見出し画像

トランプ氏、憲法の条項廃止を主張 批判広がる~ハンター・バイデン疑惑の中身~【日経新聞をより深く】

1.トランプ氏、憲法の条項廃止を主張

トランプ前米大統領が自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で憲法の条項の廃止を主張し、批判が広がっている。2020年の大統領選で大規模な不正があったとして選挙のやり直しを求める投稿での発言で、民主党や共和党の一部から「民主主義への脅威」といった非難の声が出ている。

トランプ氏の発言は、米ジャーナリストが2日にツイッター上で暴露したツイッター社内の電子メールのやり取りなどに反応したものだ。大統領選前にバイデン大統領の息子ハンター氏をめぐる疑惑を報じた記事について、記事へのリンクを「安全でない」と表示するかどうかを協議した内容が含まれていた。

トランプ氏は3日の投稿でこれを「大規模で広範囲にわたる不正と詐欺行為の暴露」と断じたうえで「2020年の大統領選結果を破棄し、正当な勝者を宣言するか、新たな選挙を実施するか?」と提起した。「このような大規模な不正は、全ての規則、規制、条項、憲法にあるものでさえも廃止を可能にする」とも主張した。大統領選の手続きを定めた憲法の条項を指しているとみられる。

ベイツ大統領副報道官はトランプ氏の投稿を「憲法への攻撃は米国の魂が嫌悪するものであり、 例外なく非難されるべきだ」と批判。民主党のシューマー上院院内総務はツイッターで「(トランプ氏は)米国の民主主義への脅威だ」と非難した。共和党のマカウスキ上院議員もツイッターで「憲法の廃止を提案することは、就任宣誓への背信であるだけでなく、共和国への侮辱だ」とこきおろした。

(出典:日経新聞2022年12月8日

この報道の元をただせば、いわゆる「Twitterファイル」と言われるTwitter社内の内部文書が公開されたことに行きつきます。

Twitterの社内文書を公開したのは、ジャーナリストのマット・タイービ氏です。タイービ氏は何千ものTwitter社内文書を入手したとして、2022年12月2日に「Twitterファイル(THE TWITTER FILES)」と名付けた長文スレッドをTwitter上に投稿しました。このスレッドはマスク氏にも引用リツイートされており、マスク氏お墨付きの情報とも言えます。

タイービ氏が公開した情報は、2020年10月に報じられた「ジョー・バイデン大統領の息子であるハンター・バイデン氏の汚職疑惑」に関連する情報です。

このハンター・バイデン氏の汚職疑惑とはどんなものでしょうか。この疑惑が報道されたときを振り返ってみてみます。

2.ハンターバイデンのスキャンダルとは?

バイデン息子のスキャンダルはデラウェア州のある電気店にパソコンの修理が依頼されたことから始まります。問題のパソコンは2019年4月にこの電気店に修理に出されました。

この事実を店のオーナー、ジョン・ポール・マック・アイザック(John Paul Mac Isaac)氏がニューヨーク・ポストに語ったとされています。

この持ち込まれたパソコンの請求書にはハンター・バイデン氏の名前が書かれており、パソコンにはハンター・バイデン氏の亡き兄にちなんで名付けられた「ボー・バイデン財団」のシールが貼られていました。

パソコンの差出人は、浸水したパソコンのデータを復元して欲しいと依頼。データの復元は成功しましたが、差出人は90日たっても引き取りに来ることはなく、連絡も取れませんでした。そのため店主のマック・アイザック氏はパソコンの中身を確認したのです。すると、その中には、あまりにも驚く内容が入っていたのです。

中身の重要性に気づいたマック・アイザック氏はFBIに通報。その後、パソコンとハードディスクが押収されました。しかし、その中身は彼にとって、あまりにも怖い内容で、身の危険を感じたため、押収される前に、ハードディスクの中身を何枚かコピーし、バックアップをとり、友人等に渡していました。

「私に万が一のことがあれば、公開してくれ」と。そして、そのバックアップの一つが、トランプ前大統領の個人弁護士、ジュリアーニ氏に渡ったのです。

このニュースを独占的に報じたニューヨーク・ポストは、ドナルド・トランプ前大統領の個人弁護士、ルーディ・ジュリアーニ氏からハードディスクのコピーを入手したと報じています。

3.ウクライナ疑惑

元々ジョーバイデン大統領の息子、ハンター・バイデンには「疑惑」が噂されていました。ウクライナでの汚職事件への関与です。しかし、その「疑惑」を裏付ける証拠がありませんでした。

その証拠が発見されたメールにより裏付けられたのです。

バイデン大統領の次男ハンター・バイデン氏にあてたメールで、差出人はウクライナのエネルギー会社「ブリスマ」の顧問バディム・ポザルスキー氏というものが出てきました。日付は2015年4月17日。

「親愛なるハンター、ワシントンへ招待してくれて貴方の父上と会い、しばしご一緒できたことを感謝します。まことに名誉であり喜びでした。昨夜お話ししたように、今日再びコーヒーでも飲みながらお会いできれば幸いです。いかがですか?正午ごろであれば、貴方のオフィスによることができます。飛行場へゆく前かその途中に。iPhoneより発信」

「父上」というのは、当時オバマ政権の副大統領だったジョー・バイデン大統領に他なりません。つまり、ハンター・バイデン氏は「ブリスマ」の幹部をワシントンへ招き、バイデン氏と面談させたことをこのメールは裏付けているのです。

ハンターバイデン氏はその前年、「ブリスマ」の役員に就任し1ヶ月5万ドル(約550万円)の給与の支払いを受けていました。ハンター・バイデン氏の「ブリスマ」での役割は定かではありませんが、メールが送られた2015年、当時のバイデン副大統領はウクライナの首都キエフを公式訪問しますが、そこで10億ドル(約1100億円)の援助と引き換えに「ブリスマ」をめぐる疑惑を捜査していた検察官の罷免をウクライナのプロシェンコ大統領らに要求したのです。

「私は彼らを見てこう言った:私は6時間後に出発する。もし検事総長を解雇しなければ、お金はやらない」

「あいつら、ものの見事に(検事総長を)クビにしたよ」

後年、バイデン氏がこう語ったのがビデオに残っており、バイデン氏は、副大統領というその地位を利用して息子の会社が訴追されるのを防いだのではないかと考えられていましたが、バイデン氏は「ブリスマ」の関係者には会ったこともないと否定し続けてきました。

発見されたメールは、ハンター氏が修理に出したまま捨ておいたパソコンから修復されたもので、連邦捜査局(FBI)にも、ハンター氏の中国やロシアとの金銭疑惑について調査している上院国土安全委員会にも渡っています。

4.中国疑惑

ウクライナ疑惑以外にも、二ューヨーク・ポストが入手した電子メールによると、ハンター・バイデン氏は、中国軍とつながりのある中国のエネルギー大手企業との取引で、何百万ドルもの支払いを受けており、この取引には父親のジョー・バイデン氏も関与していると報じました。

国際コンサルティング会社、J2cRのジェームズ・ギリアー(James Gilliar)氏が2017年5月13日にハンター氏に送ったとされるメールには、ある取引におけるハンター氏を含む6人の人物の「報酬内容」の詳細が記されていたとされています。取引の詳細は明らかではありませんが、現在は倒産している中国の大手石油会社、中国華信能源(CEFC China Energy)が関与しているとみられています。

ハンター氏は、このメールで「CEFC China Energyとの合意次第で」新しい会社の「会長または副会長」になり、報酬は「850」と書かれていました。

また、このメールには「仮契約」と記された内容があります。ハンター氏の名前と思われるHと記された人物は、新会社の株式の20%を保有し、Hは更に10%を「ビッグガイ(Big Guy)」のために保有すると書かれています。このメールでは、「ビッグガイ」が誰であるかは明らかになっていませんが、「ビッグガイ」はハンター氏の父親ジョー・バイデン氏のことを指していると、FOXニュースは報じています。

ギリアー氏はまた、CEFC China Energyの当時の常務取締役の名前をあげて、「何か足りない点があれば、細かな交渉もできるので、知らせてほしい」と書いています。

上海を拠点とするCEFC China Energyは、2018年に中国政府の腐敗一掃キャンペーンの標的になるまでは、中国最大の民間石油会社でした。同社はロシア、東欧、アフリカの一部で数十億ドル規模の事業を手がけていたのです。創設者は、中国共産党の上層部と親密な関係にあったといわれています。

創設者は「経済犯罪」の容疑で中国政府の捜査を受けて拘禁された後、2018年初頭から行方不明となっています。CEFC China Energyは2019年3月から国有企業が管理することになり、2020年初めに破産を申請しています。

2017年8月2日にハンター氏が香港の金融業者に送った別のメールでは、ハンター氏は以前、CEFC China Energyとは3年間の契約を結び、年間1000万ドル(10億円超)を「紹介費」として受け取っていたことが明らかになりました。

その後、CEFC China Energyの創設者はさらに利益の高い取引を持ちかけ、「ハドソン・ウエスト(Hudson West)」という持ち株会社の50%をハンター氏に、彼が残りの半分を所有することになったと、メールには記されています。

「コンサル料は私たちの収入源の1つだ。加えて、会長(CEFC China Energyの創設者)の提案が私と私の家族にとって興味深いのは、合併事業の投資の持ち分と利益のパートナーにもなるということだ」とハンター氏は記しています。

ニューヨーク・ポストが入手した、2017年8月1日の手書きの組織図の写真には、ハドソン・ウエストの所有権の概要が示されています。それによると、同社は半分ずつ2つの事業体に所有されており、2つの事業体はそれぞれハンター氏と、「会長」という人物によって所有されています。

ハンター氏と香港の金融業者は2017年9月、ハドソンウエストの名義で銀行でクレジット・ライン(信用供与口座)を開設しています。この口座で発行されたクレジットカードは、ハンター氏、叔父のジェイムズ・バイデン氏と妻サラ・バイデン氏が利用できるようになっていました。

彼らは「航空券、アップルストア、薬局、ホテル、レストランなどで複数の高額商品」10万ドル(1億円超)以上を購入したことが分かっています。

5.未成年女性の「非常に不快な写真」

ハンター・バイデン氏が義理の姉で恋人に自分の行為がバレてしまったという内容のメールを送っていることが分かりました。その行為とは14歳の少女との性的な不適切行為のことです。(詳しい部分は黒塗り)

「裸でコカインを吸いながら、少女とFaceTimeで話していた」

などと、驚くべきことが書かれていました。そして、ハンター・バイデン氏のものと思われるハードディスクには「大量の未成年女性の写真がある」とジュリアーニ氏は語っています。

他にも、ジュリアーニ氏によると、ハンター氏のノートパソコンに保存されているメモには、「中国共産党の幹部3人がある大物に送金している」と記されているものもあるようです。ジュリアーニ氏は、「大物はジョー・バイデン氏に違いない」と指摘しています。

当時、ニューヨークポストが報じたこれらの疑惑は、Twitterだけでなく大手メディアもほとんど報じませんでした。しかし、これらの疑惑がもっと報じられていたならば、バイデン大統領が誕生していたかどうかはわかりません。

また、もしも、バイデン大統領がウクライナや中国から資金提供を受けていたとすると、大統領としての資格を喪失していたかもしれません。

共和党は下院の過半数を奪還しています。そして、このハンター・バイデンのことを調べると明言しています。

もしかすると、来年はこのスキャンダルが米国家を揺るがすことになるかもしれません。

未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞をより深く】

自分が関心があることを多くの人にもシェアすることで、より広く世の中を動きを知っていただきたいと思い、執筆しております。もし、よろしければ、サポートお願いします!サポートしていただいたものは、より記事の質を上げるために使わせていただきますm(__)m