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農園の事業戦略を考える! (農業)

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。よく農家の方からどのような事業戦略、マーケティング戦略を取っていくべきか、、、というような相談をいただきます。

こたえは各農家が「何を目指すか」によって異なるということになると思います。

農業も今後、大規模農園が増え、法人化がますます進んでいくと思いますが、必ずしもすべての農園が大規模化していくわけではありません。例えば、パンの製造業を例にとって考えてみるとわかりゃすいと思います。

パンの製造業ではヤマザキ製パンや敷島製パンのような大企業もありますが、町のパン屋さんもパンを作っているメーカーです。ヤマザキ製パンや敷島製パンのような大企業であれば、狙っていく市場は一般大衆をターゲットとしたマスマーケットです。パンを購入する消費者もヤマザキ製パンや敷島製パンにとびっきりのおいしいパンを求めていないと思いますし、メーカー側としても1つ1つにこだわりを持ったパンを作っていくわけにはいきません。製造工程を標準化し、機械化し、効率を重視して大量生産します。味はそこそこおいしいモノであれば十分です。
プロモーションも味のこだわりのCMを流すというよりも、社名のアピールやキャンペーンなどのアピールに重点をおきます。販路も消費者に直接売ることはせず、商社を通して小売業者に販売してもらいます。営業活動はB to Bになります。

一方、町のパン屋さんではターゲットは地域の住民となります。こちらは「あそこのパン屋はおいしい!」といってもらって消費者にリピーターになってもらい、消費者を囲い込んでいく作戦が必要です。そのためには味には一定のこだわりが必要になりますし、「焼きたて!」のような鮮度が大切になってきます。プロモーションも大規模なCMを流というよりも新聞広告のチラシ程度で十分で、むしろ一度買いに来てくれたお客さんを離さないように消費者との密接な関係を築いていくことが重要です。

同じパンでもヤマザキ製パンや敷島製パンのような大企業のパンは「大衆消費財」であり、町のパン屋さんのパンは「嗜好品的消費財」であり、さらに”銀座に志かわ”や乃が美のような贈答にも使われるようなブランドパンは「高級嗜好品」となり、それぞれマーケティング戦略、販売戦略、生産戦略は違うものになってきます。

同じように考えると農業でも大規模化して大量に生産し流通に流していくものは「大衆消費財」ですし、そういったものには栽培にそれほど手とかけられないので、効率重視で標準化、自動化が重要になります。販路も直売などではなく流通を通していく方が効率的です。

一方、味にこだわり、栽培管理に時間をかけて丁寧に育てた農作物は「嗜好品的消費財」もしくは「高級嗜好品」となり、トマトでいうと高糖度のブランドトマトなどがそれにあたります。販売単価は高く、消費者にしっかりとブランドを知ってもらってファンを作っていく必要があります。「嗜好品的消費財」クラスだと直売所の販売やECサイトの販売ということになるケースが多く、いかにファンを囲い込んでいくかということが大事ですのでSNSを駆使してファンづくりをしていくことが大事です。「高級嗜好品」クラスになるともちろんSNSなどのよるファンづくりをすることは同じですが、百貨店などで贈答用としてB to B販売されます。

「嗜好品的消費財」にしても「高級嗜好品」にしても、非常に手間暇かけるのでなかなか技術の伝承も難しく、標準化が難しいため、自分の目が届く程度の農園規模が多いですが、やり方によっては規模拡大しているところもあります。

このように同じパンというジャンルでも、ポジショニングしだいでメーカーの戦略が変わるように、農業でも農園それぞれに何を目指すのかによって戦い方が変わります。

最後に付け加えると、農産物といってもブドウやメロンなどの果物類やトマトやナスなどの果菜類はある程度 、味の差別化などもできるので贈答品市場などもありブランド化などはできるのですが、贈答用のほうれん草や小松菜というのは聞いたことがないように、葉物野菜ではまた違った事業戦略が必要になります。

【問い合わせ】
TEL 080-3396-5399
MAIL t.ogawa19720117@gmail.com

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