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企業研究(55) 2914日本たばこ産業/好業績と減配をどう見るか

こんばんは。札幌もまぁまぁ寒かったけど、なんか中野の家の方が寒いんですけど…。しばらく家に人がいなかったからかなぁ。

■2914日本たばこ産業<東1> 2,323円 (10/15終値)

言わずと知れた「たばこ」の元専売公社。民営化した後は財務大臣が筆頭株主なのは9432NTTと一緒だね。配当すれば国庫が潤う仕組みです。財務大臣の保有は6.6億株(33.3%)だから、約850億円/年の配当が国に支払われている計算。そういう観点でみると日本にとって大切な会社なんだよね。

参考までにNTTの場合は、財務大臣保有12.6億株×年配当110円=約1,380億円が国庫に支払われる計算。両社で2,000億円強ですね。なお1605INPEXこと帝石さんや1662石油資源開発は経済産業大臣が筆頭株主です。他にもあるんでしょうな。日本郵政とかね。

現在株価で配当利回り5.6%、十分に高配当の部類ですが、長期で見るとたばこ市場の縮退で増収増益の期待が薄く、今期は遂に減配(前期154円→今期130円)に踏み切ったので、今後の増配期待度はかなり低いと思われているのが現状でしょうな。

ただ、足元ではしたたかに機関投資家が買っているんじゃないかという向きもありますよ。現時点でもなかなかの高配当だし、業績自体が絶好調だからね。イギリスで高級なたばこが売れてるんですって。詳細は知らんけど。

経常利益の通期見通しを正式に出してないから、みん株の決算情報ページでも進捗率が表記されませんが、会社四季報の税前利益予測が3,670億円なので、2Q累計実績の3,140億円と照らすと進捗率86%。なんか季節変動がありそうな四半期推移なので着地は前々年度と同じくらいかその上じゃないかな。経常利益が年間5,000億円くらいで、1株あたり純利益は200円くらいになるかなと思います。

でも、1株あたり純利益200円に上振れしても、今期予想配当の130円は配当性向65%だから、どちらにしろ増配余地は小さいんだよね。これまで1株あたり純利益が毎年落ちてるのに増配してきたから、今年度が時勢に応じて減配に踏み切る転換期だったのに、たまたまイギリスの巣ごもりで高級たばこが売れたもんだからなんか変なことになっちゃったという感じです。でも、もう戻れないと思いますよ。国内で3000人リストラと113拠点閉鎖に踏み切ったみたいだから、業績が少し良くなったからって方向転換を止めるのは痛みを受けている社員が納得しないよね。

10/29の決算に向けて今株価が上がっていますが、多分どんなに業績が良くても機関投資家が喜ぶような大きな増配はしないと思うから、決算明けたら株価が下がると思うんですよね。さらに12月末の権利落ちまではある程度株価を維持するかもしれませんが、年明けはさらに落ちる。個人的な予想レンジは1,800円~2,170円。1,800=コロナ底値で、2,170=配当130円の時の利回り6%になる株価ね。

なので、信用売りを仕掛けるならこれから絶好のタイミングがくると思うんですけど、イメージは決算に向けて値が上がる前提で2,500円近辺で売って、権利落ち後に2,000円近辺で買い戻す感じですかね。100万円ぶっこんだら2ヶ月半で+20万円獲得。まぁでも、これから市況が良くなると思うから、別に信用売りで儲けることを考えなくてもいいかなとも思います。

日本市場もそうなんですが、アメリカ市場でもタバコ関連の銘柄は高配当だけど徐々に株価を下げていて、タバコってそもそも健康を害する類の嗜好品だし、世の流れ的にそういう運命なのかなと思います。

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