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算定基礎届はどんな手続?今の社会保険料は去年の給料が元になっているかも?

では7月10日期限で社会保険の申告手続である算定基礎届についてお話致します。提出の締切が同じ日の年度更新については前回配信しております。

社会保険料が決まる仕組みと算定基礎の関係

病気になった際に利用する「健康保険」
定年後に支給される「厚生年金」
介護が必要になった時に支給される「介護保険」
これらを合わせて社会保険と言います。今回解説する手続きは、会社員や公務員が加入している厚生年金・介護保険・健康保険について1年間の保険料を決めるための手続きになります。この手続きで提出する書類のことを算定基礎届と言います。

では、どのような手続きになるかと言いますと、事業主は、7月1日現在で使用している全被保険者の4月から6月の3カ月間の報酬月額を算定基礎届により届け出します。

この届出内容に基づき毎年1回、標準報酬月額を決定し直します。これを定時決定といい、毎年社会保険料の改定を行っています。定時決定された標準報酬月額は9月から翌年8月まで適用されます。算定基礎届で決まった標準報酬月額は社会保険料の関係についてはこちらの図をご覧ください。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r5/ippan/r50204miyagi.pdf

この表は、中小企業の社員が加入する全国健康保険協会:別名協会けんぽの宮城県における表です。

報酬月額とは基本給や役職手当や通勤手当などを含んだ給与の総支給額のことです。標準報酬月額とは、この報酬月額の平均値を出して算出します。そして、標準報酬月額を元にして、毎月給与から差し引かれる保険料が決まります。

つまり、例の場合、令和4年9月から令和5年8月の社会保険料は令和4年4月、5月、6月の給与額を元に算定して決まります。

社会保険料の算定例

社会保険料の計算は、こちらの例のように、給与額に等級を付けて、ここからここまでの給与額のひとは何等級という様に、等級分けをして保険料率を掛けます。

例えば、報酬月額195,000円から210,000円の方は、標準報酬月額200,000円17等級に該当します。健康保険は50個、厚生年金の場合は32個に区分されます。

例に挙げた、標準報酬月額200,000円の方の表に戻ります。この方の等級17の横にカッコ14とあります。カッコの数字は厚生年金の等級です。この等級の健康保険料は20,100円ですが、これを会社と社員で折半しますので社員の負担額は10,050円になります。更に満40歳から64歳までの方は介護保険料率(1.82%)が加わります。介護保険料込みの負担額が、表の右隣になります。更にその右隣には厚生年金保険料が有ります。

今回の記事で詳細は触れませんが、個人事業者やフリーランスの方が加入する国民健康保険は確定申告の情報を元に計算されます。また、国民年金保険料は一律になるので計算の必要が有りません。ちなみに令和5年度の国民年金保険料は16,520円です。

算定基礎届の提出

次に書類の提出となりますが、算定基礎届の期限は原則として7月10日です。期限が土日祝日に重なる場合は直近の平日に繰り延べになります。令和5年は原則通り7月10日が期限となります。

算定基礎届の提出は電子申請の他に、住所を所管する年金事務所への郵送、窓口へ直接提出もできます。

算定基礎届が不要な場合4つ

  • 6 月 1 日以降に資格取得した方…この方は資格取得時決定と言って最初の1ヶ月分の給与額から見積もって標準報酬月額を算定します。

  • 6 月 30 日以前に退職した方…この場合は、算定基礎届けに書かなければならいない要件「7月1日現在で使用している被保険者」に該当しないので不要です。

  • 7 月改定の月額変更届を提出する方

  • 8 月または 9 月に随時改定が予定されている旨の申出を行った方

7 月改定の月額変更届を提出する方と8 月または 9 月に随時改定が予定されている方は算定基礎届の提出直後に社会保険料の変更が有るので不要です。

日本年金機構 定時決定(算定基礎届)のリンクはこちら

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