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知性に対する弾圧について

 日本学術会議の新会員として推薦された学者のうち、一部が菅義偉首相によって任命を拒否されたことが問題になっています。日本学術会議は政府への政策提言などの役割を担う独立した機関であり、かつてこのような任命拒否が行われたことはありませんでした。

 加藤官房長官は10月1日の会見で「総理の所轄であり、会員の人事等を通じて一定の監督権を行使するということは法律上可能」であるとしていますが、これは「任命は形式的行為である」として恣意的な運用を否定してきた過去の政府答弁と真っ向から食い違うものです。

 菅首相はなぜ6人の任命を拒否したのでしょうか。この6人は、安保法や共謀罪、秘密保護法に反対した学者であると東京新聞などで報じられています。しかしながら新会員の候補者105人のうちたかだか6人の任命を拒否することそのものに、政権にとってどれほどのメリットがあるかは疑問です。むしろこれは菅政権が始まって半月ほどでありながら、やって良いことと悪いことの境界を見誤り、今後の臨時国会ですぐさま追及を受けるような事態を招いた失敗に見えなくもありません。

 しかしこれは他方で、公然と学者を弾圧し、学問に介入するという重大なメッセージとも受け取れるものです。学問に対する政治の介入は過去にも少なからず起きてきたことですが、これほど公然と行うというのは、まるで戦前の一時期を見ているかのようです。 

 今回の件について「そもそも学者じゃないから関係ない」「学会の外れ者だから関係ない」という意見も耳にします。しかしこれは現代で生活を営み、何かを発言するすべての人に降りかかる問題です。

 なぜならこれは、知性に対する弾圧であり、言論を含む私たちの表現活動すべてに対する挑戦であるからです。そして目の前で弾圧が行われたとき、私たちはすぐさま声を上げるのです。

 最後にマルティン・ニーメラーのインタビューをもとに作られた有名な詩を掲げておきましょう。

ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった
 私は共産主義者ではなかったから

社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった
  私は社会民主主義者ではなかったから

彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった
 私は労働組合員ではなかったから

そして、彼らが私を攻撃したとき
 私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった

 以上です。知性に対する弾圧を非難します。

2020.10.02 三春充希

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note: みらい選挙プロジェクト情勢分析ノート