見出し画像

野菜の病害虫に対する防御システム!② (農業)

前回は植物の籠城型の防御システムについてお話いたしました。今回はこの防御システムへの微生物のかかわりについてお話したいと思います。
前回の防御システムのお話はこちら(↓)

〇根圏微生物と葉面微生物 が抵抗力をサポート!
植物の防御システムの全身抵抗性が発動されると植物は様々な病原体に対して抵抗力を発揮します。まさに臨戦態勢、やる気MAX状態です。もし全身抵抗性を維持し続けることができれば植物が病気にかかることはないでしょう。しかし全身抵抗性は1週間程度しか維持できないのです。それは様々な防御物質を量産するには大量のエネルギーが必要で全身抵抗性が発動された状態が続くと植物は本来の生長が出来なくなってしまうからです。

全身抵抗性の維持と植物の生長この二つの働きを両立で注目されているのが植物の根の周りや葉の表面にいる根圏微生物と葉面微生物です 根圏とは根の周囲2 mm に広がる微生物の多い空間のことで、植物の根からは細胞が剥がれ落ちたり老廃物が排出され、それらをエサに微生物が集まってきます。また葉の表面でも同様の新陳代謝が行われ老廃物が葉に住む微生物のエサとなっています。根圏微生物と葉面微生物には病原体と共通の性質があります。それはどちらも生きたまま植物体の細胞の間に入り込めるということです。病原体は植物内に侵入後、防御物質を無効化させるなどして防御システムを搔い潜ろうとしますが根圏微生物や葉面微生物にはこの能力はありません。そのため防御システムが稼働すると根圏微生物や葉面微生物も減少します。そして全身抵抗性が弱くなってくると再び数を増やし始めます。すると植物の全身抵抗性はまたすぐにスイッチが入り活性状態になります。

根圏や葉面に住みつく微生物の中には植物の代謝を活性化し生育を促進する種類もいます。こうした微生物は植物生長促進微生物と呼ばれ 植物の種類ごとに様々なものが存在することが分かっています。つまりこれらの微生物を呼び寄せることができれば全身抵抗性を高い状態に保ちながら同時に株も大きく成長させることが可能になるのです さらに根圏微生物や葉面微生物は 抗菌物質を出すなど他にも植物をまた守る働きをしています。

〇腐葉土とくん炭で根圏微生物を増やす
植物の抵抗性を高めさらに生育促進効果を持つ根圏微生物。 彼らを増やすために人間ができる手助けは食事と住居を提供することです。根圏微生物が好む食事が良質な腐葉土です。 彼らは植物の根から剥がれ落ちた古い細胞や老廃物を餌としているので植物由来の腐葉土が大好きです。腐葉土に含まれる有機物を上手に分解して増殖していきます。 作付け前に畑に腐葉土をすきこんでおけば 土中の微生物の数が増えた状態で栽培を始められ 微生物の定着が進んで野菜の抵抗性が高められます。住居として役に立つのが 籾殻くん炭です。これらの炭の表面にはたくさんの小さな穴が開いており 土に鋤き込むとと菌根菌が住み着きます。菌根菌はよく知られる根圏微生物の一つで菌糸を根の細胞の内部に差し込み土中から集めた養分を植物に供給しています


〇蜂蜜と酢で葉面に生物を助ける
葉面微生物としてよく知られているのが乳酸菌や酵母菌です。これらの微生物が増えると 葉の表面から植物内に侵入するようになり植物の抵抗性が高められます。さらに葉の表面で増殖を繰り返し、病原体を含む微生物を駆逐していきます。キャベツやハクサイ、レタスなどの結球野菜の表面に多いのが乳酸菌です。乳酸菌は酸性の環境で増えやすいので500倍以上に薄めた食用酢を1週間に1回のペースで葉面散布すると増殖を手助けすることができます。一方、ブロッコリーやカリフラワーなど 花つぼみを 収穫する野菜の葉の上には花に含まれる蜜の分解を得意とする酵母菌がたくさんいます。 そこで彼らを増やすため500倍以上に薄めた蜂蜜や黒砂糖を散布します。葉面微生物は晴天が続くと数が減り適度な雨が続くと増えやすくなります。


【問い合わせ】
TEL 080-3396-5399
MAILt.ogawa19720117@gmail.com

【関連記事】--------------------------------------------------------------------


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?