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ICTコンサルタントが勧めないシステム導入


ICTコンサルタントとは?

会社によってその役割は違ってきますが、未来企画室のICTコンサルタントとはITを活用する為の設計図をつくる仕事です。

IT業界の人には要件定義書やER図のことでしょ?と言われますがそうではありません。

もちろん、要件定義書や仕様書や設計書、画面遷移図、ER図なども作成できますが、ICTコンサルタントはもっと根本的なものを担います。本来であればICTコンサルタントという分野はシステム開発会社の営業が担うべき部分にあたると思っています。


どうして設計図が必要なのか

設計図が必要な理由はどうしてシステムが必要なのか?と同義です。

システムを入れてなくてもうまくいっているなら、それで良いのではないかと思います。最近では補助金が出るからシステム入れようとか、DX化が主流だからウチの会社も乗り遅れるわけにはいかないなど聞きますが、本当にそうでしょうか?

システムを入れるには少なくないお金がかかります。対費用効果がないのにシステムを導入するならそれは経費の無駄遣いです。

システムを導入するからには、

「人件費を抑えてその部分をシステムが担う」

「情報を一元化して顧客に提供できる価値を高める」

「案件管理をフェーズごとに分類し、最適化する」

など、費用をかけるだけの価値がないといけません。

身も蓋もない話をすると、飲食店でオーダーを取る端末を開発するよりも、食券機を置く方がずっと費用対効果が高い場合があります。

こうした見解はシステム開発会社からは、まずでにくいと思います。



具体例「システム化で人件費を抑える」

システム化で人件費を抑えるというのが最も効果が見えやすい例です。

システム導入による費用比較

だいたいこの構図になります。人が手入力していたものが自動化され、帳票まで出力できれば人件費も削減できますしミスも減ります。ですが、最も大きなメリットは人の質に左右されなくなるということです。これから少子化がどんどん進み人材不足は今よりも深刻になります。状況にもよりますが、システム費用が人件費より高くても導入した方が良い企業もあり得ます。エクセルみたいに数式が壊れることもありませんし、入力状況も共有できます。ファイルの受け渡しも必要ありません。そして誰でも出力可能です。

これは費用対効果を前提に考えなければ成立しません。あんな機能もあれば便利、こんな機能もあれば便利など、どんどん機能追加していくと複雑で担当者にしか操作できないシステムになります。そして事務作業が楽になるだけで、結果人件費の削減にはなりません。



具体例「共有化による業務改善」

「担当者に確認します」よくある話ですが、担当者しか顧客のことを把握していないということがしばしばあります。

これは非常に効率が悪い状況を社内で生んでいるなら、システム導入を考えた方が良いです。

顧客から発注を受けたものを伝票をめくってしかわからない、別途頼まれたものはメモ頼りなら非常に危険な状態です。その担当者が会社を辞めた途端に顧客まで離れる危険性があります。

共有システムとは、顧客情報を「いつ」「誰が」「どんな対応」をしたのかを記録するものです。「営業」が頼まれたものを「配送担当者」が現地で確認できるシステムがあったらとても便利ですよね。これにより、「お客様の時間」と「確認する時間」の両方を削減できます。昔は「報告」「連絡」「相談」で上司が把握する人頼りが重要視されていましたが、今はそうした組織体系を維持できている会社が少なく、とりあえず日々こなすことで手一杯な会社が多くあります。



具体例「別会社同士による情報共有」

システムは社内のみで使用すると考えがちですが、別会社同士での連絡ツールとして非常に有用性を果たす場合があります。

例えばブライダル業ではどうでしょうか?「衣装会社」「調理会社」「ギフト会社」「宝飾会社」「音響・映像会社」など一人の顧客に対して様々な会社が必要になる状況です。ブライダル担当者は何が決まっていて何が決まっていないのか、把握する必要があります。そして総額の見積も出さなければなりません。それらをひとつひとつ電話やメールで決めていくのは相当しんどいはずです。それらが視える化されるだけで、圧倒的な負担が減らせます。



具体例「システムが機能してない所からの改修」

秘密保持契約(NDA)があるので書ける範囲での実例になります。「システム運用費」と「デバイス機器」に1億以上かけたものが不具合が多く、改修依頼を受けた例です。
不具合の原因がアップデートの度に再設定が必要になり、気づかずに使用していると機能しないという致命的なものでした。世界的に有名なデバイスを使用しており、不具合が出る理由を誰も考えていませんでした。何よりもかけてきた金額が高く、見直すという選択肢を自ら消していました。

まず、デバイスの運用の複雑さから現デバイス自体を廃止し、新たに選定しました。システムも新たに構築しシンプルにしました。結果的に2000万円で開発でき、ランニングコストも5000万円からほぼゼロまで持っていきました。

高額なシステムが高性能ということはありません。システムの目的を明確にし、必要なコストを算出するべきだと思います。新しく導入し直したにもかかわらず、結果ランニングコストが5000万円も削減できることもあります。



設計図はシステムがどんな利益を与えてくれるかの道しるべ

設計図、設計図と言っていますが、顧客に提出するのは提案書です。その提案書にはどのようなシステムを構築すれば、どうした効果が期待できるという具体的な運用フローのご提案です。

もしあなたが社長で効果が不透明だが、担当者がシステムが入ればよくなると言っているので印鑑を押そうかな、と考えているならちょっと待った!です。システムには期待する効果があるべきです。それが明確でないなら、本当にそれは必要なシステムでしょうか?

もし、迷ったら一度ご相談ください。まずは簡単なアドバイスをさせて頂き、設計図が必要だと考えた時にご依頼頂ければ幸いです。


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