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渡辺真知子というひと。(16)

夜って怖いですね。とめどなく思いついて、忘れたくないから書き留める。しかも書き出してしまったら、収拾がつかない。仕事に詰まったから気分転換しようと思っただけなのに。ちょっとメモしておくだけのつもりが、相当長くなってしまいました。

というわけでいつもより、妄想が多めになっています。
――いつも妄想まみれだろって?はい、そうかもしれません。
あと今回、サブタイトルは、あえてつけていません。

「そうやって歌ってほしかった」

こんなニュアンスの言葉を、後年、伊藤アキラさんに言われ、
「えぇ~~??そうだったのォ~~?」
って愕然とする真知子さん。

こうやって書くと、わかる人は
「ああ、『かもめが翔んだ日』の話だね」
と思われることだろう。
ラジオでもこのエピソード、お話されていたのでね。

哀愁とドタバタ感の共存する曲

1978年のオリジナル版は、まさしく「駆け下りる」勢いでテンポよく展開され、いいだけ人の心をかき乱しておいて、あっという間に終わる。

やたら真知子さんの声は切なくそそるにもかかわらず、この曲のどこかにドリフの盆回しみたいなドタバタ感があるのは、小気味いいドラムのせいなのか、クルクルと滑らかなハネケンさんのピアノか、明るい彼女の本質が歌にしみ出ているからなのか。そういうところに、何年経っても惹きつけられる。

この曲の場合、今さら言うのもなんだけど、メジャーコードが入っているのも魅力。暗いままじゃない。昔キーボードでコードをおさえていたとき、この曲が完璧に暗くならずに済んでいるのはコレなんだ、おもしろいな、って思った。

伊藤アキラさんにも、メジャーにしたのは褒められてたんじゃなかったかな。どこで読んだ(聞いた?)んだっけ。

やたらかっこよく去っていく男に対して、
「え~待ってぇ、ひとりにしないでぇ~」
というような、素に戻った真知子さんの本音が見えるから暗くなりきれないのかも?

――初めて聴いた頃は歌のイメージだけで捉えていたので、真知子さんがそんな一面を持っているとは思ってなかったけど。まあ、若い女の子ですもんね。

真知子さん自身も、
「しおらしいメロディにはしたくないと思った」と振り返っている。
(「現在・過去・未来」2022年4月24日の放送にて)

先日の放送(2022年10月2日)では、
「失恋させてくれてありがとう」という感じの曲と言っていた。

伊藤アキラさんはコンサートの際にワルツアレンジされた「かもめが翔んだ日」を聴いて、はじめの感想をおっしゃったそうだが、それはあまりに酷な話なのではないかしら、と思った。

1978年1月といえば、大人びたお顔ではいらっしゃったけど、真知子さんもまだ21歳。レコーディングは当然、もう少し前だったろうし。まあ、あの当時からそのように歌ってほしかった、という意味ではないのだろうけど。

ワインのような

年を経て、熟成されていく中で歌い方も変わっていく、アレンジも変わっていく、ある意味ヴィンテージワインみたいなものかもしれない。真知子さんも、かもめが翔んだ日をはじめとする曲たちも。

コンサート後に、どのようなニュアンスでおっしゃったのかは知らないけれど、けっこう昔に、伊藤アキラさんが「言葉の流れ通りにメロディを乗せられるひと」と真知子さんを褒めていたというエピソードも聞いた気がするので、そんなにガックリ落ち込まなくてもいいのでは、などと思った。

個人的にはオリジナルが一番だと思っているので、カバーは本来好きではないのだが、「それでもI love you~横須賀より愛を込めて~」のライブCDで聴いて以来、「かもめが翔んだ日(スタジアム・バージョン)」もすっかりお気に入りである。スペイン語バージョンもこのライブCDに入っていた。

途中でガラッと雰囲気の変わるバージョンも好きである。ただし、このあたりのCDは持っていないので、テレビや日曜夜のラジオなどで見聞きして「わ、これ素敵すぎる!!」と楽しむだけなのだが。

これからまた年を重ねて時代が過ぎていくうちに、どのような変化を見せていくのだろう、渡辺真知子というひとは。

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