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ミライの霞が関に向け、河野大臣と議論!

我々、ミライのカスミガセキは霞が関をよりよい政策を立案・実行できる組織にするための活動をしております。先日、河野大臣に霞が関の勤務環境改善に向けた提言をしてまいりました。どのような内容を要望したのか、この場でご紹介させていただきます。

私たちは、霞が関の各省庁の若手職員有志のグループです。私たちの根っこには次のような思いがあり、動き出しました。

“霞が関を国民のためにもっとよい政策を作り、実行できる場所にしたい”、
“そんな「ミライの霞が関」を創っていきたい”

この思いを形にしていくために、NPOの方や民間の方と意見交換をしながら活動しつつ、働き方改革をはじめ、今解決すべき霞が関の組織の問題について、昨年11月以来2度目の提案を河野太郎行政改革担当大臣にしてきました。

ここでは、ミライの霞が関に向けて共に応援してくださる方々に向けて少しだけわかりやすく、我々が一体どういう問題意識を持って何を提案してきたのかについてシェアさせていただきます。多様な人と対話・議論をしていきながら、よりよい霞が関をつくっていきたいので、ご意見・ご感想もぜひ、TwitterのDMにお寄せください!


河野大臣提言の経緯

私たちがなぜ、勤務環境を改善したいのか。
それは限られた時間や人的リソースをより良い政策を作るために割けるような霞が関に作り変えていくためです。

そのためには我々若手や役所自身が、自らのあり方を省みて国民目線で不要なものは削り、物事を効率化し、できることをしっかりとやっていく存在であることが重要だと思っています。

河野大臣には昨年11月にも長時間労働の是正に向けた要望をさせていただき、その内容を政府の取組指針に反映いただくなど、着実に勤務環境改善の動きは進んでおります。

https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/w_lifebalance/pdf/kettei_honbun_r030129.pdf

そうした動きを一層加速させるため、今回は、各府省庁単独ではなかなか解決の難しい課題について、河野大臣のリーダーシップのもと、ぜひ若手目線でやってほしいと思うことを提言してきました。

今回の提言では大きく3つのポイントについて提案をしてきました。
① 法改正の実務的なルールの見直しを行う
② 霞が関ならではの事情を反映したマネジメントの導入によって、中央省庁がチームとして機能するような形に変革する
③ 長期目線で人材育成を行うことで、私たち若手を始めとする霞が関職員が現場をちゃんとわかって政策を立案・実行できるような人事上の仕組みを導入する

ここからはそれぞれ1つずつイメージしていただきやすい例を取り上げながらポイントをかいつまんで解説します。

法改正のルールについて

1つ目の法改正の実務的なルールについての提言については、正直一般の方々からしたら関心がないと思います。いやそのように断言できます。

ただ、この度、発生した法案ミス誤りのような事態が生じないようにしていく必要があると思っております。

法改正に当たっては、現状5つの資料を作成しなければならないこととなっており、実務的にかなり大きな負担を生じる作業となっています。

こうした作業を見直し、簡略化をすることで、より細かなルールの改正の検討や改正内容の周知広報といった、社会の役に立つ業務に今以上に時間を使うことができるようになります。

これをお読みの方々は、法改正でどのような資料が作成されているとお思いでしょうか。
例えば、霞が関の職員が関係者に法改正の内容説明するとき、改正前の条文と改正後の条文が縦に並んだ新旧対照表を用いて、法律の改正箇所の説明をします。
行政に少し関わったことがある方なら、新旧対照表はまだ見たことがあるかもしれません。

しかし国会において承認をする法律において、新旧対照表はあくまでも参考資料にすぎません。
国会で承認をしていただいている法律そのものは実は「改め文」という特殊な形をとっています。

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みなさん、この「改め文」が羅列したものを読んで、意味が分かりますでしょうか。少なくとも筆者は入省してから読めたことはありません。

関係者をはじめ、広く一般の方に法令改正の内容を周知し、遵守してもらうという目的を踏まえれば、法改正の資料としては新旧対照表があれば十分で、改め文は要らないと私たちは考えています。
実は法律に基づいて定められる府省令では、河野大臣が自民党の行政改革推進本部長の時に、改め文方式は廃止されております。


河野大臣が行革大臣に就任されたこの機会に、法律や政令についても、ぜひ一気に変えて欲しいということで要望をさせていただきました。

正直、この点についてはみなさんからしたら関心は薄いかもしれません。
ただ私たちとしてはこうした業務の見直しを積み重ねることで、もっと国民に直接届くようなことや、日本の未来に直接貢献できることに労力を割けるような環境を作っていきたいと考えています。

組織としてのマネジメントの強化


次に2つ目として組織としてのマネジメントの強化に関して、霞が関の状況を踏まえて提言をしてきました。

これまでなかなか、日々の超過勤務時間というのが正しく把握されておらず、マネジメントに関して管理職側のインセンティブが働かない構造にありました。
しかし、正しい現状把握がないと何も始まらないということで、今回、河野大臣が実際に職員が庁舎にいる時間(またはテレワークしている時間)を調査することになりました。そしてそれに対して超過勤務手当をフルで支給するべきという指示が各府省になされたことは画期的なことでありました。
私たちの実感としては、残業代のためにより長くだらだら働く人はおらず、育児等家庭との両立をする職員も増えている中で、効率よく働ける職場環境を求める職員は多いと感じております。

今回我々は若手職員483名、管理職52名にアンケートを実施し、河野大臣の動きを受けた現在の状況を調べました。

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結果として、今回の残業代の適正化等の取組によって、長時間労働の是正のインセンティブというのが働き始めました。したがって長時間労働を是正するための声かけは一定程度、起こるようになってきたようです。これだけでかなり大きな進歩だと思います。

他方で、声かけだけではなかなか長時間労働の是正にはつながらないので、物事の優先順位を責任を持って判断し、廃止すべき業務は見直し、効率化すべき業務は効率化し、外注できる業務は外注するといった業務マネジメントが必要です。

私たちは、管理職がそうした業務マネジメントになかなか取り組むことができない要因は何なのか、そして若手の立場から見たときにそこを打破するために提言すべき内容は何なのかというのを3ヶ月ほどディスカッションをしてきました。

それを議論する材料として、管理職に業務マネジメントについてアンケート調査した結果がこちらです。

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こうしたアンケート結果も踏まえ、私たちとしては、各府省において組織としてマネジメントを強化していく上で3つのことが重要であると考えました。

まず、霞が関の特性にあったマネジメントのあるべき姿を明確にし、関係者が共有することです。霞が関では、民間企業とは異なり、収益性のような明確な指標がなく、また組織定員は法令で規定されているため、人員調整も迅速に行えるわけではありません。こうした特性を踏まえれば、民間企業以上に、業務の徹底的な洗い出し・見直しや業務プロセスの簡略化が求められるように思います。
そして、そうした霞が関の特性にあったマネジメントのあるべき姿を実現するために有効な研修機会を設けることです。現在行われているマネジメント研修を見直し、管理職のニーズに合った有効なものとしていくことが必要です。
最後に、目標を設定して取り組むということです。現在、女性の管理職比率や男性職員の育休取得率には数値目標がありますが、長時間労働の是正については目標が設定されておりません。各府省の取組を評価し、改善していく際の目安として、目標が必要です。

こうした取組を通じ、中央省庁において、組織としてマネジメントが強化されることによって、霞が関の職員がみなさんのためにどういう政策を立案・実行するべきかという、本来の役割に時間を割くことができるようになれば、みなさんの期待にも少しずつお応えできるようになっていくのではないかと思います。

将来を見据えた組織設計・人材育成


最後、3つめは、人事施策に関する提案です。「人事施策」というと「霞が関の内部事情ね」とお感じになるかもしれませんが、実は、これこそ、この記事をお読みくださっている霞が関界隈でない方にとって一番身近で、一番大事なことといえるかもしれません。

「中央省庁の若手が現場に行く機会を持てず、実態を知らずに政策を検討するケースも少なくない」「前例踏襲ではなく、PDCAを回しながら、中長期的な視座で専門的な事業形成を行うことで、事業の有効性を改善する余地がある」

公共政策と現場の接点領域で活躍されているNPO等の方々と意見交換を重ねる中で、「現場がわかる霞が関の職員」を育成しなければならない必要性、他方なぜそれがなかなか進まないのかという課題が徐々に見えてきました。

一言でいうと、現場を深く学びながら霞が関の職員がキャリア形成をしていくための仕掛けが欠けているのだと、私たちは考えました。

霞が関の職員が現場を想像しながら政策を立案・実行する能力を身につけていく、組織として持続的に現場に根差した政策立案機能を高めていくには、戦略的な人事施策の仕掛けが必要という考えから、未熟ながら人事施策に踏み込んで提言をしました。

人事施策をより充実させることは、私たち自身がやりがいを持ちながら、よりよく国民のために働くことのできる霞が関へ変わっていくことにつながると考えます。(現状、自分の仕事が社会の役に立っているという実感を持ちながら実務に当たれている若手は4割、自身の組織が政策ニーズの変遷に柔軟に対応できていると感じる若手は3割弱という状況になってしまっています。)

さて、こうした人事施策をめぐる霞が関の実態を簡単に表そうとすると、次のような状況だと言えます。
・そもそも人がカツカツで戦略的に動かす余地が少ない
・人事部局自体がカツカツで改善サイクルが目詰まりを起こしている
・その結果、現場に出て学んでいくサイクル、戦略的な人材配置・育成のサイクルがうまく回っていかない(まるで水の入れ替えをせずに、かき混ぜ忘れたお風呂のように)。

もちろん、各省の人事担当部局が頑張ってくださっていると思いますし、提言に参画したメンバーの多くもその恩恵にあずかっています。しかし、社会の変化に対応し、機動的にみなさんのニーズに応える政策を実行できる行政組織であるためには、改善すべき点がたくさんあります。

こうした議論を経て、
将来を見据えた組織設計・人材育成に関して、
・これからの公務員像に照らした基本方針、戦略に基づいた人事への転換
・国民からのニーズに対応するために必要な研修の整備
・人事担当部局の増強
・機構・定員管理の在り方の再検討

といった具体的な提言をさせてもらいました。詳しいことに興味を持ってくださる方は、一番下のリンクから、提言本体をご覧ください。

長期目線で人材育成をを行えるよう、私たち若手を始めとする霞が関の職員が現場をちゃんとわかって政策を立案・実行できるような人事上の仕組みを導入するきっかけの一つとして、関係者がこの提言を受け止めてくださることを願っています。

ここまで、3パートにわたる提言について、読み進めてくださった方、ありがとうございます。「ミライの霞が関」を目指す私たちも、わかりやすい・読みやすい発信に向け精進します!笑

河野大臣と私たち若手は、提言について、実に30分以上、本音ベースで意見交換をさせていただきました。その中で河野大臣は、1つ目のパートの法改正実務の話や、2つ目のパートのマネジメントの話、3つ目のパートの人事施策の在り方の話など、1つ1つ具体的にどうしていくのがいいのか議論をしてくださいました。

その場で、「なるほど、これはこうなっているのか。」「誰が何をしてそうなっているの?」「わかった、それは〇〇さんが検討します!」といった形で直接的に、現在河野大臣のもとで進めていただいている改革に生かしていただくものを提案できたと感じました。

最後、河野大臣からは「目指している方向性は近い。できる限り取り組んでいきたい」という言葉をもらいました。

よりよい霞が関に向けて改革が進んでいくことを期待するとともに、私たち自身も、みなさんにとってより良い政策をつくるにはどうしていくべきか、目の前の仕事と、このミライの霞が関の活動両方のなかで、みなさんと対話しながら頑張っていきたいと思います!!

ミライの霞が関有志一同

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