企業研究(176) 6232 ACSL/国産産業用ドローンの雄、ついに時流が来るか?
あけめしておめでとうございます。年末年始の外出から実家に戻りました。早速企業研究しましょう。
6232 ACSL
ドローン専業。産業用ドローンの製造・販売から、機体を含めた無人化ソリューションまで一気通貫で提供。
【株主】
筆頭 日本郵政キャピタル(9.8%)
第二位 野波健蔵(9.3%) ※ドローン研究の国内第一人者で元代表取締役
<1> 株価指標&財務状態
ご覧の通りにPERがバー表記ということで「赤字企業」です。
利益剰余金は▲40.5億円と欠損が出ていますが、資本準備金が50億円超あるため、自己資本比率40%超。まだ危険水準には至っていないか。
バイオ企業の決算書類を見ているような既視感。当然良くない。
<2> 株価推移
18年12月に上場し、19年5月に上場最高値5,430円をつけましたが、それ以降はずっと下落トレンド。12/26の797円が上場来最安値。貸借銘柄だから信用売りしておけば、ジリジリと儲けを出してくれる銘柄だったか…。気づくのが遅かったなぁ。
日足レベルで足元急騰気味なのは、ドローンアプリを手掛ける台湾のXQTI社と台湾市場での戦略的販売代理店パートナーシップを結んだことが材料となり上昇しています。まぁ、この程度の材料ならすぐに鎮静化しそう。
<3> 業績
見るべきところもなく赤字決算が続いていますね。売上高にばらつきがあるのがさらに良くない。せめて右肩上がりだったら…。四半期売上高は良くても10億円に届かず、1億円を割るときもあるという感じ。
ただ、会社四季報最新刊の24年12月期予想は売上高47億円(4倍増以上)、営業利益以下も黒字転換。海外輸出が伸びることを期待しているようです。
<4> 市場拡大の期待
さて、なぜ「見るべきところもない」企業を研究対象にしたかというと、ドローンを活用した物流やインフラ点検が国策としてレベルが上がりそうだから。補助事業などで突然巨大な市場が出現する可能性がありますね。
ドローン関連の政策<デスクトップ調査>
①規制緩和
22/12/5 航空法等の一部改正でレべル4飛行が可能となる制度開始
→当社が日本で初めてレベル4飛行可能なドローン開発&認証取得
②ドローン航路整備
デジタルライフライン全国総合整備計画(経産省策定中)で、ドローン航路実装に向けた議論が進展しているが、まだ当面は「航路」をどう作ってどう運営するかという話→当社が儲かるような事業にはまだならなそう。
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/digital_architecture/lifeline.html
③令和6年度予算案
ドローンに大型予算を組んでいる様子は見受けられず。
https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2024/seifuan2024/index.html
ドローン市場予測
<日本市場予測>
成長に遅れがありそうだが、年成長率は20%超としっかり。農業と点検が2本柱で、期待されている物流分野の活用と市場創出は25年度以降に本格化。
※インプレスが毎年改版しているが、下のリンクはそれを使って詳細説明をしてくれていてわかりやすい。
https://research.impress.co.jp/topics/list/drone/664
https://www.jftc.go.jp/cprc/events/bbl/index_files/278th-bbl.pdf
<世界市場予測>
現在は北米市場が他を圧倒。DJIが主要メーカー。
https://www.fortunebusinessinsights.com/jp/%E5%95%86%E7%94%A8%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3%E5%B8%82%E5%A0%B4-102171
<5> 主な機体紹介
ついでに機体も紹介しましょう。
SOTEN(蒼天)
NEDO公募事業採択により開発された国産機。ネット調査では150万円~。
標準カメラで4K動画対応(静止画は2,000万画素)。LTE通信対応可。
防災、点検、測量などの分野での活用を想定。
https://product.acsl.co.jp/product/post-369/
PF2-AE Delivery
目視外飛行が可能で内容物重量最大1.5kgを10kmほど運搬可能。機体サイズは約1.2m×1.1m×0.7m、重量9.8kg。
https://product.acsl.co.jp/product/post-1526/
日本郵政向けの新機体も開発済みで、こちらは5kgの重量を35km運搬可能。機体は大型化(サイズ 約1.5m×1.7m×0.5m、重量 約25kg)。
また、東京都西多摩郡で実施された実証実験の機体はこちら。
<6> 売買戦略
ドローンの物流分野での活用について市場本格化が25年度以降なら、当銘柄を現在買う理由が全くありません。
企業研究にも「空振り」があるということで…。
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