神山町での学びと出会い: 未来へつながる一日
今度、徳島県神山町へ、旅する子ども建築士でうかがいます。
2023年11月に下見に行かせていただいた時の、Facebook記事を、noteに書き移しました。
あの時に感じたことは、子どもと大人の距離感がぐっと近いこと、そして、なぜか未来は明るいと感じたこと。
また、今度、子どもたちが行ったら、どう感じるのでしょうか…?
はじめに
中山さんにお世話になって、山や移住の話、高校や高専、小学校、空き家のお話と、いろんな場所の見学に行かせていただきました。本当にありがとうございました!すべてが未来につながるお話ばかりで、やっぱり施策も大事だけど、そこにいる人、集まる人、大事なのは全てが「人」なんじゃないかと強く感じました。
どんな人がそこにいるのか。私が話を聞いていて思ったのは、「子どもに近い大人がいる町」。そこにはきっと、生きる力のある子どもが集まるんだろうなと。
鮎喰川コモン:子どもたちの自由な集い場
★鮎喰川コモンは、誰でも来ていいところ。学校が終わった子どもたちが賑やかに集まる場所です。ここは学童ではないのに、子どもたちが自然と集まるんです。なんかいいな、すごくいいな、と思いました。きっと自由な子どもたちが、わくわくしながら保護者のお迎えを待つ場所なんだろうな。川へ降りる道も、魅力的です。
大埜地の集合住宅:次世代に受け継がれる暮らし
★大埜地の集合住宅には、子どもを持つ世代の方が入居しています。写真を遠慮して撮りませんでしたが、建物の外側に駐車場を配置し、内側の中庭のような広場では子どもたちが安全に遊べるようになっています。すぐそばには鮎喰川コモンもあり、建物は神山杉を使い、工期を長くして地元の大工さんが建てている。その様子を子どもたちも見ながら、後継者も育てる。材料を使うだけでなく、職人も神山の人々で、次世代へと受け継がれるものです。
植栽は神山校の高校生が種から苗を作り、植えたものだそうで、時間を越えて世代も越えて繋がり、思いも伝わっていく。柔らかさを感じました。自然エネルギーも使っていて、優しい空間でした。
折神ギャラリー:折り紙に込められた思い
★折神(オリジン)という場所は、折り紙が得意なお母さまのためにお子さんが作ったギャラリーです。ガラス越しに見せていただき、いつでも見られるように設計された部分から作品を覗くことができました。折り紙の作品が本当にすごくて、「好き」とか「得意」って本当に大事なんだと感じました。外にある「折神」という看板が「オリジン」と読ませるところも素敵で、折り紙だからこその「菱葺(ひしぶき)」という葺き方がぴったりだと思いました。
寄井座:歴史と文化の劇場
★寄井座は、趣のある長屋の間を抜けると広場があり、その向こうに見えた劇場です。昨日はアート作家さんが作業中で入れなかったのが残念でしたが、その昔、林業で栄えていた頃にはこういう劇場や映画館が神山には4つもあったそうです。神山には芸子さんもいたとのことで、当時の繁栄を物語っています。
町の中のつながりとサテライトオフィス
町の中には、酒蔵やお酒屋さんをリノベーションしている場所がたくさんあり、米もかなり取れていたんだろうなと思いました。中には、ガラス張りの蔵があり、東京の企業がサーバーを置いてデータ保存をしているそうです。災害が少なく、データ通信も混雑していないこの場所が、データ保存には最適だと話を聞きました。
都会と田舎が共存するようなこの場所では、靴屋さんや文具屋さん、カフェなど、多くの移住者が生活しています。住むだけでなく、ここで稼ぐこともできる。サテライトオフィスもたくさんあり、大学とも連携している。この寄井座の前の広場ではお祭りが行われることもあり、地元の高校生や高専生が話し合いに参加しています。
場所だけでなく、人とのつながりがとても大切だと感じました。
コワーキングスペース コンプレックス:子どもたちの未来を育む場所
★コワーキングスペース「コンプレックス」は、縫製工場をリノベーションしたとても素敵な空間です。そこでお仕事をしたり、お勉強をしたり、自由に過ごすことができます。コーヒーを入れているお兄さんとのお話も楽しかったです。子どもたちがどんな風に建物を考え、どんな風に活かしていくか、それがとても面白くて大切だと感じました。
ああ、子どもたちの素敵さをもっと伝えたい。私が生きている意味は、そこにしかないのかもしれません。
建築は生きること:空き家のお世話と人のエネルギー
★空き家のお世話をされている中山さんとのお話では、「人がいなくなった家の朽ち方のスピードは凄まじい」ということが印象的でした。なんの手入れをしていなくても、人がいるだけで家は生き続けます。でも、人がいなくなると家は死んでしまうんです。本当にそう思いました。人のエネルギーは、ただそこにいるだけでパワーがあるんだと。
だからこそ、今を生きることが大事なんだと思います。誰のためでもなく、ただそこにいるだけで、誰かのためになっているんです。場所としての空間も、そこにエネルギーが満たされていく。生きるということは、生きていることからしか受け取れません。
私は生きていて欲しいと心から思います。その思いだけで私は生きていける。この日は太陽がとても美しく、すすきが光り、キンモクセイの香りが風に乗って広がり、野山の花々が美しさを際立たせていました。生きているだけで幸せ。でも、隣に誰かがいてくれたら、もっと幸せだなと思いました。写真に残せないものこそ、実は一番大切なのかもしれません。
ログハウスとヤギ:のどかな風景の中で
ログハウスを訪ねた際、玄関先のポーチでヤギを撫でているご主人の姿が印象的でした。「あの写真を撮っておけばよかったな」と思うほど、のどかでヤギに対する愛情が溢れた姿に感動しました。エサをあげたらヤギに好かれて、とても可愛かったです。ヤギは大きいですが、全くストレスがないのか、臭いもなくて驚きました。ログハウスは阿南市にある「アナログ」という場所で作っていただけるそうで、木材は木頭村のもの。神山の木材はまだ細いので、すぐに小さなログハウスが作れると聞いて、子どもたちと一緒に作ってみたいなと話が盛り上がりました。
SHIZQと神山校:地域とのつながりを大切に
★SHIZQさんで神山杉や山の話を聞いて、山を守ることが町や人々、未来を守ることにつながるんだなと改めて感じました。器を作ることは未来を作ることのようで、SHIZQさんの器にもその思いがしっかりと伝わってきました。そして、話題は高専の文化祭へ。高専の子どもたちが決めていったことが、これから形になっていくと聞いて、楽しみです。
中山さんのお話にも、「神山校の子どもたちがご飯を食べに来るんだよ」と言っていて、大人が子どもに近い距離にいることがわかりました。寮生活をしている高校生たちは、地域との関わりがとても積極的で、自ら地域の一員として生活しています。
終わりに:すべてが未来へつながる町
移住者が多い町だからこそ、そこに住む人々との程よい距離感が自然と生まれ、子どもたちもその距離感を感じ取りながら成長していく。神山はそういう場所なんだと感じました。
行政の施策も大事ですが、結局はそこに住む「人」が一番大切なんだなと感じました。高校生たちは、神山での生活を通じてこの町を愛し、一度都会へ出てもまた戻ってくる。そんな、愛される町。そこには「勉強ではない部分」が確実に存在していて、それが人として成長するために重要だと感じました。
中山さん、そして出会ったすべての方々、本当にありがとうございました!
最後に
神山町での一日は、未来につながる多くの気づきを得る時間となりました。人とのつながり、自然との共存、そして子どもたちの未来。すべてがこの町で繋がり合い、未来に向かって進んでいくのを感じました。次回もぜひ、子どもたちを連れて、この町に戻ってきたいと思います。
■MIRAICRAFT
生きる力を引き出す子ども建築士教室 MIRAI CRAFT 主宰
■香川県高松市
■子ども建築士教室
創造あそび・模型コース
■ベネッセみらいキャンパス講師
■ミライクラフト一級建築士事務所
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