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いちごの高設栽培にチャレンジ!(農業)


こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。新規に就農される場合、栽培品目をイチゴにされる方が多いなあと思います。そもそもいちご畑を見て、イチゴ農園に憧れて始める方も多いと思いますし、栽培方法もある程度確立していますし、上手にすれば収益も見込める品目ですのでいちご農家になるのもよいと思います。
イチゴ農園って緑色の葉の中に真っ赤のいちごが見えるのが非常に艶やかで美しいですし、イチゴ栽培のハウスの中は甘い香りがしてほんとに非常に魅力的な空間ですよね。

そこでイチゴ農園を始める際に考えていかなければならないことについて今日はお話したいと思います。

〇土耕栽培か高設栽培か!
いちごの栽培方法は非常にたくさんありますがすごく大きく分けると高設栽培と土耕栽培があります。さてどちらの栽培方法がいいのか?これはいちご栽培における最大の分岐点です。新規参入でいちご栽培に携わる場合、一般的には高設栽培を推奨します。理由は土耕栽培は土作りに数年かかりますが、高設栽培は栽培のマニュアル化がしやすいこと、作業姿勢が楽なことです。土耕栽培は土壌の物理性・化学性・生物性を整えて、商品になるいちごを一定量生産できるまでに時間がかかります。それでも土耕選ぶなら 土耕栽培にあった良い土の農地を探すことから始めるべきで、耕作放棄地や古いハウスを無償で借りられても、土壌改良と土づくりに5年も費やせば意味がありません。後継者を求めている農家を探してそこを引き継ぐのが良いでしょう。

〇目標は収量ではなく利益
高設栽培は土耕より通路を広く取るため、1反あたりの栽培株数が減り、 一般には土耕より反収が少なくなります。ただ列を2段にして株数を増やしたり、移動式のベンチもあり一概には言えません。
また農業において収量は大事な要素ですが、収量を事業の目標値に据えるのは間違いです。反収や果菜類の株あたり収量を増やす技術はいくらでもありますが、それをすれば儲かるわけではないのです。
初期費用が増える、手間がかかって人件費がかさむ、資材費が上がる、病害虫リスクが増える、などの恐れもあり、農作物の価格は相場に左右されるため安い時期に収量が上がっても利益が増えません。多少 収量が下がっても 相場の高い時期に一定量を収穫することが 高収益につながります。目標値はあくまで”利益”にすべきなのです。

〇失敗しにくい高設栽培
高設栽培のメリットは土作りが不要で1年目から狙い通りの栽培が可能なこで、データ管理しやすいためマニュアル化 が容易で初心者でも栽培に成功しやすくなります。またいちごの実が空中にぶら下がる形でなるため、地の温度の影響を受けにくく、気温が高くなる春先には土耕に比べていちごの品質が安定します。
近年の地方の労働人口の減少で収穫出荷のパートさんがなかなか集まらない そうですが、作業姿勢の楽な高設栽培の方が人を確保しやすそうです。同様に「いちご狩り農園」を運営する際にも、楽で衛生的なイメージのある高設栽培の方が人気です。
デメリットは土耕栽培に比べて初期費用とランニングコストが高いことです。 初期費用の目安は10aあたりでおよそ1000万円(ハウスを除く内部設備のみ)。 土からのCO2の供給がないため食味や収量をあげるには炭酸ガス発生装置も必要で、また数年に一度の培地の交換 コストがかかります。これらのコストをかけながらも確実に利益を上げられる事業計画 を事前にしっかり作り込むことが必要です。

〇培地量が多いと土耕に近い
もう1つは 高設栽培システムは多種多様で自分の意図にあったものを選ぶのが意外と難しいことです。いちごの高設栽培システムを作るメーカーは10社以上あり、1つのメーカーが2~3つのシステムを販売していることもあり、 既存システムもカスタマイズできますので、高設栽培システムの種類は非常に多いです。
ただ各社とも差別化ポイントがありますのでまずはそこを見極めましょう。 次に着目したいのが 培地の量。一株あたりの培地量は10 L の大容量から250ml の 極小培地まで システムによって様々です。非常に大まかに言うと 培地の量が多いほど土耕栽培に近く、少ないほど細かいコントロールができるようになります。

いちごの土耕栽培と養液栽培は技術が全く異なります。土耕栽培の経験者が高設栽培に移行する場合は、養液栽培を1から学ぶか、あるいは培地の量が多く液肥以外に固形肥料も使える土耕栽培のように使える高設栽培システムがおススメです。栽培経験 ゼロからいちご生産に取り込むなら各システムの培地を比べて、だいたい平均的な培地量のシステムを選ぶといいでしょう。


【問い合わせ】
TEL 080-3396-5399
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