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トマトのハウス栽培設備

とまとのハウス栽培設備についてみていきます。
トマトのハウス栽培設備もイチゴに負けず劣らずいろいろな栽培方法があります。

①ハウスについて

まずトマトのハウス設備で非常に重要視されるのがハウスの高さです。これはトマトはイチゴと違い樹がドンドン伸びていく植物なのでハウスの高さが低いと上に伸ばすわけにはいかなくなるため、横に横に(正確には斜めに斜めに)引っ張るようになります。(斜め誘引 下記写真)

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トマトは光を要求する植物で「光の量が1%増えれば収穫高が1%増える」といわれるくらいです。斜め誘引をするとどうしても葉と葉が重なり光のあたりが悪くなってしまうため、結果として収穫高も減少してしまう、、、ということになります。

また背の高いハウスだと温度が抜けやすく夏を跨ぐ周年栽培もやりやすくなります。

そのため、ハウスの高さは非常に重要視されます。ハウス内の光合成環境を重視する栽培をされる方では低いハウスで軒高3m、高いハウスだと軒高6mのようなハウスが求められたりします。

(もちろんそれほど背の高いハウスではなくても、株間を広くしたり、葉カキをしっかりとしてLAIを確保し、しっかりと収穫高を上げている方もいます。ここはまさに”腕”ですね!)

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ハウスの形状はオランダ型ハウス、三角屋根鉄骨ハウス、丸屋根鉄骨ハウス、パイプハウスなどがあります。光を取り込む能力 や 熱を逃がす能力に違いがあります。
オランダ型ハウスは屋根面が小さく光を取り込む能力が高い上に背が高いので温度も抜けやすく夏場の暑熱対策にも優れています。


②培地について

培地については「土耕」、「ロックウール」、「ヤシ殻」などを使われることが多いです。
環境制御を強く意識する方は潅水量がコントロールしやすい「ロックウール」を使われることが多いです。ロックウールとは玄武岩、鉄炉スラグなどに石灰などを混合し、高温で溶解し生成される人造鉱物繊維で土に比べ性質が均一で安定しています。 水分の吸収・拡散性がよく、同時に通気性のよさも備えています。 適度な保水性もあり非常に栽培がしやすいです。しかし廃棄処理の課題などもあり最近は「ヤシ殻」にシフトする傾向も見られます。
「ヤシ殻」は名前の通りヤシの実の殻でできており、チップ、ファイバー、ピートなどの構成割合を変えることで保水性、排水性を調整できるので、非常に使いやすい培地です。

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(写真は各社ホームページより)

「土耕」についても様々あり、地面から隔離して土づくりをする「隔離土耕」などもあります。土へのこだわりや根域を制限するなどして味を追求する方などが良く採用されています。


③栽培ベンチについて

大別して「吊り下げ式のベンチ(ハンギングガター)」や「固定式ベンチ」などがあります。写真でみてわかるようにどちらもロックウールやヤシ殼のバックタイプでの使用が多いです。吊り下げ式のベンチはベンチ自体を上下に動かすことができるので、管理作業が必要なベンチのみを下に下ろしておくことでスペースを有効に使うことができます。しかしベンチを屋根から吊り下げるためベンチの荷重もハウスに掛かるのでハウスの耐荷重性もしっかり考える必要がありハウスの価格が高くなりがちです。

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隔離土耕ベンチは「土耕をしたいがその地域の土は適していない」などで土壌改良を要する場合に、いっそのこと地面から隔離して客土をしてしまう場合や、もしくは作物の食味を高めるために根域制限したい場合などによく使われています。農業者の方がそれぞれに考えてきたので多種多様なタイプのものがあります。

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また栽培ベンチを使用しないバック栽培や新しい技術のフィルム栽培、スリットがあり通気性を良くしたプランターなど本当にいろいろな種類があります。

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これらはどれが一番よい、、というものはなく、一長一短ですので、ご自身がどのような栽培をしたいか、栽培において何を重視したいかによって考えてください。

イチゴの設備の記事でも記載しましたが、やはりトマト栽培においても土づくり同様に難しく「経験や勘」に頼ることが多くなるため、ロックウールやヤシ殻の方が農園業務の標準化はしやすく規模の拡大には向いています。


特にトマトは他の作物よりも研究が進んでおり多収に関するものだけでなく栽培の標準化に関する書籍も多く出ておりますのでご参考ください。

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