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転生したら競走馬だった件(ペルフェツィオーネ後編)


精神と時の部屋(グリーンウッドT)へ

気性面に明らかに課題があるペルフェツィオーネ。杉山佳明師は気性面の変化を促すための手段として「とにかく外厩で強い調教で追い込みまくる、気持ちが入ったら入厩させすぐレースに使う」事を選択。ここからしばらく強い調教を施されることになる。並の馬であれば怪我したり馬体重が減ったりするかもしれないが、頑丈さが取り柄の馬だけによく考えられた戦略だろう。

(10月)

>「競馬を使ったダメージはなく元気も良いので、すぐに坂路で乗り始めました。ただ、馬体のシルエットがまだ若干細いので、もう少し体重が乗ってくるまではスピード調教を控えて、15-15一歩手前の調教を続けたいと思います」

(11月)

>「13-13までペースを上げたところで自分からグイグイいく感じが薄れてきたので、単走で行なっていた調教を併せ馬に変更しました。併せると多少気が入るものの、指示待ちな感じで反応が遅いところがあるので、しばらくこのペースで乗り込んで変化を待ちたいと思います」

>「動き自体はしっかりしているけど、相変わらず促されると仕方なく加速する感じで、自分からやる気を出してはくれません。精神面については頭が痛いところだけど、しっかりと調教をこなしているので、身体面は筋肉の張り感がすごい事になってきました」

>「入場時から馬体重が20kg増えました。明らかに筋肉量が増えているので成長分が多いと思うけど、これだけ乗り込んでも増量するのは馬が楽をしている証拠とも言えます。こちらはハードに攻めているつもりでも、まだ攻めきれていないのでしょう。普通はこれ以上に攻めを強化する事はないけど、杉山先生と相談してからもう一歩踏み込んだ調教に進めてみたいと思っています」

通常の外厩の最大クラスの負荷でも全然応えていないペルフェツィオーネ。しかし順調に乗り込んだおかげか馬体の成長は著しいらしい。


(12月)

>「待ちに待った気持ちの変化がようやく出始めました。ギラギラ感にはまだ遠いけど、良い意味で前のめりになってきたので、もうひと押しだと思います。良い傾向にあるのは間違いないので、攻め続けながらもうしばらく様子を見守ります」

>「まだ乗りやすすぎるのでもっと荒々しさがほしいけど、以前に比べるとただ走っているだけではなく、だいぶ気持ちが入ってきました。ほかの馬ならとっくにバテているほどきつい調教メニューを課しているけど、疲れは皆無なのでもう少し攻め続けてみます」

>「うるさいほどではないけどペルフェにしては気が入ってきたので、そろそろトレセンへ戻します。年末年始の検疫状況が読みづらいけど、うまく馬房を確保できたら1月7日5Rか20日12Rの京都の芝マイルを予定したいと思います」

年始に出走の予定が出たが、検疫馬房を確保出来ずに予定は大幅に遅れてしまう(2回目)
しかし狙い自体は良かったようで、みっちり調教を積みながら約30キロの増量に成功。
コレで結果が出ないはずがない!と思っていた。


期待と絶望の狭間で

(1月)

>「当初の復帰予定がずれてしまったけど、ようやく帰厩の目処が立ちました。引き続き気持ちが乗っているペルフェは休み明けの一戦が勝負だと思っているので、リーディング上位の中からしっかり追えるジョッキーを選ぶつもりです」

>「成長分を含めても馬体に若干余裕があるので、坂路でさらっとやりました。実質ラスト2ハロンの追い切りだけど、脚の回転が速くて迫力満点な動きで、誰の目にも明らかな良い調教ができました。日曜日にはCウッドコースで長めからしっかりと負荷をかける予定です」

気が入ったフレッシュさを維持しながら出走させるために10日競馬を選択。まるで産地直送の魚🐟みたいだぁ…
鞍上には好騎手である鮫島克駿を起用。
杉山佳明師も成長を感じているようだしコレは貰った!
1/29の小倉芝1800mに出走したペルフェツィオーネ。パドックでの気配も良く、人気こそ無かったがパドック推奨馬にも挙げられた。

レースは中段待機。4コーナーでは抜群の手ごたえで二列目の外を駆け上がって…アレ…??
コーナーを回り切ったあたりでは脚色が鈍り、さりとてバテてるわけでもなくダラダラとした走り。7着でゴールイン。
これで芝では3戦連続の7着で、全く嬉しく無いスリーセブン🎰達成である。

休み明けで勝負の一戦と位置付けた舞台で何も変わっていなかった。私を含めた出資者は絶望を味わったと思う。コレでダメならもう…

>鮫島(駿)騎手「内枠からスッと出てくれたけど、内の荒れた馬場を通りたくなかったので、向正面で外に出しました。そのときに馬が言う事を聞いてくれず、少しモタつきました。左へ行けと指示すれば右へ行くし、右へ行けと指示すれば左へ行くといった感じでした。コーナーの曲がり方もぎこちなかったですね。子供っぽいところが出てしまったけど、行きっぷりは悪くなかったので、距離は詰めたほうが良さそうに感じました」

杉山(佳)師「パドックから活気があって良い雰囲気だったと思います。スタートが決まったし、勝った馬の直後で不利なくレースを進めていたので、最後に伸びきれなかったのが納得いきません。ジョッキーが千二でも良いと言っていたぐらいなので、距離が長かったのでしょうか。上がりに問題なければ続戦させる予定だけど、距離については短縮する方向で考えてみます」

スタミナはあると思うが集中力の問題もありコーナー4つだとどうしても動きが散漫になってしまう。佳明師も納得いかないようで禁断の連闘を示唆。これでダメならもう…


ついに覚醒!お尻目掛けて突撃だ!


2/3京都芝1600m。このレースを連闘で出走したが、このレースは有力馬がこぞって出走してきた。何しろ新馬戦から3着→2着としてきたルージュラメンテあたりですら6番人気におさまる大混戦。これだけのハイレベルメンバーにおいて、ペルフェツィオーネが人気するはずもなく16頭立て15番人気…。

パドックではいつもなら馬っぷりだけは負けてなかったのに、まるで覇気がない…トボトボと内側を元気無く周回している。
取り柄の元気さすら失い、出資者の絶望感はピークに達しつつあった。

レースでは後方をなんとなく追走。この日の京都は荒れ馬場だったがハイレベル戦らしく前半1000m58.0の前傾ラップになった。
鞍上幸英明は直線後方から外に出すと、前を走る永島まなみ騎乗のモアニの真後ろにつける…と
今まではなんだったのかと突っ込みたくなるような脚を見せた。
永島まなみのお尻目掛けて懸命に脚を伸ばすペルフェツィオーネ。見事2着でゴールイン!!


意外性の馬ペルフェツィオーネ。1着も人気薄だったこともあり馬連2284倍、三連単に至っては490万超の大波乱決着。この大波乱の立役者は間違いなくペルフェツィオーネだった。何しろ複勝ですら58.4倍ついた…

後で出たニュース記事があるのだが、パドックを見ていた女の子が「あの馬(ペルフェツィオーネ)が良い!」と言ったら父親に「あの馬は元気がないからダメだよ」と。父親は頭を抱えたに違いない。

一応ペルフェツィオーネを信じていた私はモアニとペルフェツィオーネの馬連ワイドを奇跡的に買っていた。(モアニ本命で色々買っていた)
この馬券だけで出資金は余裕で回収した😂

>杉山(佳)師「能力自体を疑った事はなかったけど、初めてレースで脚を使うペルフェを見られて本当にホッとしました。幸騎手がせかさずやめさせず上手に乗ってくれたし、時計のかかる今の京都の馬場も合いましたね。ただ、幸騎手が『まだ子供。向正面では走るのをやめようとしていたし、最後は伸びたというより外から交わされた勝ち馬にただついていっただけ』とコメントしていたように、まだ本気の走りではなかったようです。あらためて能力を確認できたし伸び代もありそうだけど、まずはひとつ勝たないと先がなくなってしまうので、なるべく早く勝てるように今後も頑張ります」

能力はあると言われ続けていたが、ついにその片鱗を見せてくれた。ペルフェツィオーネの走破タイムは同日行われた私の出資馬スウィープフィートのエルフィンSより良かったのだから分からないものである。
しかしこれまでの経緯があり素直に信じられない出資者界隈では「永島まなみのお尻のお陰説」が飛び出すなど、イマイチ信用できないといった論調だったように思う。だがカッコいいペルフェツィオーネを見られたのは凄く嬉しかった。


いくらペルフェツィオーネが頑丈でも三連闘は諦めた佳明先生(そりゃそうだ)
精神と時の部屋(グリーンウッド)に再度放牧へ。10日競馬→連闘→即放牧と嵐のような馬である。

>「跨ったときの感触で、背腰が少し固くなっている事に気がつきました。普段の様子やボディチェックでは分からなかったけど、さすがに連闘で少し真面目に走った疲れがあるようです。治療の必要はなく、ほぐしながら乗る事で筋肉の柔らかみが戻りつつあります」

遂に競馬で多少のダメージを見せるようになったペルフェツィオーネ。この馬の場合は間違いなく良い傾向だろうと思う。
本来なら着権利を手放して中京で勝負を賭けるつもりだったが、枠に入らないくらい混んでるという判断により僅か10日でトレセンに戻されることになった。ホンマにめちゃくちゃやな…


実は素直な馬?!チームペルフェツィオーネに現れた長岡メンバー


幸英明騎手が小倉遠征、ペルフェツィオーネは阪神芝1600予定ということでまたも鞍上変更を余儀なくされるペルフェツィオーネ。
候補として挙がったのは長岡禎仁騎手だった。

>杉山(佳)師「週末に行なったコース追いの動きが良かったし、直前の坂路でも行きっぷりが良くて最後まで集中して走っていました。能力的には未勝利クラスにいる馬ではないと思うので、しっかり走りきってほしいです。鞍上は、めぼしいジョッキーが空いていなかったので、何度か調教に乗っている長岡騎手に依頼しました。彼ならペルフェの事を理解しているし、一応言い訳をさせてもらうと、選べる騎手の中では関西リーディング25位で最上位の成績です」

長岡騎手「ペルフェツィオーネに乗りづらさや気難しさを感じた事はなく、逆に性格が素直すぎる馬という印象です。隣の馬が上がっていけば一緒に上がって行くし、目の前に入ってこられたら簡単にどうぞどうぞと譲ってしまう感じです。騎乗している自分のほうに意識を向けさせていればほかの馬からの影響は受けにくいので、レースではそこを意識して走らせます」


いきなり現れた(あくまで更新にね)長岡メンバーは癖馬のペルフェツィオーネを「素直すぎる」と評価した。前世はニートエロおじさんと言われていたペルフェツィオーネは無事に「前世はピュアボーイニートエロおじさん」に進化した。


レースではペルフェツィオーネを熟知していると言っていた通り、流石の手綱捌きで導いてくれたが…兄にピクシーナイトを持つ良血馬ジュンヴァンケットがとんでもない脚で他馬を子供扱いにする展開。
ペルフェツィオーネは阪神の急坂に手間取るも、他の有力馬に混じり4着でゴールイン。

望んでいた結果ではなかったが、このメンバーでこの結果であればやっとまともにレースをし始めたと判断できるだろう。
パッショーネの牧場長が、真面目に走れば既に2つは勝ててるとまで言った馬である。少しずつではあるが、光が見えてきた。


流石に馬体には疲れが見えたため、じっくり放牧をして馬場が荒れてきた頃の新潟や阪神を目標に調整されることになったペルフェツィオーネ。


もう不真面目とは言わせない


(4月)

>グリーンウッドT厩舎長「すごく元気で身体に張りがあり、心身ともに良い状態です。もういつでもトレセンに送り出せるのに、間隔を空けないと芝のレースを使えないようですね。しばらく15-15の調整を続けるけど、杉山(佳)先生の指示があればすぐにペースアップします」

>「よく動いてよく食べるので筋肉量が増えているし、全身の筋肉に柔らかみがあってプリンプリンしています。すぐに使えないのはもったいないけど、こればかりは仕方がないので、しっかり状態をキープしていきます」

(5月)

>「柔らかな良い動きができており、これまでで一番の状態にあると思います。杉山(佳)先生が来場されたときはかなりの興奮状態だったので馬見せで大暴れしていたけど、普段は程よい気合い乗りで精神状態も良好です。初めてお預かりしたときから能力の高さを感じていたので、今度こそ勝ってほしいです」


やはり能力には間違いないものがあると。過去一と断言するその状態面は如何程のものか…?
それは帰厩してからの追い切りで明らかとなる。また検疫馬房がとれず(3度目)狙っていた新潟最終に間に合わないというアクシデントもあり多少ざわついたが…


>川又・5月16日(木)栗CW稍・4F69.2-53.0-37.3-10.9(9分所・強め追伸る)
レディフォース(古馬オープン)一杯の外1.3秒先行同入
ナイトアクアリウム(古馬3勝)一杯の外0.9秒先行0.4秒先着

杉山(佳)師「1週前なので来週予定している3頭でしっかり併せました。格上2頭を完全にあおっていたし、適度に締まった馬場とジョッキー騎乗を割り引いてもラスト1ハロンはものすごい時計がでましたね。最後まで集中していたし、絶好調です」


9分所から終い2F22.5というとんでもない脚を披露。調教時計は今まで地味だったので、計測ミスを疑うレベルの猛時計を出してくれた。併せた相手も申し分なく、過去一のペルフェツィオーネであることは間違いなさそうだ。
5/26の京都芝1600にローレルと好相性の斉藤新起用。
出資者界隈では斉藤新を女の子と勘違いしてやる気を出した説が飛び出すなどお祭り騒ぎだったが、実際は川又騎乗ということで盛大なオチがついた。

期待と不安のジェットコースター。恐怖の癖馬はどのようなレースを見せてくれるだろうか。本当に楽しみである。

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