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農業ハウス内の温度管理 ①

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。今日はハウス栽培での温度管理について述べたいと思います。

作物栽培において最も重要なことは作物の光合成能力を高め、光合成産物を生長点や果実に効率よく転流させることです。オランダの施設園芸では温度・湿度・二酸化炭素濃度などの環境を制御しながら栽培を行いますが、これらの制御環境要因の中で温度は光合成産物の転流と配分に影響するため特に重要視されています。
 
作物の生育には作物別に栽培適温があります。栽培適温よりも温度が高くても低くても作物の生育は不良となり、生育の温度限界以上または低温限界以下の温度に一定時間さらされると作物はやがて枯れてしまします。植物も生き物ですから当然ですよね。

安定多収かつ高品質の観点で農作物を目標の水準で生産・収穫するために、ハウス内を出来る限り栽培適温内に維持する管理は極めて重要です。栽培適温は上限温度・下限温度という形であらわされることが多いですが、ハウス栽培の野菜や花のように昼夜別に適温や最適地温が設定されているものもあります。
 
施設における最も基本的な温度制御の手段は暖房と換気です。冬の夜間のように気温が作物の生育温度を下回った時には暖房を行い、作物を栽培できる温度環境の維持を行います。また日中日射が強くなればハウス内の温度が上昇する為、換気窓を開ける事によってハウス内の温度を適温内に保つように制御を行います。
 
暖房の方式には温風・温湯・電熱などがあり、熱源としては石油(重油・灯油)の他、ガス・電気・太陽熱・地下水などが用いられています。
一般的に使用されている温風暖房機は バーナーで空気を温めプラスチックフィルムのダクトを通してハウス内が均一になるように温風を送ります。機器の構造が簡単で安価であり、熱効率も高い温湯暖房では、水をボイラーで温めハウス内に設置した温湯管に温湯を循環させます。温湯管には鋼管やエロフィンパイプが用いられており大型の温室では温湯パイプを作業車のレールとしても利用したりもしています。
 
換気の方式は自然換気と強制換気の2つに分類することができます。
自然換気は換気窓(天窓、谷換気、側窓)を開くことによって外部の風による圧力やハウス内部の気温上昇の結果、得られた温度差で生じた浮力(温度差換気)によって換気が行われます。

強制換気は換気扇などの動力を利用するものでハウス内の空気を排出あるいは外気を流入して換気扇の性能に見合った換気量が得られます。夏のハウス内の過高温は換気のみで抑制することは困難であり、次回で述べる昇温対策技術と組み合わせる必要です。

 高温期に利用される温度制御手段として遮光も広く行われています。寒冷紗などを使用して遮光を行う場合、作物に必要な日射量を制限しすぎると徒長や黄化、生育の遅延などが発生するため、作物と季節に応じて適切な資材を選択する必要があります。この点で光合成に有効な光の波長域はできるかぎりカットせず温度上昇効果の高い遠赤色光域をカットする遮熱資材も各メーカーから出されています。

遮光資材の被覆方法には外部被覆と内部被覆があります。外部被覆は遮光資材をハウスの外側からハウス外面に直接被せるもしくは外側から少し離して覆う方法です。遮光資材を常時被覆したままの固定式、遮光不要時に巻き取る可動式、いずれにおいても台風などの強風時には注意が必要です。内部被覆 (内張り)の場合、ハウス内で日射を遮る形になるので昇温抑制効果は外部被覆方法より劣る場合があります。

今日はここまで。。
次回は昇温対策技術について述べたいと思います。

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