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ママという自分を脱いで

泣いた。

2歳娘とシングルマザーというと「頑張ってる」と思われがちだけど、現実は決してそんなことはなくて、ただただ毎日毎日グズりイヤがる娘にイライラしては自己嫌悪の繰り返しで、娘が私に言うことといえば「鼻ふいて」「ジュース飲みたい」「うんち出た」ばかり、昨日はついに「ママと遊びたくない」といわれ、遊んでほしいときはいつもばあばのほうへ行くと気づいてしまってガッサガサにささくれ立った心に、一文字一文字が沁みて、だーだーと泣いた。

娘は可愛いし、ほんとは怒りたくないし、いつもニコニコしたママでいたいし、できることなら心ゆくまで遊びに付き合いたいし、娘にも笑っていてほしい。

なのにそれができないのはさ、ママに余裕がないからなのかもしれない。

気づいたら納期に追われてたり、1時間も拘束される寝かしつけの間にブログ書きたいと思ったり、娘と遊んでるのについついスマホを見てしまったり。

そうだよね、自分とちゃんと向き合ってくれないし、怒ってばかりのママと、遊びたくないって思うのは当然だよね。
私だってそう思う。

お出かけが楽しみで苦痛

土日ともなればお出かけが趣味の私は、娘といろんなお店やイベントに行くわけだけど、イヤイヤ期の娘を連れ歩くのは距離・場所を問わず大変すぎて。

お店のショッピングカートでも乗る乗らないでひと悶着、あれ買って攻撃、ジュースお菓子あのゲームやりたいあそこ行きたいのオンパレード。(地面に寝転がって手足バタバタさせて奇声をあげる「伝説のアレ」がないだけマシなのだろうか)

イベントに行ってもママがゆっくり見たいお店で立ち止まってくれることは皆無、そんなことより遊具にまっしぐら、公園に行ったら砂場で1時間でも2時間でも遊び続けて帰ろうとしない。

さらに年末から1週間と間をあけることなく風邪を引き続けており、毎週病院に通い続け、曜日によっては休みだったりするので町内と町外の小児科と耳鼻科2ヶ所の常連になり、もはや置いてある絵本のラインナップすら覚えた。
熱があれば車内で2時間待ちなんてのは当たり前で、熱があるならおとなしいかと思えばそんなこともなく、手遊びから歌から変顔までありとあらゆるネタを尽くして時間をつぶす。

毎朝保育園に行きたがらない娘を近所の散歩に連れ出し、満足するまで20分も30分も三輪車を押し、8時登園のはずが9時10分にやっと連れていったこともある。

そのうちに学んだ。私は自分が楽しみたいお出かけと、娘とのお出かけは区別して考えるべきだと。娘とのお出かけはすべて娘優先で、娘の気の済むようにするのが、誰にとっても一番平和なのだと。

ほしかったのはママじゃない時間

私は別に海苔や洋服がそこまで欲しかったわけではない。欲しかったのは「ママ」じゃない時間だ。 (中略)
私には、自分と過ごす時間が圧倒的に足りなかった。

「1泊2日、ママやめてきた」

自分の時間はある。娘が保育園に行っている間、夜娘が寝たあと。自分でスケジュールする仕事なので平日に時間をつくればお出かけだってできる。ただ今は駆け出しライターでその余裕はないけれど。

保育園に入るまで&離婚前は週6日ワンオペでほぼ病んでいた。そもそも他人とべったり一緒にいられる性格でもない。一人の時間を常に渇望していた。
やっとの思いで寝かしつけて得たわずか20〜30分の昼寝の間と、トイレでスマホをいじるときが幸せだった。

まだ娘が1歳前の頃、元旦那に娘を預けて2時間ぐらい外出したときの開放感は未だに忘れられない。とくに何をしたわけでもないのに。

それと比べたら、今は自由時間がたくさんある。なんなら毎日娘と過ごす時間よりも、娘が保育園にいる時間のほうがずっと長い。

なのに、それなのに。
1日のうちの朝晩の2〜3時間や、1週間のうちの土日の48時間すらも、娘が満足するだけ付き合ってやれないのか?って思うよ、自分でも。

「ママ」としてどう見えるか、お迎えの時間までに日常のあれこれをどう間に合わせるか、そんなことを一切考えず、外食時も息子が食べられるかどうか、残した場合に自分が食べられるかどうかを気にせずにメニューを選び、誰にも謝らずにスムーズに移動し、自分の荷物だけを持ち、この後はどうしたいかを自分の意志で決めた。

「1泊2日、ママやめてきた」

こんな時間が好きなだけとれたら、こんなに心はガサガサしていないのかもしれない。こんな当たり前のようなことに感動するぐらい、ママという生き物は、子どもとのお出かけで神経をすり減らしているんだから。

ママのひとり時間を心待ちにしている

娘が生まれてから一度も、夜一緒に過ごさなかったことはない。

それが7月に初めて、1泊2日で大阪旅行に行く。ママ一人でだ。
娘は(ママよりも懐いている)ばあばに預ける。

大好きなブロガー仲間たちに会いに行くのだ。

そもそもオフ会なんて参加するガラではない、鬼人見知り陰キャなのだが、某兄さんの企画書とプレゼン、そこに至る以前の「みらいスペース」なる大イベントが成功したというのもあり「なんか大丈夫な気がする」というメンタルに変化した。

某兄さんはクラウドファンディング的に旅行資金まで集めてくれ、メンバーを集めてグループチャットを作り、オフ会の店も手配してくれ、まさに至れり尽くせりで、私はただアホみたいな顔して大阪へ向かうだけでいい。

この旅行が楽しみで、楽しみで、そりゃもう楽しみで。

大阪オフ会なのに九州、関東、名古屋、兵庫からもブログ友達が来てくれる。
そのうちの一人に「今回会わなきゃ二度と会えないかもしれないから」って言われたけどほんとにそうで、ネットで出会っただけに全国各地に仲間が散らばってるので、貴重な機会なのだ。

まさにはあちゅうさんのように、ママという自分を脱いで、すべての時間を自分のためだけに使える1泊2日だ。

自分と過ごす時間を作って、もうすこし自分の機嫌をとって、自分の心がまるくなったら、もうすこし娘とうまく向き合えるんじゃないか。

そしたら、娘に怒ってしまったあとに一人で泣かなくたって済むんじゃないか。

だから、4年ぶりに美容院も予約してみた。

もうすこし、ママという自分を脱ぐ時間を作ってみよう。
私のために、ひいては娘のために。

どんなに疲れようとも、娘とお出かけする英気を養うために。



そしてまた「ママと遊ぶ!!」って言ってもらうんだ。



だってやっぱり、私は娘のママだから。



#創作大賞2023 #エッセイ部門


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