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「それくらい、やればいいのに」を投げ出して、笑っていられる時間を増やしたい

母になってもうすぐ2年。「料理するくらいなら食べない」が信条になるくらい料理や家事全般が苦手だった私が、窓を拭き、洗濯物を干し、人に見せれるほどの出来栄えではないけれど毎日手料理を息子に食べさせている。

自分としては大進歩なのに。どっこい、帰省して実母に会う度に言われるのは「それくらい、やればいいのに!」という言葉。

夫にご飯を作ってあげたらいいのに(我が家は夫婦別会計&勤務時間が合わないので別食)、スープくらいパパッと作ればいいのに(息子がお気に入りの”まるごと野菜スープ”シリーズの話をした時だったと思う)、ホットクックが欲しいと言ったら野菜切って鍋に入れるだけじゃない、と言われた。

ちゃうねん。ようけ分かっとる。

できるけど、やらない選択をしとるんじゃ。

確かにスープを作るくらいなら野菜を皮むきして、刻んで、湯沸かして、5分もあれば完成する。知っているけれど、「それくらい」ならわざわざやらなくていいんじゃないかと、私は思うのだ。

「それくらい」と言われる軽度なタスクはやってもやらなくてもいいことが多い。

例えばメインのハンバーグは用意してるけれど、そこにポテトサラダが加わると見栄えも良くなるし、カロリーも栄養も増え、甘さと辛さのバランスが取れる。

でも正直なところ、私の力量ではもうハンバーグで手一杯なのだ。それに副菜やスープを作ったら洗い物も増えてしまう。ただでさえ油ベタベタのフライパンの片付けは気が重いのに。(書き加えておくとハンバーグは焼くだけで、成形済みのものを購入してます。えらいすんません。)

かたやレンジでチン!で我が手を汚さず美味しいスープが出来上がる。研究を重ねたベストバランスで味の決まった最高のスープがあっという間に完成。素晴らしい!

週末や時間がある時は野菜を刻んで煮物を作ったり、スープをこしらえたりすることもある。けれど平日、会社員とフリーランスのWワークはそれなりに忙しい。息子を迎えに行って彼が寝るまではたった4時間。

「それくらい」にわざわざ時間を割いて、息子に背を向けてキッチンに立つ価値を、私はどうしても見出せなかった。

先日もスタイリストの仕事の帰り、電車の中からウーバーイーツで息子が大好きなナポリタンスパゲティを注文した。ついでに自分用にフルーツがのった杏仁豆腐も。

店舗で買えばもっと安く買えることは知っている。夕方行けば値引きされている可能性も高い。でも、イヤイヤ期真っ盛りの息子を連れてスーパーに行くのは本当に骨が折れるのだ。帰り際に買い物籠を返そうとすると、必ずひっくり返って大泣きする。

頭の中で母親の「それくらい…」の言葉がこだましたけれど、ええねんええねん。

遠慮したって仕方がない。お金で買える時間と心のゆとりががあるならば、喜んで買おう。

ウーバーイーツに余計に払った500円で息子とお互い機嫌よく過ごせるならば、安いもんじゃないか!毎日使っているわけではないのだから、たまにはいいよね。

親歴がまだ2年と浅いこともあるが、何かにつけて「母はこうしてたのに(自分はできていない)」と無意識に比較して、自分の未熟さや至らなさに落ち込んでしまうことがある。

母はまだ専業主婦が多数派だった時代にフルタイムで教師をしており、父は家事にも子供にも無関心だった。田舎で飲食店もスーパーも限られていたし、今の私より数倍苦労があっただろうと思う。

おそらく当時は「子どもを小さいうちから預けて働くなんて、かわいそう!」と言われていたに違いない。働く母親としての意地があったのだと思う。料理も家事もしっかりこなし、立派に子育てと仕事をやり切った。

だから、のらりくらりと手を抜く娘にちょっとひと言、物申したくなるんじゃないだろうか。

何しろ私は「そのくらい」と言われそうな、その一手間をかけて、大切に丁寧に育てた娘なのだから。

母は私の誇りでもあるけれど、私と母はあくまで違う人間で違う時代を生きている。母にできることが私にできなくてもいいし、逆に私にできて母にできないことだってある。ちなみに母は絶望的に絵が下手である。

それに、親が願うのはいつだって子どもの幸せだけだ。そして、子どもだって親の幸せを願っている。できるだけお互いが顔を見合わせて、笑顔でいられる時間を増やしたい。

何しろ子育てには終わりがあるのだから、限られた時間をめいいっぱい楽しみたいじゃない?

来年の目標は、家事代行で掃除を頼むことと食洗機を買うこと。後者は空間の都合上引越しをしないと難しいが希望は出しておこうじゃないか。掃除は「まぁ自分でできなくもないし…。」と思っていたけれど、せっかくだからやってみたい。

たかが「それくらい」、されど「それくらい」。

もしかしたら私の作るわずかな手料理も、誰かから見たら「それくらい、やらなくてもいいのに!」と言われてしまうかもしれない。

損得勘定ではなく心が喜ぶことに目を向けて、しっくりくる自分だけのバランスを見つけること。息子と残された時間をしっかり味わっていきたいな。

それでは、また🎀


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