歴史は繰り返す。しかし、どのサイクルで繰り返すのか。

歴史は繰り返す。

これは、よく聞くフレーズである。この言葉はローマの歴史家クルチュウス＝ルーフスの言葉といわれているようだ。

しかし、歴史はどのようなサイクルで繰り返すのだろうか。

人類は戦争を繰り返してきた。ではそれはどんなサイクルで繰り返すのか。

経済は好景気と不景気、成長と衰退を繰り返してきた。それは、どんなサイクルで繰り返すのか。

例えば、経済の繰り返しのセオリーとして有名なものにコンドラチェフの波というのがある。これは、景気循環に関する学説の一つであり、景気は50年周期で循環するという考え方です。ロシアの経済学者コンドラチェフが提唱したもので、「長期波動」「大循環」とも呼ばれる。

景気はこれまで、画期的なイノベーション（技術革新）をけん引役として拡大し、やがて縮小局面へと大きく循環してきたという考え方である。

他にも景気循環では、在庫の増加・減少に起因する約40カ月周期の「キチンの波（短期波動）」や、設備投資が引き起こす約10年周期の「ジュグラーの波（中期波動）、建物の建て替えが要因となる約20年周期の「クズネッツの波」などが知られている。

いずれも、歴史は繰り返すことを示している。

この歴史は繰り返すで私はずっと頭に残っていることがある。それはある一冊の本との出会いだ。

文明と経済の衝突

この本の著者の一人が村山節氏だ。村山氏は、文明には盛衰のサイクルがあることを突き止め、それを「文明法則史学」として世に発表された。その村山氏の「文明法則史学」を知ったのが、「文明と経済の衝突」という本だった。それから、村山氏の書籍も読んだが、衝撃的だったのは、文明は800年に一度、東と西とで盛衰が入れ替わっているということだった。

東西文明の興隆時期は800年ごとに入れ替わっており、各文明の周期は1600年になる、というものだ。文明法則史学によれば、西暦2000年ころを境に、西洋は衰退し、東洋は興隆していくというものだった。

「文明と経済の衝突」の出版は1999年6月となっている。私が手にしたのもその時だった。その頃は、西洋文明が衰退するというのは、現実味は感じなかった。日本はバブルが崩壊し、非常に厳しい立場に立たされており、中国も今ほどの影響力は持っていなかった。

しかし、今になると、米国、欧州の衰退は見えてきている。特に欧州は目に見えて力を失っている。そして、米国がその力が明らかに落ちてきているとわかるのが、ウクライナ戦争であり、今のハマスーイスラエルの戦争での立ち位置である。

文明は東と西が交互に盛衰を繰り返すと説く話は他にもある。ガイアの法則である。ガイアの法則とは、千賀一生氏が書かれた「ガイアの法則Ⅰ、Ⅱ」に書かれている文明の盛衰のサイクルである。ガイアの法則によれば、人類文明はまるで物理法則のようにその焦点を移動しながら盛衰を繰り返しているという。ガイアの法則を簡単に説明すると、次の通りである。

・1つの文明の盛衰の周期は、地球の歳差運動周期の2577年の1/16である1611年である。
・地球上の文明の焦点は、地球の円周360度を1/16した22.5度毎に移動する。
・東回り周期と西回り周期がある。一方の周期が興隆しているときは、他方の周期は衰退している。
・現在は地球の歳差運動周期2577年の中でも最も変化の大きな時期にあたる。
・1995年を境に、文明の焦点は西洋から東洋に移っている。その地点は東経135度（日本標準子午線）である。
・価値観は分離・対立から融合・調和へと変化する。

文明法則史学では1つの文明の盛衰サイクルは1600年とされている。ガイアの法則では、1611年なので、ほぼ一致している。また、東西文明が800年で入れ替わるのも一致している。

そして、ガイアの法則では文明の中心は東経135度とピンポイントで示している。

これらを合わせて考えると、文明の中心は東洋から西洋へ移行しつつあり、それも東経135度、つまり日本が文明の中心となるということになる。そして、分離・対立の時代から融合・調和の価値観へと移行する。

もしも、歴史が繰り返すのであれば、どのサイクルで繰り返すのか。それは、800年周期で東西が入れ替わるという周期。そして、今が入れ替わりの真っただ中であるということなのかもしれない。

いずれも、仮説であり、実証は、数百年を経た時にしかできない。

しかし、この仮説を前提に考えるならば、日本は、その価値観を世界に発信すべき時なのかもしれない。分離・対立から融合・調和の価値観、和を以って尊しとなす、日本人の本源的な価値観こそが、日本の価値なのかもしれない。だんだんとそう思うようになってきた。

繰り返す歴史の中で、800年の周期で日本が文明の中心となるならば、日本人はその自覚をしなければならない。

日本的な価値観を考えていこうと思う。