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FPが「社会保険料」について解説する②4~6月は働きすぎないように!

社会保険料の決定方法

社会保険料の支払いはとても大きく、給料をもらってもかなり天引きされてしまっていますね。
この社会保険料の金額はどのようにして決まるのでしょうか。
給料の金額で決まるということは、皆さんも聞いたことがあると思います。
でもそれは、いつの給料でしょうか。

社会保険料の決定

社会保険料には、厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料と沢山あります。
でも、これらはすべて「標準報酬月額」を基にして算定されます。

① そしてこの「標準報酬月額」は、会社に入ったときなどの最初の時は、これからもらえる1か月あたりの「報酬」の見込み額を基にして決定されます。
② すでに社会保険料を徴収されている人は、毎年4月から6月までの3か月の「報酬」の平均額により決定されます。
そしてその年の9月から1年間は、その算定された「標準報酬月額」により社会保険料が支払われます。

標準報酬月額

この「標準報酬月額」にいう「報酬」には、基本給以外にも、金銭はもちろん現物で支給されるものはすべて含まれます。

したがって、残業代はもちろん、様々な手当て、通勤手当も含まれます。
また、寮や社宅、賄いなど現物で支給されているものも、本人が2/3以上負担していない限り、「報酬」に含まれます。

そして、その「報酬」の金額にもとづいて、「標準報酬月額等級表」により「標準報酬月額」が決まり、それによって社会保険料が決まるのです。

たとえば、「協会けんぽ」の場合、通勤手当を含めたすべての給料が20万円の人は、「報酬月額」が「195,000円以上210,000円未満」の欄になりますので、「標準報酬月額」が20万円となります。
その結果、健康保険料が40歳から64歳までの人は介護保険料を含めて 23,280円、厚生年金保険料が36,600円となります。
ただし、会社が半分払ってくれますので、本人が負担するのは、それぞれ「折半額」の11,640円、18,300円の合計29,940円が給料から天引きされます。

4月~6月の「定時決定」

このようにして、社会保険料の金額を決定する「標準報酬月額」は、毎年7月に、4月から6月の「報酬」の平均額を基礎に、「算定基礎届」として年金事務所等に提出されます。

したがって、この時期に一時的に給料が上がると、それは「標準報酬月額」に反映され、1年間の保険料が決められてしまいます。
昇給により固定的に給料が増えた場合は、あまり影響が少ないのですが、たまたま、この時期残業が重なったという場合には、1年間の保険料が変わらないので注意が必要です。

報酬が大幅に変わった場合の「随時改定(月額変更)」

年の途中で「報酬」が大幅に変更された場合には、「随時改定(月額変更)」という手続きがあります。

たとえば、6月過ぎてから契約の変更があって、大幅に「報酬」が変わった場合などです。

ただし、これは基本給などの固定給部分の変動であり、しかも2等級以上の変動がなければなりません。
したがって、残業代や臨時手当などの非固定給の場合は該当しません。
4月から6月に残業しすぎると、社会保険料が1年間上がりますのできをつけましょう!!

「通勤手当」について思うこと

先ほどお話ししましたように、通勤手当も「報酬」に含まれることは注意してください。
意外と気づいていない方が多いようです。
まとめて払われる通勤手当、例えば、3か月ごとや6か月ごとでも、「報酬」に含めるときは1か月平均しますので、ここはご安心ください。

ただ、この通勤手当を含めることには若干疑問があります。
というのも、同じ給料でも、遠方から通勤している人と、近くから通勤している人とでは、社会保険料が変わってくるということです。

同じ仕事をして、同じ給料をもらっているにも拘らず、「報酬」が異なることとなり、社会保険料も異なってしまうということです。
通勤手当は、結局定期代に変わってしまいますので、本人の使える給料は変わらないはずですが、保険料が変わるというのはいかがでしょか?

おまけ

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