第二回「本日はケアマネ日和」
ケアマネジャーの人材不足が叫ばれる中、ケアマネジャーの仕事をいきいきと楽しまれている方からお話を伺い、未来のケアマネジャーのあり方をヒントを得られたらと思い、始めた連載です。
今回お話を伺ったのは、青森県十和田市にて合同会社くらしラボを経営されている橘友博さんです。
Q これまでのキャリアについて教えていただけますか?
20歳で地元の社会福祉法人に入職し、特別養護老人ホームやデイサービスで勤務をしながら介護福祉士を取得、27歳でケアマネジャーとなり居宅介護支援事業所に配属となりました。2015年には独立し居宅介護支援事業所を立ち上げ、その後2016年に訪問介護事業所、2017年に通所介護事業所、2019年には小規模多機能ホームを設立しました。
Q今では代表者としての役割が中心となっていますが、ケアマネジャーとして心に残っていることは?
印象に残っているストーリーは、ケアプランの目標を本人と一緒に考え、本人が主体的に取り組めるケアプランが出来上がり、その目標を達成できたことです。“昔見た夕日を見に行く”という目標を一緒に達成する事が出来て、本人が主体的に取り組めるケアプランの大切さを実感できた瞬間でした。
Qケアマネジャーの魅力は何だと思いますか?
ケアマネジャーの魅力は何といっても単なる「ケア」ではなく、全人的にその人の人生に関われることだと思います。その人の生活のことを親身になって一緒に考えて、それが上手くいった時、利用者さんと家族からの「ありがとう」がやり甲斐であり魅力ではないかと思っています。
Qケアマネジャーの働き方やキャリアについて思うことはありますか?
弊社では完全フレックス、完全テレワークO Kにしています。自由度がある分、結果を伴う責任も生じます。ケアマネジャーは自らの仕事を管理し、律していく必要がありますがそこができれば様々なキャリアに応じた働き方が可能な職種ではないでしょうか。この働き方はトップダウンで考えたのではなくみんなで勤務形態を考えました。弊社では暮らしの学校という研修制度もあり、継続して学べる体制も整えています。もちろん強制ではなく、参加したい人が参加できる仕組みを作っています。
Q多くの事業を展開している橘さんですが、業務以外に取り組んでいることはありますか?
昔から地域づくりに取り組んでいます。弊社が展開している場所が自分自身の家があり、昔通った幼稚園や小学校、中学校がある場所です。近所の方は顔見知りが多いので地域というより地元といった方がしっくりくると思います。
今は子供会もないし祭りも参加人数が減っていて「町内会」という単位が瀕死の状態です。そんな中でも共通の趣味があったり、同じ子育て世代、一人暮らしのお年寄りの方たちなど、町内会という単位でなくても繋がりを作ることが必要だと感じて活動を行っています。また、個人事業を起こして遺品整理やゴミ屋敷の片付けを行っています。この活動自体は独立した時からやっていましたが、仕事として請け負うようになったのは3~4年前からです。これは目の前の困った人を何とかしてあげたいというシンプルにその気持ちだけです。
Qこれから橘さん自身はどんなプランを考えていますか?
大変な人や困っている人の手助けをしていきたいという根っこの気持ちは変わっていません。仕事をしているという感覚ではなく、自分が出来ることを手伝っているという感覚です。私は地域という言葉が好きではありません。自分が生まれ育った地元、知り合いがたくさんいる地元で出来る事をやっていきたいと思います。「介護」というより「福祉」の人でありたいと思います。
20歳で福祉の仕事に携わった時から、橘さんの思いには迷いやブレがなく今もなおその気持ちは続いています。多くの事業を展開出来たのは、会社のコンセプトである“あなたの普通を考える”“その人の普通を考える”という事を諦めなかったこと、また同じ思いを共有し共に頑張ってくれる仲間の存在があったからだと話してくれました。橘さんはケアマネジャーとしても会社の代表者としても、相手が主体的にやれるよう共に考え行動し、そこに導いてくれる、そんな安心感を与えてくれる存在だと感じました。これからも地元で根をはり、“近くの頼れる人”というポジションを大切にしながら、大切な人達の暮らしを支え続けていかれるのではないでしょうか。
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記事執筆 中尾 由佳里
ケアハウスや特別養護老人ホームの相談員、居宅介護支援事業所の管理者を経て現在は在宅医療・介護連携支援センターに勤務。高校生の頃から相談援助の職に就くことを目指し、今もなおこの職に魅力を感じている。散歩をすることが好き。
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