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【日経新聞をより深く】中国、「政策不況」脱却に時間 7~9月GDP3.9%増~世界は同時不況に~

1.中国、「政策不況」脱却に時間 7~9月GDP3.9%増

中国経済は新型コロナウイルス対応の移動制限などによる「政策不況」からの脱却に時間がかかっている。中国国家統計局が24日発表した7~9月の実質国内総生産(GDP)は前年同期比3.9%増と、政府が5%台と見込む潜在成長率を下回った。3期目の習近平(シー・ジンピン)政権の発足をうけ香港株式市場では株安が進むなど経済運営への懸念も強まっている。

GDP統計は当初、共産党大会期間中の18日に公表する予定だったが、直前に延期を発表した。景気回復のもたつきを示す内容だっただけに、GDPの公表が習総書記(国家主席)の3期目入りに不都合と判断した可能性がある。予告がないままホームページ上で発表し、恒例の記者会見は開かれなかった。

(出典:日経新聞2022年10月25日
(出典:日経新聞2022年10月25日)

新指導部が発足した中国ですが、遅れていた経済成長率の発表がありました。しかし、伸び率の鈍化は鮮明です。

その要因の筆頭は、ゼロコロナ政策です。感染が出た地域はその都度、行動制限となり、外食、娯楽などのサービス業が打撃を受けています。9月のサービス業生産指数は前年同月比1.3%の上昇と、上海ロックダウン解除後の6月以降も1~2%の低空飛行が続いています。

1~9月の不動産開発投資も前年同月比8.0%低下。さらに9月の失業率は5.5%と8月から0.2ポイント高くなっています。


(出典:TRADING ECONOMICS/中国失業率

2.中国経済の現実

7~9月はドル建てで前年同月比10.1%増と、増加率は4~6月の12.5%から縮まりました。
9月は5.7%と伸び率の鈍化が目立つようになってきました。

(出典:TRADING ECONOMICS/中国輸出伸び率前年同月比

とりわけ主要な輸出相手国である米国向けが2年半ぶりの減少に転じています。米国での利上げで需要が伸び悩んでいます。7~9月の米国向け輸出は2.0%減少しています。

7~9月の輸入は前年同期比0.9%増にとどまりました。上海のロックダウンで失速した4~6月(1.6%増)よりも鈍りました。国際商品市況の高騰で値上がりした原油を除くと2.6%減となり、2四半期連続で前年同期を下回りました。

また、新築物件価格の下落も鮮明です。中国国家統計局が24日に発表した2022年9月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で価格が下落したのは全体の77%にあたる54都市で、8月から4都市増えました。住宅市場の混乱が長引き、購入を見送る人が増えているようです。北京、上海、広州、深圳の「1級都市」に限っても9カ月ぶりにマイナスとなりました。

前月比で上昇したのは15都市で、8月から4都市減りました。横ばいは1都市でした。各都市平均の下落率は0.3%で、8月とほぼ同じでした。13カ月連続で前月を下回っています。前年同月比では2.3%下落し、15年8月以来のマイナス幅です。

(出典:日経新聞2022年10月25日

3.EU圏、米国も不況へ向けて

EU圏はPMIが悪化しています。

米国ではPMIの発表があり、総合が47.3と前月から2.2ポイント低下。好不況の節目である50を4か月連続で下回りました。製造業の指数は2年4か月ぶりに50を割り込みました。サービス業の指数も46.6と前月比2.7ポイント低下しています。

(出典:TRADING ECONOMICS/米国総合PMI
(出典:TRADING ECONOMICS/米国製造業PMI
(出典:TRADING ECONOMICS/米国サービス業PMI

米国の景気は10月に入り、急速に悪化しているように見えます。前々から予測していたように、景気指標にも景気悪化の兆しがはっきりと見えてきました。

中国が景気悪化、EU圏が景気悪化、そして米国も景気悪化。IMFが2023年は世界の1/3が不況となると予測していましたが、現実化してきました。

未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】


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