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知らないと損する!高額療養費制度

こんにちは。ミライ・イノベーションnote編集部です。

今回は、高額療養費制度についてお話しします!

入院などで高額な医療費がかかったときに自己負担額が軽減される、高額療養費制度。国の公的医療保険制度の一つですが、自分で申請しないともらえないお金です。もしもの時に備えて、高額療養費制度について正しく理解しておきましょう。

今回は、その申請方法や知らないと損する豆知識もあわせてお伝えします。また、医療費を抑える制度である医療費控除との違いについても解説します。

1.高額療養費制度とは

(1)概要

高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヶ月(1日~末日まで)で自己負担限度額を超えた場合に、その超えた額について請求すれば返金を受けることができる制度です。

高額療養費制度は国の公的医療保険の制度の一つで、国民健康保険などの健康保険に加入している人なら誰でも利用できます。

(2)自己負担額

高額療養費制度では、「自己負担限度額」というものが定められています。この自己負担限度額は、年齢や所得により異なります。

通常、ひと月の自己負担限度額は世帯ごとで計算します。しかし、70歳以上で一定の所得以下であれば個人ごとでも限度額が定められています。

(3)どのくらいお得になる?

それでは、高額療養費制度を使うと、どれほどお得になるのか、モデル例から計算してみましょう。今回は、次のような場合を想定してみます。

例:Aさん
・30歳/男性
・会社員(健康保険加入)
・年収500万円
・かかった医療費100万円
・入院中の食費や差額ベッド代など保険適用外の費用は考えないものとする

Aさんは会社員で、勤務先の健康保険に加入しています。よって、医療機関の窓口では3割負担となります。医療費は100万円かかりましたが3割負担ということで、実際に窓口で支払う金額は30万円となります。

健康保険のおかげでここまで安くなりました。しかし3割の窓口負担額と言っても、30万円は高額ですよね。

ここで、高額療養費制度を活用してみましょう!

Aさんは年収500万円なので、自己負担限度額を上表で確認すると、区分ウに該当します。上表の計算式にあてはめて計算すると、自己負担限度額は……

8万100円 +(100万円 ー 26万7,000円 )×1% = 8万7,430円 となります。

このように、高額療養費制度を活用すると、実際の自己負担額は約9万円に抑えることができました。

以上をまとめると、次のとおりです。

100万円かかった医療費でも、健康保険と高額療養費制度のおかげでこんなにもお得になりました。

(4)高額療養費制度の適用外となるもの

高額な医療費がかかったときに活用したい高額療養制度ですが、対象となるのは、保険適用の医療費に限られます。

そのため、保険適用外の医療費などそれ以外にかかった費用については高額療養費制度の対象外となるので注意しましょう。

◆ 高額療養費制度の適用対象外となる費用の例
・入院中の食費
・差額ベッド代
・身のまわりの雑費
・先進医療にかかる費用 など

(5)申請方法

高額療養費制度の手続き方法は、事後申請事前申請の2通りあります。

事後申請は、通常通り医療機関等の窓口で支払いを済ませ、後から申請することで自己負担額を超えた分について払い戻しを受けることができます。
なお、事後申請の場合、支給までに少なくとも3ヶ月程度かかることもあわせて覚えておきましょう。

一方、事後申請は、前もって限度額適用認定証を申請・取得しておくことで、医療機関等の窓口では自己負担限度額までの支払いで済みます。
手元にまとまったお金がない場合や、医療費が高額になることが予め見込まれる場合などは、限度額適用認定証の事前申請により、窓口での自己負担を最大限に軽減することができるのでおすすめです。

2.知らないと損する豆知識

こんなにお得な高額療養費制度ですが、知らないと損してしまうことも?ここでは、知って得する豆知識をご紹介します。

(1)無利息の「高額医療費貸付制度」の活用も

医療費の支払いが困難なときには、高額医療費貸付制度(無利子)を利用できる場合があります。なお、この制度の利用可否や、貸付金の水準については加入先の医療保険によって異なります。

(2)世帯で合算できる

1人1回分では限度額を超えなくても、複数の受診や、被保険者とその扶養家族が同じ月にけが・病気により医療機関を受診した場合、自己負担限度額は1ヶ月単位で世帯合算することができます
なお、同世帯家族であっても、別々の健康保険に加入している場合は合算できないため注意が必要です。

◆別加入の健康保険により世帯合算できない例
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例1 
夫(健康保険Aに加入/30歳/会社員)  
妻(健康保険Bに加入/33歳/会社員)

例2
父(後期高齢者医療保険に加入/80歳)
子(健康保険Cに加入/35歳/会社員)

(3)1年以内で4回目ならさらに自己負担減

過去12か月以内に3回以上、自己負担限度額に達した場合は、4回目からは多数回該当となり、自己負担限度額が下がります
このとき、直近1年以内なので年をまたいでもOKです。

(4)2年間遡って申請できる

高額療養費制度は、診療を受けた月の翌月の初日から遡って2年間にわたり支給申請が可能です。

(5)月をまたぐとリセットされる

高額療養費制度は、月の1日から末日までの1ヶ月間にかかった医療費が対象となります。
そのため、月をまたいだ入院などの場合は各月の自己負担額は別々に計算されます。
緊急入院ではなく予定入院の場合は、入院日についての要望を医療機関に伝えることができる場合もあります。お財布事情だけを加味すると、月内を意識してみてもよいかもしれません。
もちろん、そんなことを言っていられない場合も往々にしてあるので、豆知識として知っておくとよいでしょう。

3.医療費控除も上手く活用を

医療費が高額になった場合は、医療費控除も上手く活用できるとよいでしょう。
高額療養費制度も医療費控除も、多額の医療費を支払った場合の自己負担を軽減するために設けられた制度です。類似した制度ですが、その仕組みは異なります。両者の違いを知り、賢く活用しましょう。

(1)高額療養費制度と医療費控除の違い

高額療養費制度と医療費控除の違いをまとめると、次のとおりです。

高額療養費制度は、健康保険の制度です。
加入者が自己負担限度額を超える医療費を支払った場合、申請することで、その超えた分を返金してもらえます。
手続きも簡単で、自己負担限度額を超えた分を丸ごと返金してもらえるというメリットがあります。
しかし、「対象となるのは健康保険適用の医療費のみ」「世帯合算できるのは同じ健康保険に加入している者だけ」という対象範囲の狭さはデメリットとしてあげられます。

一方、医療費控除は、所得控除の制度です。
納税者本人や生計を一にする家族のために医療費を支払った場合、申告することで、所得控除を受けられます。
健康保険適用外の医療費も一部対象となったり、生計を一にする家族の医療費も合算して申請できたりと、申請できる範囲が広いことがメリットです。しかし、高額療養費制度と比べると、「手続きが煩雑」「返金額が少ない」といったデメリットもあります。


(2)高額療養費制度と医療費控除は併用できる?

結論から述べると、高額療養費制度と医療費控除の併用は可能です。

ただし、医療費控除の計算において、「保険金などで補填された金額」は差し引くことになっています。高額療養費申請をして返金された金額は、医療費控除の計算における「保険金などで補填された金額」に該当します。そのため、医療費控除として申請する際は、高額療養費制度として返金された金額は除かれます。

(3)高額療養費制度と医療費控除はどちらがお得?

医療費が戻ってくるという点では同じの両制度。
それでは、高額療養費制度と医療費控除はどちらがお得なのでしょうか?

それは、高額療養費制度です。
なぜなら、医療費控除は税金の所得控除であるのに対して、高額療養費制度は支払った医療費の一部がそのまま戻ってくるからです。

税計算上の控除ということは、納税した金額以上の控除はできません。
つまり、納める税金がない場合などは医療費控除の恩恵を受けることができません。

一方、高額療養費制度では、上限額を超えた分の医療費がすべて払い戻されます。
そのため、高額療養費制度の方がお得になる場合が多いのです。

両制度を併用できる場合は、まずは高額療養費制度を活用するとよいでしょう。ただし、両制度の対象となる医療費や計算期間に違いがあるため、注意してくださいね。

4.さいごに

いかがでしたか?

高額療養費制度は、高額な医療費がかかったときに自己負担をさらに軽減できるお得な制度です。
国の健康保険の制度ですが、申請しないともらえないお金です。
手続きはさほど煩雑ではないため、医療費がかさんだときにはぜひ活用しましょう!


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