「セクハラは流すのが一番」と聞いて悲しくなった私の話。そしてある決意。

 突然ですが、私の働いている業界は男社会です。だんだんと女性が増えている職業ですが、いまだに男性比率は高く、女性は貴重な存在です。

 そんな職場に今年の4月、女性新入社員が入ってきました。彼女が研修で先輩社員に話を聞く場面があったそうです。彼女は30歳代後半の女性先輩社員に「これまで辛かったことや大変なことはありましたか?」と質問を投げかけたそう。そこでセクハラの話が出たと言います。先輩社員は「この会社の人は、セクハラ発言をセクハラだと認識していない人も多いから、流すのが一番だよ」とアドバイスしてくれたそうです。

何よりもまず、ただただ悲しかった

 アドバイスをくれた先輩社員は、女性が現場で活躍するようになった筆頭のような人です。先輩が若いころ、確実に今より女性の数は少なく、肩身の狭い思いもしてきたはずです。「先輩もセクハラや年齢いじりを受けて、最初は抵抗したかもしれない。でもそれがなかなか受け入れなれないと分かって、諦めたのだろう…」と想像がつきました。

 「女性が声を上げなければ女性の地位は向上しない。セクハラに黙って耐えてきた女性のほうにも責任はある」ー。そんな意見もあるでしょう。でも私は、抗うより受け流すことでしか自分を守れなかった先輩、そしてそんな状況の中で仕事を続けてきた先輩を思うと、責める気持ちには到底なれなかったのです。ただただ、悲しくて、茫然として、私には何ができるのだろうと…

 でも今、業界全体、会社としても少しづつ女性の数が増えています。私はその話を新入社員から聞いた時、「今、セクハラや年齢いじりに対してあなたが声を上げたら、味方になってくれる人はいるからね。女でも男でも。少なくとも私は」と声を掛けました。私が社会人になって5年。たった5年の間でも、見た目や年齢のからかいを受けたことが何度かあります。でも同時にメディアではMe too運動が取り上げられ、ジェンダー平等がうたわれるようになりました。少しづつですが確実に時代は変わりつつあるのです(今までそのようなことが話題にならなかった日本の遅れは置いておいて)。だから私も変わらなければいけない。受け流し、諦めるしかない中で礎を築いてくれた先輩女性社員。その次のステップに上がることが私の役割なのです。社会人5年目、セクハラ発言に対して軽口を叩いて皮肉るくらいのことはできるようになりました。私の次の世代には、はっきりと「嫌なものは嫌、セクハラ、性差別は断固として許さない」と対抗できるようになってほしい。

 「私は一番に声を上げる戦士になる、そして誰かが勇気をもって声を上げたら一緒に戦う戦友になる」。職場でひそかに決意しました。

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