見出し画像

働く92歳、所得税も納める 元気なうちは現役で支え手に~日本はどこに強さを求めるか~【日経新聞をより深く】

1.働く92歳、所得税も納める 元気なうちは現役で支え手に

「世界最高齢の総務部員」としてギネス世界記録に認定され注目を浴びる人がいる。大阪府豊中市の会社員、玉置泰子。週5日、午前9時から午後5時半までフルタイムで働く92歳だ。勤続66年、エクセルを使いこなし、所得税も納める。

90代で働くなんてまれ――とは決めつけられない。総務省が5月に発表した2020年の国勢調査の就業状態等基本集計をみると、90歳以上で「雇用者」として働く人は約5000人に上る。95歳以上も約500人。オーバー90歳、アラウンド100歳の働き手が活躍している。

「辺り一面、焼け野原でね、池袋辺りから海が見えたんですよ」。東京都板橋区のヒルマ薬局で、98歳の現役薬剤師、比留間栄子は穏やかに話す。1923年生まれ、東京女子薬学専門学校を出て薬剤師になった。

戦時中は長野に疎開、終戦で東京に戻り、薬剤師の父の下で働き始めた。「当時はお医者さんも少なくて、皆薬局にまず相談に来たのよ」。子育てしつつ仕事を続け、95歳のときには「最高齢の現役薬剤師」としてギネス世界記録に認定された。

今は週2日勤務だが、3年ほど前に骨折するまでは週6日出ていた。「働くのほど楽しいことはない」。新しい薬の勉強を続け、常連の面倒を見る。孫に習ってLINEも使う。「ぼんやりしてる暇はないわよ」

働き続けられるのは限られた職業の人ばかりではない。

川村重美は大阪府内のマクドナルドでアルバイトを始めて25年になる。年齢を尋ねると、「60年生まれ」ととぼけてみせたが、本当は30年生まれの91歳だ。朝5時から7時までの週4日、花壇の手入れや清掃を担う。「居心地がよくてね。常連さんとの会話も楽しい」。病気もせず、「まだいける」。

戦時中は学徒動員されて旋盤工場で働き、終戦後はコダックの日本法人などに勤めた。定年後に「なんかしよかな」とマックへ。担い手の少ない朝の時間、長く続けてくれる人材は貴重な戦力だ。店長の山越友貴は「楽しく仕事をしてくれるから、お客さんも楽しく過ごせる」と信頼を置く。

人生100年時代。元気で働けるうちは現役を続け、人手不足を補い、時に税金だって納める。シニアが支えられる側でなく、支え手として存在感を増すとき、経済や社会の構図はガラッと変わる。100年生きるリアルな風景がそこにある。

(出典:日経新聞2022年8月16日

すごい。90歳を超えても現役。私の事務所が入っているビルの管理の仕事をしている方も93歳といわれていて、驚きました。

でも、人は働いて社会とのつながりを持つことは大切だと感じます。

もう一つ唸らせるのは、マイクロソフトの記事でした。

2.Microsoft、ChatGPTのオープンAIに投資 数十億ドル

米マイクロソフトは23日、チャットボット「ChatGPT(チャットGPT)」を手がける米新興オープンAIに今後数年で数十億ドルを投資すると発表した。スーパーコンピューターを整備し、開発成果をクラウドサービスなどに取り入れる。景気減速に伴って従業員を1万人減らす一方で、戦略分野である人工知能(AI)への投資を強化する。

マイクロソフトは2019年と21年にもオープンAIに投資をしており、今回の追加投資を通じて「継続的な協力関係を拡大する」という。投資資金は大規模言語モデルを開発・運用するためのスパコンの拡充や人材採用などに振り向ける。米メディアでは投資規模について最大100億ドル(約1兆3000億円)との観測も出ていた。

オープンAIは「GPT-3」などの大規模言語モデルで知られるAIの研究開発企業で、起業家のサム・アルトマン氏らが15年に設立した。22年11月には質問に対して自然な文章で回答する「チャットGPT」を公開し、世界的な注目を集めている。進化の著しい生成AIの分野で先行する企業のひとつだ。
中略
マイクロソフトは18日、世界の従業員の5%弱にあたる1万人を削減すると発表した。技術職も含めて幅広い事業に及び、日本法人も対象となる。ナデラ氏は同日の従業員宛てのメモで景気後退の懸念に伴う売上成長の減速とコスト削減の必要性を指摘しつつ、AIのような戦略分野での投資や人材採用については続ける方針を示していた。

これまでの報道では、マイクロソフトが最終的にオープンAIに49%を出資する株主になるとの観測も出ていた。著名起業家のピーター・ティール氏が率いるファウンダーズ・ファンドの参画なども報じられていたが、こうした詳細な条件については、明らかにしていない。

(出典:日経新聞2023年1月24日

1万人の人員削減を発表した直後に、数十億ドルの投資の発表。日本企業にこのダイナミズムが実行できるでしょうか。

もちろん、失業した人が次の就職やこれをきっかけに学び直すなどの仕組みやセーフティーネットは必要だと思いますが、進化の早い時代に対応できる雇用の柔軟性は強みの一つです。

3.高齢社会の日本は雇用の在り方を強みにしたい

進化するテクノロジーを学び続ける必要はあると思います。雇用の流動化も必要です。組織が進化する必要もあるからです。

一方で、長く働くことも日本の強みの一つになりうるかもしれません。前掲の記事を考えると、個人による差はあるものの、定年を撤廃し、働けるところまで働く企業が増えてもよいのではないでしょうか。

65歳で定年という概念が「そこまで働く」意識を高めている気がします。一生仕事をしていく(もちろん、本人の希望があれば)のが当たり前の社会であれば、50歳を超え、60歳を超えてもまだまだスキルアップして進化したいという意識に変わるのではないでしょうか。

スポーツでも、選手寿命は延びています。自己能力の革新もまだまだ伸びると思うのです。

大胆な雇用の流動化ももちろん必要です。ですが、社会全体では、「長期労働」がテーマになってもよいのではないでしょうか。

いつまでも現役で働く。超高齢社会の日本の強みになればと思いました。

未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】

自分が関心があることを多くの人にもシェアすることで、より広く世の中を動きを知っていただきたいと思い、執筆しております。もし、よろしければ、サポートお願いします!サポートしていただいたものは、より記事の質を上げるために使わせていただきますm(__)m