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野菜の病害虫に対する防御システム!① (農業)

農業をしていると非常に意識するのが病害虫対策です。農作物の病気の原因となる病原体や食害の原因となる害虫は農業者にとって非常に嫌なものです。植物は逃げたり暴れたりできませんので、やられ放題にも思いますが実は植物は多くの防御システムを持っています。イメージ的には植物は自分から攻め込みませんので、病原体や害虫の侵入を防ぐことに特化した籠城戦ですね。

病原体も生き物ですので自ら仲間を増やしていくにはエネルギー源となる食べ物が必要です。多くの微生物はエサとなる特定の有機物に付着して内部に侵入し、その有機物を酵素などで分解し、得られた養分で成長・増殖します。こうした微生物の中で生きた植物体に侵入して分解するのを得意とするのが植物に有害となる植物病原体です。野菜には何重もの防御システムが備えられており、病原体からすると野菜は難攻不落の城ようであり野菜による籠城戦のようです。 植物に備わる第1の壁は葉や茎の表面を覆う表皮です。 表皮細胞の細胞壁は硬くさらにクチクラ層と呼ばれる膜で覆われ、まるで城壁のように植物体を保護しています。

第2の壁は化学物質です。 表皮が突破され病原体が植物内部に侵入しても植物の細胞内に蓄えられた様々な化学物質が働き、病原体を死滅させ被害を局地戦で食い止めます。

第3の壁は伝達物質です。 植物体は病原体が中に入り込んでくるとその異変をキャッチし、すばやく全身に伝令を送り警戒態勢に入ります。

そして第4の壁が全身抵抗性です。全身抵抗性とは更なる病原体の侵入に備え 植物全体で抵抗力が高められ臨戦態勢となっている状態のことで、警戒情報をキャッチすると個々の細胞壁がさらに強固になり全身のあちこちで様々な防御物質が作られ始めます。

その結果、最初に侵入した病原体以外の病原体に対しても抵抗性を示すようになります。このような植物の防御システムによりほとんどの微生物は植物内部に侵入したり増殖することはできないのです。

【植物の強固な防御システム】
1 強固な表皮が侵入を防ぐ
病原体が葉の表面にやってきても表皮細胞は固くクチクラ層と呼ばれる膜で保護されているため内部には簡単に侵入できない。

2 化学物質で病原体を撃退
病原体が内部に侵入すると植物は活性酸素を作り出したり細胞内に蓄えられていた化学物質を使ったりして病原体を死滅させる。

3 伝達物質で警戒警報を発令
病原体が持つ特有の物質や植物が受けた傷などに反応し伝達物質特定のタンパク質やホルモンなどが作られ 植物全体に警戒信号が伝えられる。

4 全身で抵抗性が高まる
伝達物質が届くと侵入部位から離れた植物の全身で防御物質が盛んに作られる。その結果きっかけになった病原体以外の病原体に対しても抵抗性が高まる。通常、この状態は一週間続く。 細胞壁が強化される警戒信号を受け細胞壁を強固にする「リグニン」を増産。個々の細胞が細胞壁を補強していく。

害虫の食害を受けた際も同じように害虫への防御物質が全身で作られるようになります。さらに細胞が硬くなり表皮が厚く引き締まるため食害に強くなる

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