat内での観客席みたいなのを作っていきたいと思っている。

Virtual空間ならではの演出が欲しい
 >『アスノヨゾラ哨戒班』の空から落ちるシーンだったり、『マーシャル・マキシマイザー』の1番2番の間のボードが出てくるシーンや曲最後の画面の中へのテレポートだったり。


その他の制作後記

3Dへの思いと今回の詰将棋カラオケに至るまでのことは書いたのでそれ以外のことをオマケで箇条書きで書いておく。

・選曲
この2局が特別好きだというのももちろんあるが、今回準備期間が2ヵ月ほどと短かったため以下の観点で選んだ。
「曲が短いこと」「原曲動画の再現が簡単であること」
功を奏してギミックの制作は間に合ったがめちゃくちゃ歌が難しかったのが反省点。

・カメラワーク
二曲目『マーシャル・マキシマイザー』でのカメラワークは上記のRIOT MUSICのライブを参考にした(そこまで珍しいものではなさそうだけど)。

・ステージ
こちらも二曲目『マーシャル・マキシマイザー』のステージは、ホロライブの3Dライブのステージを参考にした(これもよくある構造のだと思うけど)。VRChatを選んでいるため、やろうと思えば元ネタのようにステージ上に複数人立つことももちろんできる。
背景のスクリーン(と映す映像)、下段ステージのミラー、観客席、照明ギミックが今回は製作が間に合わなかった。

・プロセカ
プロセカのMVがすごく好きで(プロセカの前身のProjectDIVAをやり込んでいた)、ああいうのを作りたいと思っていた。特にこの部分をこう意識したとかはない。

・また次もやるの?
曲に合わせてギミックを作るのは楽しかったので余力があったらまたチャレンジしてみたい。
ただ今後活動としてやっていきたい 将棋xメタバース とは微妙にズレるので優先度が落ちる感じ。

・詰将棋カラオケ
詰将棋カラオケ自体は前回の夏祭企画で案として出ていたもののボツになった企画(もちろん3Dとかそういう話は出ていなかった)。
ただボツになった理由が全体的に後ろ向きだったので面白くないなと思って今回がんばった。オリジナルの詰将棋カラオケに対して全然内容が変わってしまったが...

・将棋xメタバース
今回の詰将棋カラオケ企画は、年末企画の一つという目的以外のあと二つの目的がある。
一つが「3D空間でここまでのことはできますよ」のデモンストレーション To リスナー&将棋V。これは企画内でも説明した通り。
もう一つがこの企画の準備を通して私が3D空間(ワールド)の作成の経験を積み、今後の 将棋xメタバース の見通し立てや準備とすること。
配信で見栄えがよい建物の作り方や、カメラワーク、各ギミックなど実際に作ってみて勉強になった。将棋xメタバース の構想はここでまとめて説明すると大変なのでまた機会があれば。

・VRChat
ここまで読んでもらっていまさらではあるけど、VRC内は「3Dの空間内で動き、物体と干渉するようにしたい」要件についてはめちゃくちゃ進んでいて、私も絶賛勉強中。
例えば、歌のライブイベント・ダンスパフォーマンス、将棋道場といったものはすでに先駆者が少なくなくいる。
蛇足だけど、ちょっと気になったのはどれもVRCユーザーがVRCユーザー向けに作っているので、例えば非VRCユーザーに向けて配信で見せるような類のものはまだ見ていない。


おわり

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