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【日経新聞をより深く】ボルソナロ氏、4年後の再出馬を模索 支持者は道路封鎖~ブラジルで何が起きているのか?~

1.ボルソナロ氏、4年後の再出馬を模索

ブラジルのボルソナロ大統領は1日、10月30日投開票の決選投票で次期大統領に決まったルラ氏への政権移行を認めると表明した。次期大統領選での返り咲きも視野に入れたとみられる。だが、ボルソナロ氏を支持するトラック運転手が30日から各地で道路を封鎖し、物流に混乱が生じた。

右派のボルソナロ氏は首都ブラジリアの大統領公邸で「憲法の決まりを守る」との声明を発表した。自身の敗北や左派のルラ氏の勝利は明言しなかったが、選挙結果を事実上認めた。連邦最高裁も1日、ボルソナロ氏が政権移行手続きの開始を命じたことで「選挙結果を認めた」と表明した。

30日夜に選挙管理当局が決選投票の結果を発表してからボルソナロ氏は沈黙。投票前にはブラジルの電子投票システムの信頼性を疑う発言を繰り返していたため、同氏が敗北したとの結果を認めないのではないかとの観測が浮上していた。

一方、ボルソナロ氏が結果を受け入れない姿勢を示しても「覆らないだろう」(ジェトゥリオ・バルガス財団のクラウディオ・コウト教授)との見方が専門家には多かった。バイデン米大統領をはじめ、主要国の首脳からルラ氏への祝辞が相次いでいた。

ボルソナロ氏は2026年の次期大統領選への出馬を模索するとみられている。

今回の大統領選と同時に実施された連邦議会選や州知事選では、ボルソナロ氏と同じ党派の候補が多く当選した。ボルソナロ氏の支持基盤のキリスト教保守派(福音派)の信者は増加傾向だ。決選を含めた2回の投票で、ボルソナロ氏は事前の予想を覆し、得票でルラ氏に肉薄しており、次回の勝機は大きいと判断しているもようだ。

ブラジル各地では10月30日以降、道路封鎖が相次いだ。食料品などの流通の遅延、航空便の欠航など市民生活への打撃が広がった。1日夜の時点でもなお道路が190カ所ほどで封鎖されているとの報道がある。仮に封鎖が長引いて「経済面での打撃が広がればボルソナロ氏の人気を損なう」(米シティグループ)との指摘もある。

ボルソナロ氏は1日の声明で支持者に「不法侵入、財産の破壊、通行の妨害をしてはならない」と冷静な行動を呼びかけた。だが、支持者の行動の背景に「選挙プロセスへの憤慨」があると話し、一定の理解を示していた。
(出典:日経新聞2022年11月3日)

ブラジルで大きな抗議運動が起きています。11月1日の大統領選挙で現職だったボルソナロ大統領の敗北に不満を持ったブラジルの人々の抗議が広がっています。

2.元々ボルソナロ氏の不正の訴えがあった

今回の選挙は2020年米国大統領選挙での騒動を思い出させる出来事です。保守政権が左派政権に敗北したということ、そして、それには不正選挙の疑惑があること。そして、ボルソナロ大統領はトランプ氏の政策と同じ路線の政策を持っていたことなどです。

ブラジルでは1996年に投票用紙を使った不正行為の多発を受けて、電子投票制を導入しました。

ボルソナロ大統領はこの電子投票の機械にはデータ改ざんのリスクがあると繰り返し主張していました。また、ボルソナロ大統領は高等選挙裁判所(TSE)の裁判官を兼任する最高裁判事らが電子投票を擁護していることを非難し、ルラ氏が当選するよう結果を改ざんする可能性があると主張もしていました。

ブラジルでは有権者は、ブラジル国内47万7000カ所の投票所で電子投票機を使って票を投じます。その後、各機ごとの集計結果は紙に印刷され、職員が署名の上、各投票所でそれぞれ公開されます。また、各機のデータはUSBドライブに移され、保護されたコネクションを使って首都ブラジリアにある高等裁判所へ送られ、集計されます。

ブラジルの国会は昨年、紙を用いた投票制度を再導入するというボルソナロ大統領の紙を用いた投票制度を再導入するというボルソナロ大統領の法案を否決しています。

今回は、大統領選挙前から物議を醸しだす素地があったのです。そこに世紀の接戦で、50.9%対49.1%という結果でした。

米国で起きた出来事を知るブラジルのボルソナロ大統領支持者たちは、不正があったものと考えているようです。

3.何が起きているか

各地で暴動が起き、デモ隊とトラック運転手が国中で何百もの高速道路の封鎖をしています。物流が混乱し、食糧不足の懸念が出ています。

ブラジルの選挙管理委員会のトップのアレクサンドル・デ・モラエスは、高速道路警察のトップが道路の通行を確保できなかった場合、罰金と投獄を科すと脅し、デモ隊を「違法な運動」「国家の安全に対するリスク」であると非難しています。

そして、警察も取り締まるどころか、デモに参加するという事態も起きているようです。さらに軍がどう動くかということも、懸念材料です。

フィナンシャルタイムズでは次のような報道もありました。

In a further departure from tradition, the former army captain has not called to congratulate Lula, who narrowly won the run-off election with 50.9 per cent of the vote to Bolsonaro’s 49.1 per cent.
伝統からさらに逸脱して、元陸軍大尉は、決選投票でボルソナロの49.1%に対し50.9%の得票率で辛くも勝利したルーラに祝いの電話をかけていない。

今後、軍や警察の動きも含めて、どのような展開を見せるのか、今後の世界の動きにもつながる大変な出来事になってきました。要注意です。

未来創造パートナー 宮野宏樹
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