見出し画像

ここが変わった!令和4年度キャリアアップ助成金

税理士・社会保険労務・行政書士達が所属する専門家のグループ企業:みらい創研のnoteを御覧いただきありがとうございます。みらい創研グループの動画はこちら→ https://youtu.be/qq7F7V3KcYk

今回のテーマは「ここが変わった、令和4年度キャリアアップ助成金」ということで、令和3年度と比べてかなり難化したとされる本制度について解説いたします。

支給申請できるコースが廃止になったり、雇用区分をより明確にしなければならなくなったりと全体的に厳しくなったように思えます。そしてこの助成金はいくつか申請できるパターンがあるのですが、今回はその内の「正社員化コース」について解説していきたいと思います。

キャリアアップ助成金とは

「有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(以下、「有期雇用労働者等」という。)の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するものです。」(厚労省サイト引用)

期間が定まっている雇用契約の方やパートさん、派遣労働者に対しキャリアアップのための取り組みを行った事業主へ、費用を一部支援するものです。大きく分けて正社員化支援・処遇改善支援の2つがあり、コースごとに分類すると以下のようになります。

正社員化支援
・正社員化コース
・障害者正社員化コース

処遇改善支援
・賃金規程等改定コース
・賃金規程等共通化コース
・賞与・退職金制度導入コース
・選択的適用拡大導入時処遇改善コース
・短時間労働者労働時間延長コース

令和4年からの変更点

変更があったのは以下のコースになります。
・正社員化コース
・障害者正社員化コース
・賃金規程等共通化コース
・賞与・退職金制度導入コース
・短時間労働者労働時間延長コース

https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/000923180.pdf

詳しくはこちらのリーフレットに記載があります。概要欄からご覧になってください。今回は特に変更の大きかった正社員化コースの変更点についてお話していきます。

令和3年度まで正社員化コースに有った要件
①有期雇用を正規雇用に転換する
②有期雇用を無期雇用に転換する
③無期雇用を正規雇用に転換する
この3つのうち②が令和4年4月から廃止となりました。ですので、4月1日以降に有期雇用の方を無期雇用に転換したとしても助成金の対象とはなりません。コースは減りましたが、支給額に変更は有りませんでした。

はい、助成金の中には加算措置が規程されているものがあり、特定の要件を満たすと支給額に上乗せできることが有ります。キャリアアップ助成金の正社員化コースでは…
● 派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接雇用する場合
● 対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合
 (転換等した日において母子家庭の母等または父子家庭の父である必要があります)
● 人材開発支援助成金の特定の訓練修了後に正規雇用労働者へ転換等した場合
● 「勤務地限定・職務限定・短時間正社員」制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に 転換等した場合

この中の「人材開発支援助成金の特定の訓練修了後に正規雇用労働者へ転換等した場合」に該当する訓練の種類が増えました。
労働者の事情や特定の訓練、制度の設定などが該当します。条件が合えば、正社員転換のための訓練を実施して、その経費を人材開発助成金でカバーし、正社員転換の取り組みを行えばキャリアアップ助成金を受給できるといったことも可能です。

その他の変更点として、正社員化コースを申請する際、就業規則を提出します。正社員や有期雇用の社員とは誰を指すのかといった定義の部分や、キャリアアップ制度が規程されているかといった箇所を審査されるのですが、この定義が変わりました。

令和4年10月1日の取り組みから適用されます。以下のようになりました。〇◯正社員
現行:同一の事業所内の正社員に適用される就業規則が適用されている労働者
改正後:同一の事業所内の正社員に適用される就業規則が適用されている労働者
ただし、「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されている者に限る

〇非正規労働者
現行:6か月以上雇用している有期または無期雇用労働者
改正後:賃金の額または計算方法が「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を6か月 以上受けて雇用している有期または無期雇用労働者

正社員に関しては就業規則の適用に加え「賞与・退職金の制度」と「昇給」の適用が追加されていますね。非正規に関しては正社員とは別の就業規則を受ける者という風に変わります。加えて、非正規労働者の定義の「就業規則等の適用を受ける」とは労働条件通知書などの「別途定める」では不十分です。正規社員とは別の就業規則を作成し、条文に定めなければなりません。

キャリアアップ助成金のために、就業規則を整備し対象の方へ然るべき待遇を用意しなければならなくなったという意味では受給の難易度が上がったと言えるでしょう。

動画でも詳しく解説してます!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?