見出し画像

誰が米国の債務を引き受けるのか?

米国の債務は急激に増えています。

(出典:TRADING ECONOMICS/米国政府債務残高)

当然のことながら、誰かが米国債を引き受けているわけです。財務省の資料から米国債の保有者の内訳をみてみます。(2022年末)

(出典:財務省/債務管理レポート2023)

米国債は30%海外が保有しているとされています。現状は債務が膨らんでいますが、海外の保有額は大きくは増えていないため、少し比率は下がっていると思われます。それでも、23%程度が海外です。ちなみに日本は14%です。

いずれにしても、米国の赤字の一部を海外が米国債を保有することで米国政府は運用されているということです。

では、海外ではどこが米国債の保有量が多いのか。以下に見ておきます。

(出典:米国財務省資料より筆者作成)

日本が世界最大の米国債保有国です。かつては中国が一位でしたが、今では日本が群を抜いて一位です。

では2023年に米国債を増やした国と減らした国を見ておきます。2022年の10月末と2023年の10月末を比較してみます。

<増加>
1位カナダ633億ドル、2位アイルランド543億ドル、3位イギリス517億ドル、4位ルクセンブルク470億ドル、5位日本338億ドル

<減少>
1位中国(本土)1083億ドル、2位ベルギー418億ドル、3位サウジアラビア32億ドル、4位ブラジル7億ドル

ちなみにインドは増えているもののわずか9億ドルです。

中国は米国債を急速に減らしていることが分かります。そして、サウジアラビアも減らしているのです。サウジアラビアは元々は米国との同盟関係は非常に深く、米国債を減らすというのは考えられないことでした。しかし、現在は減らしています。

増やしたとはいえ、ルクセンブルクは5%、ベルギー、カナダ、アイルランドは4%の保有割合です。米国債保有の横綱は日本、大関はイギリスです。

米国債の債務膨張には歯止めが効いていません。33.9兆ドルの債務残高です。1ドル140円計算としても4746兆円です。利払いだけでも1兆ドル(140兆円)を超えてきました。利下げが予測されるとはいえ、コロナパンデミックの時はFF金利は0.25%です。どれだけ下がってもそこに到達することはありませんから、借り換え時には順次利払いが増えていくということです。

どう見ても、米国の債務膨張を今後も支える国となると、日本と英国いうことになるでしょう。しかし、金額にすると圧倒的に日本ということになります。

世界はドル離れの方向へ向かい、実際に中国は米国債を売却し続けています。さらにサウジアラビアも米国債の保有を減らしているということは、米国との関係が冷え切っていることを意味し、今後、原油の決済はドル以外の通貨でも行うのは時間の問題です。すでにUAEはドルでの決済の停止というニュースも出ています。

ブラジルも保有を減らしており、インドはわずかに増加しただけ。BRICS加盟国は米国債の保有を減らしていくでしょう。

米国の覇権は急速に失われているように見えます。衰退する覇権国の国債を世界で一番引き受け、売却するという手段を持たない日本。日本が米国債を売却することなど、米国は許すはずもなく、日本は米国を金融面で支え続けるのみ。

そろそろ、日本も世界の多極化の動きをとらえ、米国債の保有について考えるべき時ではないでしょうか。それはすなわち対米自立ということになります。

世界が大きく動いている時に、国内では、政治資金の大激震。政治が落ち着くころには、世界はすっかり変わって浦島太郎状態になりそうです。

自分が関心があることを多くの人にもシェアすることで、より広く世の中を動きを知っていただきたいと思い、執筆しております。もし、よろしければ、サポートお願いします!サポートしていただいたものは、より記事の質を上げるために使わせていただきますm(__)m