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【連載】なぜ僕らは働くのか#2【前編】

好きなことを仕事に。そんな言葉をよく耳にするようになった。

フリーランスや起業といった、自分独自のスタイルを追い求める若者も増えてきているように思う。実際、僕のまわりでも少しずつ「大学を卒業したら、就職するか、フリーランスで頑張るか…」と悩んでいる声も耳にするようになった。

しかし、僕もこの2年間、anone, を「仕事」と呼べるまでに本当にギリギリの生活を送ってきた。ミライジンに入るまでは、友人から借金をして食い繋いだこともあった。そうした経験があるからこそ、何の考えもなしに「好きなことを仕事にしよう」とはこれから仕事に就こうとしている人にうかつには言えない。

そんな中でも、代表の小林はよく「ワクワクすることだけを仕事にしよう」と僕たちに伝えてきた。極端なようにも聞こえるが、楽しいと自分が感じられる仕事以外はしてはいけないと言うのだ。だからこそ、ワクワクすること、自分が好きなことを仕事にするということはどういうことなのか、を聞いてみたいと思う。

◼︎プロフィール
小林宏樹(こばやし・ひろき)

株式会社ミライジンラボ代表取締役社長。大手インフラ系企業において最適化アルゴリズムを使ったサプライチェーンマネジメントモデルを開発するデータサイエンティスト、エネルギートレーディングのクオンツとして10年勤めたのちに独立。大阪大学招聘講師。現代の働き方に疑問を感じていたところ、ラズパイ遊びを一緒にしていたCTOの林と意気投合しミライジン・ラボを創業。高度分析業務を、個人の能力・特性に適した工程に分解・組立することで、新しい活躍の仕方を生み出している。 現在は社内のプロジェクト全体を統括。3歳と1歳の娘に手を焼くパパでもある。

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自由には、必ず責任が伴う

中西:今回はよろしくお願いします。普段小林さんは僕に「ワクワクすることだけを仕事にしよう」とよくおっしゃいますが、それって簡単には人に言えないなとも思っていて。

僕自身、anone, という「自分が好きなこと」を仕事にしようとして、なかなか大変なこともあったので…。率直に小林さんはその言葉の裏にどういうことを考えていらっしゃるんですか?

小林:最初にパッと、好きなことを仕事にするには「自由」と「責任」はセットやってことが思い浮かんだ。ここでいう「自由」は「好きなことをする」こと。「責任」は「何か問題が起こっても自分で尻を拭う」ってこと。

起業してから、好きなことを仕事にしたいって人とたくさん話す機会があったけど、その2つはセットになっていなかった印象が強かったかも。

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中西:なるほど。何か具体例はありますか?

小林:例えば、サラリーマンは定額給与を「もらう」ことが先に決まってるようなもんやん。だいたい、勤めて3年目くらいから、社内起業的な枠組みで「新規事業がやりたいです!」みたいな声を上げてる人は結構いると思う。

確かに意気込み自体は素晴らしいと思うんやけど、例えば新規事業が赤字になったときも固定給もらうの?って思っちゃう。それでも「新規事業にもっと専念させてほしいのに」て感じてることもあって…。これがさっき話した「自由」と「責任」が釣り合っていないと感じたケースかな。

中西:なるほど…。僕も似た様なケースが思い浮かびました。今回の新型コロナ騒動の中、Twitterでアーティストの方が「国の保障が少ない!」と怒ってらしたのを見て。もちろん、国の要請でライブハウスとかコンサート会場を閉じざるをえなかったのはわかるけど、アーティストという職業そのものが、初めからリスクの高い職業だったんじゃないか?って思うんですよね。

だから、そこで自分でなんとかするんじゃなくて、ただ国や他の人に文句を言うだけじゃ、それって「責任」を背負う覚悟がなかったんじゃないかな?と。

小林:うん、それも「責任」に対する覚悟の話やと思うねん。自分の好きな音楽をやって仕事にするという「自由」と、今回のように何か問題が起こってもちゃんとリカバリーする「責任」のバランス。まあアーティストといっても、フリーの人もいれば事務所に所属している人もいるし、状況はそれぞれ違うと思うけど。

もしかしたら、中西君が言ってくれた、Twitterでただ文句を言うだけの人たちが本気でそう思ってるなら、好きなことをやるっていう決断と、覚悟が釣り合っていなかった部分もあるように見えるかな。音楽をやりながら、安定した生活を保障してくれる公務員や医療関係の仕事につく、いわゆる「サラリーマン兼アーティスト」って道もあって。そうしている人もたくさんいるし。

後編に続く

◼︎執筆者プロフィール
中西高大(なかにし・たかひろ)

1996年生まれ。大阪大学在学中に、従来の「多様性」を推進するあり方に疑問をもち活動を開始。2020年1月 セクシュアリティ分析サービス「anone,」をリリース。10万人のユーザーにサービスを提供している。現在は株式会社ミライジンラボにてサービス運営を行いながら、同社のPRやブランディング戦略にも携わっている。

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