見出し画像

【IVRy入社エントリ】CTOからエンジニアへ: 楽しむことへの挑戦

こんにちは。2024年2月にIVRyに入社したエンジニアの成田(@mirakui)です。趣味はパン作りです。前職ではマネージャーや経営を担当していた時期が長かったのですが、IVRyでは再びエンジニアとしてやらせていただいています。

パン作り

ライ麦全粒粉と水をビンに入れて1:1で混ぜ、暖かいところに2週間ほど置いておきます。そうすると、全粒粉の表面に常在している酵母菌や乳酸菌が増えて、サワードウ・スターター(パン種、天然酵母)として使えるようになります。このスターターと、強力粉、水、塩を混ぜ、発酵させて焼けばパンになります。スターターを少し残しておき、またライ麦全粒粉と水を1:1で足していけばまたパン作りに使えます。ヨーロッパでは家庭で何代にもわたってパン種を継ぎ足しているところもあるそうです。ライ麦ではなく小麦粉全粒粉でも酵母は起こせるのですが、ライ麦は酵母が好む栄養が豊富なうえ風味が良いという特徴があります。

ライ麦から起こした天然酵母のパン種(スターター)。
乳酸菌が多く含まれていて、独特の酸味と香りがある

僕がよく作っているのはパン・ド・カンパーニュというパンです。これはスターターと、小麦粉と水と塩のみから作られている非常にシンプルな田舎パンです。砂糖や牛乳などで味付けをしないため、味や香りは酵母に含まれる菌の種類によって決まります。酵母にどのような菌が含まれているのかは目で見ても分からないため想像するしかなく、匂いや膨らみ方と向き合いながら、エサ(水と小麦粉やライ麦粉など)をやり、酵母を育てていきます。今ぼくが使っているのは2年ほど前に起こしたライ麦由来の酵母です。これとは別に、サワードウ仲間の友人から分けてもらった酵母もあります。友人の酵母もライ麦由来だったはずですが、僕のと比べると酸味が少なく、好むエサも異なり、精製された白い小麦粉でもよく膨らむのが興味深いです。

自家製酵母で作ったパン・ド・カンパーニュを上から見たところ。
焼き色は良いがクープのエッジが寝ていてあまりかっこよくないという感想。
低温長時間発酵により味はとても良かった
サワードウ界隈はなぜかこういう写真を撮る。気泡のバランスが重要なのだ

前職

またパンの話をしてしまった。パンの話をしはじめると30分くらい早口で語ってしまうので、パンの話を振られたら本当に話して良いの?となるべく確認をとるようにしています。

前職には2010年から14年ほど所属し、エンジニアとしては主にインフラやバックエンド系の開発をしてきて、その後はマネージャーやCTOを経験しました。CTOの6年間では、技術だけでなく新規事業から人事までさまざまな領域で仕事をしていました。2010年というのは、リーマンショック直後、ソシャゲバブル真っ只中、スマホ黎明期、東日本大震災直前という、経済の面でも技術の面でも動きの激しい時代で、そこから技術や業界が成熟していく時期をエンジニアやCTOとして歩んできました。

前職での最後の1年間はCTOを降りて、いちエンジニアとして現場復帰させてもらいました。長年働いていると技術組織が成熟してきて、CTOがいちいちコードを書くよりも圧倒的に優秀なエンジニア達に任せておいたほうが最適になってしまいがちで手を動かせていなかったのですが、自分の手がプロダクトから遠いところにあるもどかしさや、最前線にいるエンジニアへの憧れを常に感じていました。

IVRyへ

ひとつの会社に長くいることの面白さは誰よりも理解しているし体験してきたことですが、一方で環境を変えないまま自分自身をアップデートしていくことは簡単ではありません。前職の在籍中でも毎年のようにロールを変えて、自分にとって新しいことにチャレンジしてきましたが、もっと別の環境で学んでみたいと考えるようになり、IVRyと出会いました。

ところで企業には、変えるのが非常に困難な初期条件というのがあります。スタートアップであれば、どのマーケットでどういうビジネスモデルで勝負しているかということ自体が、事業成長も当然ながら、組織文化、プロダクト、技術の重要性、採用できる人材、…などなどその後の将来性をあらかた決めてしまいます。技術を軽視したまま始めた事業で、あとから技術の重要性を謳っても、いったんその初期条件で成長してしまったあとでは事業のモメンタムが強すぎて、あとから変えるのは難しいのです。

そういった観点から、事業のコンセプトからして技術的な洞察が組み込まれたプロダクトで創業している会社であることを重要視しました。日本では成功したスタートアップは沢山あるけど、AIを前提とした事業で成功した会社は少ない。成功した事業にAI技術を組み込むのではなく、AIが前提のプロダクトで起業して成功している会社という意味です。僕はIVRyのことを、データが集まる→システムが賢くなる→事業が儲かる→データが集まる、というサイクルを初期から事業の競争力として見据えて、勝負しているスタートアップとして見ています。このサイクルを既存プロダクトに対して後付けでひねり出すのは難しいし、小粒なものになってしまいます。このサイクルが初期条件として事業の核にあれば、組織に好循環をもたらし、長期的な成長に持っていけるのではと考えていますし、それを発明できる創業者と仕事がしたいと考え、IVRyに入社しました。

IVRyの好きなところ

僕がIVRyの勝ち筋として見ていて、入社の動機になった直接の理由は上記の通りですが、他にもIVRyがマッチした部分がいくつかあるので書いていきます。

  • オフィスが機能している

  • オープンな文化

  • "Work is fun"

オフィスが機能している

出社のルールがあるわけでもないんですが、自然にわりとみんないます。この自然さが重要なのです。しかもこれはIVRyで働いている人は別に特別なこととも思っていなくて、本人達は普通に仕事してるだけと思ってるっぽいんですよね。近年はスタートアップでもリモートで働いている人が多くて、IVRyのこの空気感はもはや絶滅危惧種だと思うので大切にしていきたいと思います。僕は物理的に集まってホワイトボードの前でワイワイしながら開発するのが好きだし、オフィスの中や周りをうろうろ歩きながら考え事をするのが好きです。遅くまで残ってオフィスでダラダラしたり遊んだり飲んだりするのも好きです。IVRyにはそれがあります。

オフィスに出没した鬼への豆まきが機能している様子

オープンな文化

まだ規模の小さいスタートアップならこれは当たり前、かと思いきや、実はその限りでもなかったりします。IVRyでのそれは経営者側からのオープン化、透明化の徹底した姿勢によって生み出された文化なのだと思います。IVRyのSlackはとても賑やかです。経営者でも立場に関係なく雑にワイワイしています。入社時には全員の分報チャンネルが作られ、プライベートチャンネルやDMはほとんどありません。この文化は自然にこうなるわけはなくて、創業者・奥西さんを始めとする、先人達の努力の結果と聞いています。ちなみにIVRyの現オフィスにはなんと会議室がありません。いつまでこれがスケールできるのかは見ものですが…。面白いのは、いち働き手として見ると、これらが思想によって強制されているようには見えなくて、それが自然だからそうなっている、と感じられるんですよね。僕は前職で、経営からのコミュニケーションや文化作りの難しさは体験してきているので、こういった環境を作れているのは尊敬しています。

"Work is fun"

これはIVRyのビジョンから来ている言葉であって、入社時に奥西さんと共感し合えた価値観です。自分達も含めて、日本中、世界中の働き手がやりたいことに集中できる世界を作ろうとしています。ビジョン全文は以下の通りです。

We make “Work is Fun” from now
〜「働くことは、楽しい」を常識に変えていく〜

日本では「働く」という言葉に対して、ネガティブなイメージを持っている方が多いと感じています。 一方で、実際に働いてみると、とても頑張った後やお客様に感謝される仕事をしたときには、 「働くことって楽しいな」と感じることが数々あると感じています。 IVRyでは、そんな「働くことは楽しい」と感じられることが最大化するようなサービスを社会実装することによって、 ビジネスと労働の当たり前を変えていきます。

https://ivry-jp.notion.site/IVRy-e1d47e4a79ba4f9d8a891fc938e02271

僕のライフワークというか、仕事をしていく上でのテーマは、仕事の面白さをスケールさせることです。スタートアップで働くことはカオスで、不確実で、でも特有の楽しさがあります。どんな退屈な大企業であっても、創業期はその楽しさがあったはずです。では企業が成長するどの段階でその楽しさは失われていくのでしょうか。初期の面白さを維持したまま企業を成長させることはできるのでしょうか。この問いの探求を、働き始めて以来ずっと続けています。

仕事が楽しいということは、働き手にとっても、企業にとっても重要です。いやいややるよりも楽しんでやっている方が成長できるし、創意工夫が生まれます。仕事を楽しんでいる人の集団であったほうが企業も成長できると信じています。"Work is fun"な組織を僕なりに解釈すると、「仕事って楽しいよね」という価値観をただ共有しているだけではなく、働き手自身が、どうしたら楽しんでいる自分に持っていけるのかを追求するべきだと捉えています。

入って何をするの?

前職に入社した14年前もそうだったのですが、今回も「エンジニアである」ということ以外は特に役割を決めずに飛び込んでみました。入ってから課題を見つけていけばいいかなと思っていたからです。まずはデータパイプライン周りの課題が見えてきたのでその当たりから取り組もうかな、となっているのが入社Day 2の今です(執筆時点)。データ基盤の整備というのは、エンジニアだけでなくさまざまな職種や経営とのコミュニケーションが必要になるでしょうから、丁度いいオンボーディングになるかなと画策しています。入社するまでは、すでにいろいろ整っててやることなかったらどうしようとか、自分の能力が役に立たなかったらどうしようとか心配していましたが、入って見渡してみて、課題だらけでしたので、よかった間に合ったという感想です。

入社初日のランチの様子(左奥が筆者)

あとは、なんとかしてオフィスでパン作りをできないかと企んでいます。入社記念としてオフィスでまたゼロから天然酵母を起こすのもよさそうです。

おわりに

IVRyという会社は、会社としても事業としても、まだごく一部のパーツしかない状態です。文化もこれから生み出していかなければいけません。これから一緒に"Work is fun"に挑戦していく仲間を増やしていきたいです。この記事を見て興味を持ってくれた方は、下記のURLに会社についての情報がまとまっていますので、あわせてご覧いただけると嬉しいです。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?