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第一回未来をつくるケアマネcafe

令和5年10月16日 第一回未来をつくるケアマネcafe(ZOOMによるオンライン開催)
 
「ケアマネに必要なコミュニケーション力とは?」というテーマで、山勝ライブラリ代表取締役の山下勝巳氏のお話からcafeは始まった。
 
山下氏は大阪府羽曳野市の商店街を拠点として、カフェ併設のケアプランセンター、訪問介護や地元の学生が利用するレンタルスペース等、多角的に地域に根差した取り組みを展開している。
 
多職種連携という言葉をよく耳にするが、まちの人たちから見たらケアマネジャー、介護サービス事業所、医療職、行政、すべて同業者。山下氏が運営しているカフェ「FIKA三丁目」では、特別に介護という言葉を意識せずとも「あそこに行ったら何かしてくれるんちゃうかな。」と、人がふらりと立ち寄る。バイク屋やコロッケ屋、ふとん屋など暮らしの中にある様々な職業にある人たちが自然に助け合い、そこにケアマネジャーの存在が溶け込んでいる。
 
山下氏の話を要約する。「What are you for?~あなたは何者?何をしてくれる人なの?」こう聞かれたらあなたはすぐに答えられるだろうか。ケアマネジャーは決して説得のプロではない。納得値を上げるプロである。そのためにはコミュニケーションが大切だが、これは手段であって目的は合意形成となる。
 
自分の気持ちの伝え方に悩む人は少なくない。今回はアサーションについてのお話が中心となった。アサーションとは、お互いが率直に、素直に、正直に自分の気持ちや考えを伝え合い、聞きあうこと。人には自己表現に「非主張タイプ」「攻撃タイプ」「アサーティブタイプ」の3つのタイプがいる。ケアマネジャーとしてアサーティブな関係構築こそが、コミュニケーションの目的になると山下氏の声に力がこもった。具体的にアサーションのやり方について、実際の事例を紹介しながらさきほどの3つのタイプの人がどのような対応になるのか話される。ここでは、自分では今が最悪の状況であると思い込んでいる利用者に対してどのような言葉をかけたらいいのか、アドバイスをいただいた。コロナによる入院により要支援から寝たきりになってしまった利用者が、帰宅後のサービス拒否から歩行器のデモをレンタル開始するまでのきっかけに、自宅前の公園への車いすでの外出があった。ジャングルジムをつかんで立ち上がった視線の先に通い慣れた酒屋があった。山下氏はこう話す。コミュニケーションは動機付けだと。頭でわからせるものではない。時には体験が先にあってもいい。
 
最後に、アサーションの3つのヒントを聴く。ケアマネジャーの仕事は、表出されない感情を読み、手を差し伸べ、心の充足を一緒に喜ぶことのできる、血の通ったもの。コミュニケーションスキルは、納得値を上げるための手段の一つであり、そのためにアサーティブな関係構築を役立ててほしいと締めくくられた。「ケアマネジャーに疲れてバーンアウトしてほしくない。自分の心を大切にして、持続可能性も大切に。」というメッセージとともに。
 
 
休憩を挟んで、60名を超える参加者が4~6名のグループに分かれて対話を行った。山下氏の話を受けての感想や、日頃のコミュニケーションで自身が感じる課題、これからどうしていきたいか等を意見交換し、最後に全体でシェアする発表の時間が持たれた。今回はケアマネジャーの参加が多かったが、それ以外の方もおられ、ケアマネの仕事に関心がある方、受験をめざしている方など様々な立場からの意見も寄せられた。各グループにはできる限りファシリテーターが配置され、初参加の方でも話しやすい雰囲気がつくられた。それぞれが非主張・攻撃的・アサーティブの、自分はどのタイプか振り返ることができ、グループ内で新人ケアマネが先輩ケアマネの方から助言をもらったり、居宅と施設のケアマネジャーがお互い良い刺激を受けていた。ゲストスピーカーの方のお話を聴きアサーションスキルを身に着けたいと実感し、グループの対話で様々な違う視点にまた新たな気づきが生まれ、2時間はあっという間に過ぎていった。
 
 
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記事執筆 下猶 好恵
特養やデイサービスで介護職員を経て、施設ケアマネを4年間経験。在宅支援をやりたくて小規模多機能型居宅介護に移り、10年。絵を描くこと、本を読むこと、お茶の時間が大好きな管理者兼ケアマネジャー。
 
 
 

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