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野菜栽培はまず土作りから!(農業)

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。今日も土の話。
野菜栽培はまず土作りから、、ということでまず堆肥を投入ということはよく言われますし、必ずしも間違いではありません。でも堆肥なら何でもいいわけではありません。 市販の堆肥は品質のばらつきが多いので発酵具合などをよく確認してから 用いることが必要です。

ご存知のように分解が十分進んでいない未熟堆肥はもちろんダメで、未熟堆肥を施すとかえって野菜に悪影響を及ぼすことになります。畑の土の中で未熟堆肥が再発酵して熱やガスが生じ、野菜の生育に悪影響を与えたり、未熟な堆肥を分解する土壌微生物と作物とのあいだに窒素をめぐっての競合(取り合い)が起こり、植物の生育に必要な窒素不足する「窒素飢餓」が起こったり、線虫や土壌病原菌が未熟堆肥を餌にして大増殖したり大きな被害が発生することもあります。

こういったことから、栽培初心者や家庭菜園などの方には完熟堆肥を一般的にはお勧めしています。

しかし完熟堆肥がいいかというと実は完熟堆肥も理想的な堆肥とは言えません。

土作りの際に堆肥を入れるのは土壌の団粒構造を発達させて土をふかふかにするのが第一の目的で、完熟堆肥には水溶性の炭水化物が多く含まれているので土の物理性を向上させる力を持っています。また腐植酸もあり、ミネラルを溶かして キレート化してミネラルの吸収を促進することもできます。さらに量的には少ないものの窒素分やミネラルも含むのでそれらを供給できます。

しかし完熟堆肥には意外なことに有用微生物が少ないのです。堆肥は土壌病害虫に対抗してそれらが増えるのを抑えてくれる拮抗微生物のような有用な微生物の餌となることも堆肥の重要な役割です。ところが完熟堆肥は有機物が分解されすぎて有用微生物の餌が少なくなっています。そのため 完熟堆肥には有用微生物の数がそれほど多くなく、また施しても有用微生物を増やすには時間がかかってしまいます。


そこで おすすめなのは 完熟堆肥になる手前の中熟堆肥。有用微生物の数が多いし 餌もまだまだ豊富。そのため土壌病害虫に対抗する力が強いのです。 完熟堆肥を施しても土壌病害虫が抑えられることもあります。しかしそれは完熟タイプを入れたことで水はけが良くなったり溜まっていた養分が急激に効くことがなくなったり、その病害虫に対する拮抗微生物がある程度いたりすることにより 野菜が健全になりそのための病害虫の被害が抑制されたと考えられます。

他の畑でもその堆肥を施したからといって 病害虫に同じ効果があるかは疑問です。中熟堆肥の使い方にはコツがあります。畑に入れたらしばらくは作付けをせず、有用微生物が勢力を拡大していくための養生期間を最低3週間はは必要です。その間に有用微生物は勢力を拡大しながら 土壌病害虫を抑え込んでいきます。また、有機物の分解がその期間に進みますので、有用微生物と植物との間で窒素を取り合う窒素飢餓が起こることもなくなります。

しかし、養生機関を設けて土の中で有機物の分解をさせるので、土のことがよくわかっているプロ農家向けということになります。

中熟堆肥を使いこなせることができれば生育は安定し、安定品質・安定収量を目指すことができるようになります。


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