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警察官とダチョウ倶楽部コント

結婚するまで精神科で働いていました。

そのむかし、精神科スタッフが家族の要請により迎えに行き入院措置をする「収容」という業務がありました。現在は法改正により出来ませんが。19歳の頃のお話。

緊急の収容依頼にまだ新人だった私の勉強の為に、と招集がかかり、訳が分からないままついて行くことに。私の他はベテラン男性スタッフが2名。途中の車内で鎮静剤の注射をセットし、合図があれば筋肉厚めなとこなら何処でも良いから刺して、と不穏なレクチャー。現着するとオロオロの依頼者のお母さんの他に警官もいるぞ…?そして収容対象の患者さんは、というと締め切った襖の向こうに包丁を持って立てこもっちゃったただと…?

ベテラン男性ナースが先ずは襖の向こうに穏やかに声をかける。尋常ではない興奮した感の返答のやり取りを、息を殺してスタッフとアイコタクトしつつ機を伺う。何時包丁振り回して暴れるか分からない。と、その様子を見ていた警官2名のうちひとりがスッ…と私を前に出し下がる。え?守ってくれないのこの小娘を?いやいやいやいや、どうぞどうぞ!な感やめてよおおおお!!!

切迫した危険な状況ではあるが精神状態の悪い保護対象であり、犯罪者では無い。わかる。だから迎えに来た。…職務で来てるのは私らも同じなんだけどナニこの状況。

こんなコントみたいな中、ベテラン男性ナースはネゴシエーションに成功。まあまあ、とりあえず血圧測ろっか?なところまで落ち着かせ、見えない様に握り締めてた注射の出番も無く無事病院へお連れ出来た訳だけど。

今でも時々思い出す。こんなコントみたいな状況あんまりだろ、って。

思い出しついでに。
入退院常連のアルコール依存症の方の、また連続飲酒でお手上げ、と家族からの連絡に出動。いま部屋にいますから、に訪れるともぬけの殻。座布団はうん、まだ温かいぞ!察知して逃げられた!近くを一通り捜索するも見つからず、数時間後家族から帰ってきました、すみません…の入電。当日は再度訪問は諦め、後日、悟られない様に入念な打ち合わせでなんとか依頼をこなせたのでした。

色々あったんです、色々。
昔話ですがまだまだネタはあるので今回はここまで。


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