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一般選抜って何?国公立大学・私立大学それぞれの仕組みやポイントを解説

こんにちは、みらぴか認定サポーターをしている松田剛典です。 普段は、大学や高校でキャリアに関する授業をしています。実際にいろんな高校や大学に訪問する中で気づいた高校や大学のリアルについてコラムを書いていきます。

今回は保護者の方にとって今の大学入試制度がどう変化したかを解説します。現在は、総合型選抜など他の入試方式もありますが、国公立・私立それぞれの一般選抜について詳しく解説するコラムです。

一般選抜は、昔は「一般入試」と呼ばれていましたが、2020年度の大学入試改革の一環で内容が見直され、現在の形になりました。国公立大学と私立大学で仕組みが異なるため、早めに情報収集を行い、志望大学に沿った対策を立てましょう。

一般選抜|国公立大学の仕組み

国公立大学の一般選抜は、全入試方式の募集人員のうち8割近くを占めており、最もメジャーな入試方式と言えます。

参照:令和5年度国公立大学入学者選抜の概要

近年は、学力のみにとらわれない「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」などの選考方式を拡大する傾向も見られますが、一般選抜の人員が多い状況はまだしばらく続きそうです。

ただし、これを読まれている読者が地方に住んでいる場合は、地元の国公立大学の推薦枠を一度確認してもいいかもしれません。2023年に読売新聞が記事にしていますが、医学部や教育学部などで推薦枠を設けている国公立大学は少なくありません。これは、人口減や過疎化が進む中で地域の要望を反映したと言われています。

国立大6割の入試に「地域枠」…地元就職など条件、医学・教育学部が大半

大学入学共通テストと個別学力検査が基本

国公立大学の一般選抜は、以下の内容をもとに多面的かつ総合的に判断されます。
 ・大学入学共通テスト(毎年1月に実施)の結果
 ・個別学力検査(2~3月に大学ごとに実施)の結果
 ・調査書、本人記載の資料や実績、小論文

大学入学共通テストとは
大学入学共通テスト(以下「共通テスト」)は、昔の「センター試験」のことです。2020年度の大学入試改革によって、大学教育の基礎となる「学力の三要素」を問う内容に見直され、名称も変更されました。
 
学力の三要素とは
「知識・技能」「思考⼒・判断⼒・表現⼒」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)」の3要素を指す。
 
近年では私立大学でも共通テストを活用する動きが見られます。

個別学力検査には前期・中期・後期日程がある

大学ごとに実施される個別学力検査は、前期日程・後期日程、一部の公立大学では中期日程で受験できます。

前期日程で合格し入学手続きを行った後では、中期・後期日程の受験ができません。なお、後期日程は難関大学を中心に廃止・縮小傾向にあるため注意が必要です。

全日程の中で最も比率が高いのは前期日程で、令和4年度の志願状況では全体の8割以上が前期日程で実施されています。

令和5年度国公立大学入学者選抜確定志願状況

共通テストでは5教科以上を課す大学が多い

共通テストの科目は大学により異なります。多くの国公立大学では5教科7科目以上を課していますが、公立大学のなかには3教科3科目というところもあります。

国公立大学一般選考のポイント

国公立大学の一般選考は、大学入試改革を契機にさまざまなことが変化しています。正しい情報を適切に入手し、柔軟に対応できるよう準備しておくことが大切です。

高度な記述問題が出題される可能性がある
共通テストでは記述式問題の導入が見送られていますが、個別学力検査では難易度の高い記述問題が出題される可能性があります。志望大学の出題傾向を押さえ、マーク式だけでなく記述式に対してもしっかり対策をしましょう。

英語は4技能をバランスよく学習しよう
英語には新たに「4技能評価」が導入されました。英語の4技能評価とはすなわち、リーディング(読む力)、リスニング(聞く力)、スピーキング(話す力)、ライティング(書く力)を指します。
昔のセンター試験ではリーディングとリスニングしか評価できていなかったことを踏まえ、今後の共通テストや個別学力検査では4つの技能を広く問う問題が増えることが予想されます。

一般選抜の仕組み|私立大学の場合

私立大学の一般選抜は、大学が独自に試験問題を用意する方式や共通テストを利用したもの、全学部統一入試、地方入試などバリエーション豊かなのが特徴です。日程も大学によってさまざまなので、志望大学に沿ったスケジュールや対策を練ることが重要です。

入学者の半数以上が総合型・学校推薦型選抜

令和4年度の私立大学入学者のうち15.7%が総合型選抜、41.7%が学校推薦型選抜によって選考されており、一般選抜以外の入学者が大半を占めていることがわかります。学力だけでなく多様な側面から学生を評価する動きは、今後さらに拡大していくでしょう。

3教科入試がスタンダード

私立大学における一般選抜は、各大学で多種多様です。文系学部であれば英語・国語に加えて地歴・公民・数学から1科目選択、理系学部は英語・数学・理科の組み合わせによる3教科入試が一般的ですが、大学によって入試科目はバラツキがあります。同じ学部でも入試方式によって科目が異なることもあり、大学によっては2教科や1教科、小論文を課すところもあります。少し注意が必要なのは入試科目が減るとその分、入試難易度が上がります。

配点も大学の方針により異なり、特定の科目の配点を高く設定しているところもあります。ある私立大学の入試の一例ですが、外国語・国語・地歴の3教科となっており、学科によって採点後に得点調整を行われます。

大学入学共通テストを課される場合もある

私立大学の一般選抜に共通テストを活用する動きも活発になっています。共通テスト利用入試には、共通テストの結果のみで合否が決定する「単独型」と、プラスで個別試験が課される「併用型」があります。
 
ある私立大学では、独自試験なしの共通テスト利用入試を実施しています。従来は4教科型を採用していましたが、2023年度から3教科型も導入されました。

日程は大学によって異なる

私立大学の一般選抜の日程は大学によりさまざまですが、12月から出願開始、1~2月に試験が実施というスケジュールが一般的です。近年は試験日自由選択制を導入しているところも増えており、多くの受験生を獲得するためにさまざまなバリエーションの入試方式が提供されています。

私立大学一般選考のポイント

私立大学の一般選考は入試方式や日程が大学ごとに大きく異なるため、事前にしっかり情報収集を行ったうえで対策を立てる必要があります。
 
総合型選抜や学校推薦型選抜も検討しよう
近年の私立大学では、一般選抜よりも総合型選抜・学校推薦型選抜の枠を拡大する傾向にあります。一般選抜を検討する場合には、ほかの方式での受験が可能かどうかも同時に検討しておくとよいでしょう。一般選抜以外の受験では高校の成績などが重要になるため、早い段階からの対策が必要です。
 
併願の大学が複数ある場合はスケジュール調整が大切
複数の大学や学部を併願している場合は、無理のないスケジュール調整が大切です。タイトすぎる日程を設定してしまうと、体力やメンタル面においてベストな状態で受験に望めなくなる恐れがあります。特に、結果を大きく左右する受験の順序や間隔には注意を払いましょう。

まとめ|志望校の情報収集を行い早めの対策を心がけよう

一般選抜は国公立大学・私立大学によって日程や選考方法が大きく異なるため、早めに志望法を確定して対策を練ることが大切です。共通テストは国公立・私立を問わず必要になるケースが増えており、今後さらに選択肢が増えることが予想されます。併願大学とのスケジュール調整などをしっかり行い、体力・メンタルともにベストな状態で受験に臨みましょう。
 
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著者プロフィール 松田剛典
一般社団法人キャリアラボ 代表理事 https://kokoswitch.com
株式会社みらぴか 代表取締役 https://mirapika.jp 
X(旧Twitter):https://twitter.com/goten_m
株式会社ベネッセコーポレーションで高校生の進路選択の部署に配属。全国の高校の進路相談会の運営や入試判定業務などに携わる。人材紹介会社の大阪責任者をを経て独立。キャリア支援の仕事を始めて約20年目。複数の大学でキャリアデザイン講座の講師をしながら、北海度から九州まで全国の高校大学を訪問する実践型キャリア支援家。年間3000件前後の面談と、5000件前後のキャリア講座を運営。
2023年保護者向けオンライン相談サービス「みらぴか」をリリース
著書:「はじめての課題解決型プロジェクト」ミネルヴァ書房 


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