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日銀の実質債務超過は円安の要因の一つになっているのか?

日銀は国債発行残の約50%を保有しています。(金額では約594兆円:日銀毎旬報告令和5年10月31日)

金利が上昇すれば、国債価格は下がりますから、日銀が保有している国債の価格も下がります。国債価格の下落が大きくなると、資産の縮小し、資本を上回る損失になります。

日銀の資本金は法律で1億円と定められています。引当金や準備金を入れた純資産としてみてもおよそ12兆円です。つまり、日銀は保有国債の価格が12兆円下がれば、債務超過に陥ります。

12兆円というと、国債価格が2%下落した際の含み損の価格ということになります。日銀は国債価格が簿価から2%下落すれば実質的に債務超過です。

ただし、日銀は保有資産を時価評価する必要はないので、損失は含み損であり、実質債務超過ということであり、決算書上債務超過ということではありません。

また、日銀は国債の他に上場投資信託を保有しています。これは、2010年10月から始めており、これまで買い続けてきました。その当時から比べると日経平均株価、TOPXなど上昇しています。そのため、日銀は含み益を抱えています。その含み益は3月末時点で約16兆円と報道されています。そこから比較すると、株価は上昇していますので、含み益は17兆円程度でしょう。

含み益17兆円+純資産12兆円=29兆円

この29兆円を超える損失が出ると、日銀は実質債務超過と考えられます。およそ4.9%の国債価格の下落に相当します。

日銀が持つ国債の平均金利は約0.25%、長短の国債の平均残存期間は8年ほどと思われます。そして、現在金利は0.95%まで上昇しましたから、1%として考えます。金利が変化した場合の国債の評価額は以下の式で表されます。

国債評価の下落額=国債残高×金利上昇幅×国債の平均残存期間

594兆円×(0.01-0.0025)×8年=35.64兆円

29兆円の資産の下落で、純資産が0になる日銀は、国債を現時点で時価評価すれば損失は35.64兆円のため、2023年10月ですでに6兆円超の実質債務超過となっています。

1ドル151円という兆円安には海外の投資銀行、投資ファンドの国債トレーダーが計算した日銀の債務超過による信用低下も入っているのではないでしょうか。

今後、さらに金利が上昇してくると、この問題はクローズアップされるのではと思います。

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