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サグメの話(2)

この間はどこまで話したかしら?

何故、ワカヒコさまが一度地上で死ぬことを望んだか、というところだったわね。

それはとっても簡単に言うと、別の存在に生まれ変わりたかったからということ。

ワカヒコさまはタカギノカミの還し矢に胸の真ん中を刺しぬかれて亡くなった。そのあと殯(もがり)が行われた。殯というのは死者を甦らせる儀式のこと。その儀式でワカヒコさまはアジシキタカヒコネノカミとして地上に蘇ったの。

シタテルヒメさまにとっては旦那様からお兄様へ変貌されたということになるけど、別に悲劇じゃないわよ。古代においては夫婦より兄妹の方が結びつきが深かったんだから。

そしてお二人はとある部族の祖となるの。

殯の儀式はさまざまな鳥が参加する大掛かりなものだったわ。この儀式のおかげでワカヒコさまに射殺されたキジのナキメも蘇った。それからは彼女は地上で暮らすことになったの。彼女はたびたび遊びに来ていてすっかりこちらの暮らしが気に入ってなじんでいたからね。

実はこの間話したわたしが提示したある条件とはそのことなんだけどね。

そして、ワカヒコさまはアジシキタカヒコネノカミとして地上に蘇ると同時に、アメノワカヒコノカミとしては天界に葬られた。星になったの。

アシハラノナカツクニでワカヒコさまを慕う者は多かったけど、星になってからも地上の梓巫女や多くの霊媒(ミディアム)を正しい道に導いたと聞いたわ。

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