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第三回 本日はケアマネ日和

ケアマネジャーの人材不足が叫ばれる中、ケアマネジャーの仕事をいきいきと楽しまれている方からお話を伺い、未来のケアマネジャーのあり方をヒントを得られたらと思い、始めた連載です。
 
 
今回お話を伺ったのは、東京都中野区にて株式会社五生を運営されている千正英五さんです。
 

インタビューを受ける千正さん

 
Q.これまでのキャリアについて教えて頂けますか?

 平成5年の秋頃、アルバイト誌に「寝たきり高齢者の入浴サービス運転手募集」というのを見つけたのがきっかけです。その時は仕事の内容も充分に把握していなかったのですが、知り合いに相談をしたところ、「福祉はこれから可能性しかないからやってみなよ。」と背中を押され、やってみる事にしました。

当時の訪問入浴車は「さわやか号」とデカデカと書いてあり、道行く小学生に指をさされて笑われた記憶があります。その後、介護福祉士を取得し、ケアマネジャーを取得後、中野営業所の管理者となりました。数年後、中野区初の民家を利用した「認知症対応型通所介護事業所」を設立しました。その後、平成28年に独立し「株式会社五生」を立ち上げ現在に至っています。ケアマネジャーの資格は、2000年4月の第1回の試験を受験し、介護保険施行当時から2024年までの24年間、中野区の介護支援専門員として働いています。現在事業所にはもう1名ケアマネジャーが在籍し、2名体制でやっています。 

高齢者会館対抗カラオケバトルの表彰式にて


 Q.ケアマネジャーの仕事の中で、心に残るストーリーや気づいた事があれば教えて下さい。 

朝一番の電話で「(飼い猫の)サンタが逃げた・・・捕まえてくれ!」と猫の捕獲相談が入ったり、癌末期で余命数ケ月の利用者さんを、中野から熊本県の実家まで大移送計画を立てたりと色々あります(笑)。賛否あると思いますが、介護保険が始まった当初は何でもやっていました。電話で相談を受けると「まずは現場に行く」、それしか方法が分からなかったという事もありますが、そういうスタイルでやっていました。それが楽しかったですし、やりがいに繋がっていたと思います。  

ケアマネ音頭撮影の様子



 Q.ケアマネジャーの魅力や働き方、キャリアについて思う事はありますか。 

最近ケアマネジャーも含めて、介護現場で働いている「若い人」がもっと自由に「チャレンジ」できる環境を作ってあげられないか?と思うことが多いです。介護保険制度が始まった当初は、ケアマネジャーになる事を目標に働いている人も多かったと思います。ケアマネジャーが輝いていた時期も確かにありました。しかし今は制度がガチガチになってしまい、リスクを冒してまで変化することを善しとしない雰囲気があるように思います。まずは若い人が自分の思いを実現出来る環境を整えてやりがいを肌で感じてもらう、後は調整していけば良いのではないでしょうか。若い人がどんどん入ってくる業界は未来があって魅力的ですからね!  

ケアマネ音頭を地域の方と一緒に



 Q.本来業務以外に取り組んでいることはありますか?どんな相乗効果がありましたか?

 独立後、地域活動はやろうと決めていました。地域のお祭りで「何か面白い事をやってくれないか?」と誘われたことがきっかけです。もともと音楽はやっていましたので、ケアマネの魅力を発信しようと「ケアマネ音頭」を作詞作曲しました。今では様々なイベントで呼ばれるようになりました。お祭りでは「ケアマネフランク」や「ケアマネシロップ」で屋台も出し、子供から大人まで幅広く“ケアマネジャー”という職業を知ってもらうことに力を入れています。“ケアマネジャー”自体を知らないと目指す事も出来ませんからね。介護と若い人を繋げる方法は堅苦しいと上手くいかないと思いますので、楽しみながらやっています。ケアマネ音頭普及会が中野区以外にも広がり、活動に賛同してくれる人達が増えてきています。 

お祭りでケアマネフランクを販売

  

Q.ご自身の事も含めて、今後はどんなプランを考えていますか? 

介護以外では、最近「子育て関係」に力を入れております。具体的には今年中野区で「ホタルを復活させよう」といった活動を始めました。ホタルを捕まえペアリングし「採卵」に成功、現在ホタルの幼虫が「450匹」生まれ元気に育っています。来年の6月~7月頃には今育てている「ホタル」を子供たちに披露できるのではとメンバーで楽しみにしております。   



  
介護保険制度が始まる前からこの業界で活躍をされてきた千正英五さん。「介護保険制度が始まった当初は大変だったけど楽しかった。」 千正さんの語る様々なエピソードからは、大変な時期を楽しみながら乗り越えてきた様子が伝わってきました。新しい人材を確保していく為にはまずは知ってもらうこと。そして若い人達には、様々な事にチャレンジをしながらやりがいを実感してもらう、言葉で伝えるだけでなく体感するという事を大切にされていると感じました。それは多くの仲間と共に作りあげてきた、「ケアマネ音頭」にも通じるのではないでしょうか。様々な発想で、多世代に向けて“ケアマネジャー”という名称や職業を発信されている姿は心強く感じました。  

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記事執筆 中尾 由佳里
ケアハウスや特別養護老人ホームの相談員、居宅介護支援事業所の管理者を経て現在は在宅医療・介護連携支援センターに勤務。高校生の頃から相談援助の職に就くことを目指し、今もなおこの職に魅力を感じている。散歩をすることが好き。

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