ロシア外相会見、停戦へ欧州安保の再構築要求~停戦はあり得ないことなのか~【日経新聞をより深く】
1.ロシア外相会見、停戦へ欧州安保の再構築要求
こちらも併せてご一読を。
2.キッシンジャーの提案
ヘンリー・キッシンジャーの話はやはり世界に影響があります。
99歳のキッシンジャーですが、世界経済フォーラム(ダボス会議)に、オンライン出演して、ウクライナ戦争の停戦の可能性について話をしました。
キッシンジャーは非常にリアリストとしても知られているので、荒唐無稽な話をするように人ではありません。しかし、ここまでくると、NATO加盟に反対しても意味がないと発言しています。それは、これまで欧州の中で中立を保っていたスウェーデン、フィンランドが加盟し、国境を接するフィンランドがNATOに加盟していれば、もはやウクライナが国境を接しているからと反対する理由がなくなったのです。
キッシンジャーは2022年2月24日にロシアが侵攻した線まで戻して停戦。その後は、軍事ではなく、交渉で問題解決を図る。そして、場合によっては住民投票での自決を尊重しようというものです。
3.ロシアは応じない可能性が大
ラブロフ外相の会見からも、ロシア側は侵攻前の線まで戻して停戦というのは、飲まないでしょう。それは、ロシアが強欲だから、あるいはプーチンが支配欲があるからということではなく、「西側が信用できない」からでしょう。
それは、先日、フランス元大統領オランド氏、ドイツ元首相メルケル氏の「ミンスク合意は守るつもりがなく、ウクライナを強靭にするための時間稼ぎだった」という発言からしても、ロシア側が信用しない理由でしょう。
「西側には信用に足るリーダーが居ない」とも発言しています。ここで、信用して停戦をしたとしても、再び軍事強化して、再び脅威が増すのであれば、今、ウクライナを分割してドンバス地方、クリミアなどのロシア語を話す人々がいる地域は確保してからでないと停戦交渉はないとするでしょう。
また、西側諸国は、フランスを皮切りに、米国、ドイツ、英国、カナダが装甲車を供与すると決定し、オランダもパトリオットミサイルを供与すると決定するなど、NATOが次々と武器供与を決める中、もはや停戦はないと考えてもおかしくはありません。
そして、NATOが全面的に出てくれば、ロシアの選択肢は「戦術核」となります。この状況でのキッシンジャーの提案は、可能性が低いと考えざるを得ないものとなっています。
さらにロシア軍は2026年までに兵を増員し、150万人規模にすると発表しています。
フィンランドのサンナ・マリン首相はダボス会議で「戦争がいつ終わるかはわかりませんが、ウクライナは勝たなければなりません。他に選択肢がありません」と発言しています。NATOは徹底抗戦でしょうか。
また、ロシア軍は既に大規模な攻勢をかけ始めているという話も出始めています。NATOとの激突は近いのでしょうか。
お互いの首脳が停戦に向けて話し合えば不可能ではないのではと思いますが、西側には全く停戦の様子は見られません。やはり戦争をしたい勢力があるということでしょうか。悲しいことです。
未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞をより深く】
自分が関心があることを多くの人にもシェアすることで、より広く世の中を動きを知っていただきたいと思い、執筆しております。もし、よろしければ、サポートお願いします!サポートしていただいたものは、より記事の質を上げるために使わせていただきますm(__)m