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新型コロナ「ゼロゼロ融資」 新借り換え保証(コロナ借換保証)経営行動計画書の解説

今回の記事は令和5年1月10日から受付を開始したゼロゼロ融資 新借り換え保証(コロナ借換保証)の申請に必要な経営行動計画書について解説します。
制度については別の記事で解説しておりますので合わせてご覧ください。

経営行動計画書には何を書く?

融資を受ける際には経営計画書や返済計画書など資料を提出します。今回の制度を利用するためにも同様に「経営行動計画書」の提出が必要です。
基本的な内容は他の融資を受ける際の計画書と同じですが、この計画書には財務分析という項目が有り財務上の指標を数値を算出する必要があります。

こういった数値計算を苦手とする経営者も多いですが、雛形の右下にはキチンと計算式が書いてあります。残高の整った決算書、試算表を作成していれば簡単に出せる内容になっております。

また、この制度はゼロゼロ融資の返済に窮した企業に対する資金面での救済措置という側面だけではなく、きちんと利益を出して返済できるだけの具体的な計画と実行をさせることが目的です。更に銀行など民間金融機関に対し定期的に経営状況の報告をしなければなりません。

返済の負担軽減、事業計画の立案と実行、更に計画進捗の定期的な確認をセットにすることで経営の再建を果たせる企業を増やそうという考えが伺えます。

経営行動計画書に記入する6つの指標

*以下リンクは中小企業庁が作成した経営行動計画書の雛形です
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sinyouhosyou/dl/keikaku_sample.pdf

①売上増加率 : (売上高 / 前年度売上高)-1

先ずは1つ目の売上増加率ですが、名前の通り、前年度の売上から今期の売上がどれくらい伸びたのかを示す指標です。今期の売上を前年の売上で割って、更に1を引きます。例えば本年の売上が3000万円、前年の売上が2000万円であれば…(3000万円/2000万円)-1=0.5となり売上増加率は50%となります。

②営業利益率 : 営業利益 / 売上高

営業利益とは、売上から仕入分を引いた売上総利益から、販売費と一般管理費を引いて残った利益のことです。この指標は本業でどれくらい効率的に利益を上げたかを示すものです。

販売費と一般管理費の例として人件費や店舗の家賃、光熱費や広告宣伝費そして減価償却費も入ります。本業を運営する上で発生する経費のことを言います。

③労働生産性 : 営業利益 / 従業員数

先程お話した営業利益を従業員の人数で割った数値です。同業他社と比較して数値が高ければ生産性が高いということになり、企業の競争力の指標になります。

ただ闇雲に頑張って仕事をしてもこの数値は改善しません。より少ない時間、より少ない人数でどれだけ仕事をこなせるか?改善が上手く行っているかといった仕組み作りの成果がこの数値に表れます。


個人事業についてはこの3つの数値を「経営行動計画書」に記入すれば良いのですが、法人の場合は、この他に3つの数値を記入する必要が有ります。


④EBITDA有利子負債倍率 : (借入金-現預金) / (営業利益+減価償却費)

「EBITDA」はイービットディーエーとも言われています。
EBはEarnings Beforeの略でなになに前の収益という意味
IはInterestで利息
TはTaxesで税
DはDepreciationで減価償却費
AはAmortizationで無形固定資産の償却費

企業の収益力を同じ尺度で比較するために使います。利息は借入の返済時に払いますが、融資制度によって利率が変わりますし、税金は少ないにこしたことは有りませんが積極的に利益を出している会社はどうしても税金が増えてきますし、政策的に税制が変わることが有ります。この様にそれぞれの企業の事情で変動する数値を一旦取り除き、純粋に企業が利益を稼ぎ出すための力量を図るためには不要になる数値を加減したものがイービットディーエーとなります。国や期の異なる企業の収益性を図る際に用いられていました。

有利子負債とは一般的な銀行や公庫からの借入のように返済時に利子を払う必要がある一般的な負債のことです。
イービットディーエー有利子負債倍率とは負債の返済能力を図るための指標で、この数字が小さいほど良いとされます。単位は「何倍」と表記します。

計算式を見ていただくと、借入金の残高から現金・預金の残高を引いています。また、営業利益に減価償却費を加えています。この計算によって手持ちの資金では返しきれない借金が、現在の利益を元手にして返済する場合、何年掛かるかが分かります。

⑤営業運転資本回転期間 : (売上債権+棚卸資産-買入債務) / 月商

営業運転資本とは売掛金・受取手形を回収するまでに必要な資金のことです。この数値が小さいほど運転資金に余裕がある状態と言えます。
例えば卸売業の場合、取引先には毎日納品するけど代金が振り込まれるのは1ヶ月以上先ということもザラです。この場合、売掛金を回収できるまでの1ヶ月間は仕入や社員への給料を払うための資金を残して置かなければなりません。
営業運転資本はこの残しておかなければならない資金のことを指します。

式に出ている売上債権とは一般的には売掛金や受取手形のことです。買入債務とは買掛金・支払手形のことを指します。月商は一年間の売上を12ヶ月で割って平均値を出します。
また、飲食店のように売上の殆どが現金である事業の場合はこの数値がマイナスになることがあります。

⑥自己資本比率 : =純資産 / 総資産

自己資本比率の割合が大きければ資金的に良い会社だと言えます。
純資産というのは現金や売掛金といった流動資産と機械設備や工場などの固定資産の合計から買掛金・支払手形などの流動負債、借入金などの固定負債・の合計を差し引いた正味の資産のことを言います。

純資産=【流動資産+固定資産+(開業費などの繰延資産)】ー (流動負債+固定負債)

早めの判断が会社を救う!相談はお早めに

新型コロナウイルスの感染状況は令和4年の終わりになっても収束の目処が立たず、更に戦争を発端にした物価高、急激な円安、更に令和5年4月から残業代の割増率増加が中小企業にも適用されるなど、中小企業にとっては厳しい経済環境であると思います。

今回ご紹介した制度は、金融機関からの伴走支援を受け、数値を見ながら経営の再編、再構築してもらうことを目的にしております。
制度を使うかどうかの判断はできるだけ早く行い、融資を受けた金融機関にご相談下さい。自分だけでは不安だと思う方は、融資の返済が始まる前に税理士や公認会計士、中小企業診断士といった会社の財務に関する専門家にご相談いただき、御社にあった対策を打ってください。宮城県の会社であればみらい創研グループもご相談承ります。

動画でも詳しく解説しております


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