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ロシア外相会見、停戦へ欧州安保の再構築要求~停戦はあり得ないことなのか~【日経新聞をより深く】

1.ロシア外相会見、停戦へ欧州安保の再構築要求

ロシアのラブロフ外相は18日、モスクワで記者会見を開き、ウクライナ軍事侵攻の停戦と和平に向けた交渉の可能性について「真剣な提案であれば応じる用意がある」と述べ、欧州大西洋地域全体の安全保障体制の再構築を含めて協議したい意向を示した。

年初の恒例の記者会見で、ラブロフ外相は「欧米とウクライナに関してだけ話すのは意味がない」と指摘した。「(欧米は)欧州大西洋地域に長年存在してきた安保体制を壊すためにウクライナを利用している」と主張し、欧州安保の枠組み全体を和平に向けた協議のテーマとしたい考えを示した。

ウクライナへの軍事侵攻で劣勢にあるロシアは、戦闘を続けながらも、和平交渉開始への糸口を探っている。ただ、ウクライナのゼレンスキー大統領が提唱しているロシア軍の全面撤退など10項目の和平案については「支離滅裂だ」と改めて否定した。

記者会見では日本にも触れ、「日本は再び軍事化の道を進んでいる」と批判した。「(軍拡へ)憲法の条文改正が行われるだろう」とも指摘した。ロシアは2022年3月、軍事侵攻を巡り対ロ制裁を発動したとして、一方的に日本との平和条約締結交渉を打ち切った。

インド太平洋地域の情勢については「軍事ブロックがつくられている」と発言した。米国と英国、オーストラリアによる安保協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」を例として挙げ、「反ロシア、反中国」だと主張した。「日本もこのブロックに引き込まれようとしている」と警戒を示した。

出典:2023年1月19日

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2.キッシンジャーの提案

ヘンリー・キッシンジャーの話はやはり世界に影響があります。

キッシンジャー

アメリカのニクソン、フォード政権の外交を担当。中国との関係を改善、1972年のニクソン訪中を実現させ、中東和平でも活躍した。

 1960年代後半~70年代前半のアメリカのニクソン政権・フォード政権で外交手腕を発揮した人物。ドイツにユダヤ系として生まれ、ナチス=ドイツ政権成立によって1938年、15歳でアメリカに亡命した。ハーバードに学び、戦後はアメリカ兵としてドイツに駐留した。復員後、政治学者となり、冷戦期の外交問題で鋭い分析を行って注目された。ジョンソン政権で国務省顧問となり、ニクソン政権では国家安全保障担当大統領補佐官となった。ベトナム戦争では積極的な侵攻策を立案するとともに、ひそかに終結の方向を探った。

(出典:世界史の窓

99歳のキッシンジャーですが、世界経済フォーラム(ダボス会議)に、オンライン出演して、ウクライナ戦争の停戦の可能性について話をしました。

キッシンジャーは非常にリアリストとしても知られているので、荒唐無稽な話をするように人ではありません。しかし、ここまでくると、NATO加盟に反対しても意味がないと発言しています。それは、これまで欧州の中で中立を保っていたスウェーデン、フィンランドが加盟し、国境を接するフィンランドがNATOに加盟していれば、もはやウクライナが国境を接しているからと反対する理由がなくなったのです。

キッシンジャーは2022年2月24日にロシアが侵攻した線まで戻して停戦。その後は、軍事ではなく、交渉で問題解決を図る。そして、場合によっては住民投票での自決を尊重しようというものです。

3.ロシアは応じない可能性が大

ラブロフ外相の会見からも、ロシア側は侵攻前の線まで戻して停戦というのは、飲まないでしょう。それは、ロシアが強欲だから、あるいはプーチンが支配欲があるからということではなく、「西側が信用できない」からでしょう。

それは、先日、フランス元大統領オランド氏、ドイツ元首相メルケル氏の「ミンスク合意は守るつもりがなく、ウクライナを強靭にするための時間稼ぎだった」という発言からしても、ロシア側が信用しない理由でしょう。

「西側には信用に足るリーダーが居ない」とも発言しています。ここで、信用して停戦をしたとしても、再び軍事強化して、再び脅威が増すのであれば、今、ウクライナを分割してドンバス地方、クリミアなどのロシア語を話す人々がいる地域は確保してからでないと停戦交渉はないとするでしょう。

また、西側諸国は、フランスを皮切りに、米国、ドイツ、英国、カナダが装甲車を供与すると決定し、オランダもパトリオットミサイルを供与すると決定するなど、NATOが次々と武器供与を決める中、もはや停戦はないと考えてもおかしくはありません。

そして、NATOが全面的に出てくれば、ロシアの選択肢は「戦術核」となります。この状況でのキッシンジャーの提案は、可能性が低いと考えざるを得ないものとなっています。

さらにロシア軍は2026年までに兵を増員し、150万人規模にすると発表しています。

フィンランドのサンナ・マリン首相はダボス会議で「戦争がいつ終わるかはわかりませんが、ウクライナは勝たなければなりません。他に選択肢がありません」と発言しています。NATOは徹底抗戦でしょうか。

また、ロシア軍は既に大規模な攻勢をかけ始めているという話も出始めています。NATOとの激突は近いのでしょうか。

お互いの首脳が停戦に向けて話し合えば不可能ではないのではと思いますが、西側には全く停戦の様子は見られません。やはり戦争をしたい勢力があるということでしょうか。悲しいことです。

未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞をより深く】

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