見出し画像

仕事・キャリアと子育て

 女性が仕事をしてキャリアを積むことが昔よりも当たり前の時代になったと思っています。いまや女性管理職や女性の係長が男性と同じくらいの人数がいる当社では、客観的に男性よりも女性の方が優れていることもしばしば。ですから仕事をしていて、あまり性別を感じることなく進めている感じです。本当に意識をしなくなりました。

 入社したころでは考えられない変化です。でも、それは多くの女性たちが遅くまで残り結果を出してきた結果とも言えます。ブラック企業という言葉がありますが、当社も恐らくブラック企業の代表かもしれません。
世間的には定時で上がれる業種として思われています。実態は朝から夜まで働くのが当たりまえ。たまに夜中に発送されたメールが来るのでこの時期帰れないんだな・・などと思います。

 超過勤務時間の報酬が100%もらえるということが決まったのも5,6年前ぐらいだったような気がします。それまではずっとサービス残業でした。

 昨年入社した女性職員は、連日遅くまで残り仕事をしていました。彼女の両親はきっと「なんでこんなに遅くなるの?」と疑問を持ったことでしょう。そう尋ねると、「はい、聞かれました。なんでそんなに仕事で遅いのかって」

心が痛みます。でも彼女だけじゃない・・・うちの職員みんな帰りが遅かった。異動してきた若い男性職員も「自分は残業なんてほとんどしなかったのに。今年は疲れましたよ」と言ってた。申し訳ないと思う反面、みんなが仕事での自分の責任を全うしてくれたから帰りが遅くなってしまった。でも組織的には本当にスムーズで成果も高かったと思います。表彰制度がないのが残念ですが、みんなに表彰したいくらいでした。

私にできたことは、今までサービス残業だったところ完全まではいかないけれどとにかく超過勤務手当をもらってくることでした。何とかその対応ができたので、彼らも納得してくれたのがうれしかった。

キャリア  偉くなることだけではないと思います。

 部下ができた時、いかにチームとして成果を上げるかだけでなく、それぞれが「こんな仕事」と思わないようにすること。そして辛くても楽しく充実感が持てるようにすることを課題としました。
仕事に誇りが持てれば、自分のやっていることに意義を見出せます。結果が出れば満足感もあります。決して成果主義ではありません。  

「ありがとう」といわれること。先方の笑顔が見れること。
そういったささやかな積み重ねが、やったことへの満足感に繋がります。
「長」がつくようになったら、若い職員が腐ることがないように種をまいて水を与えないと成長しません。彼らの満足した顔を見ることで私自身幸せな思いをさせていただきました。

ここまでの道のりと自分の子育ての期間とを考えると、ある一時期頑張ればなんとかなると思うのです。
子供が小さい時は、本当に大変です。それでも、踏ん張って耐えたから手に入るものがあります。子供はいつか成長します。ある一時期キャリアから離れても、続けていればめぐってきます。だから子育てとかを理由に辞めないことです。今は続けることが出来る時代になりました。権利も保護も制度もあります。

 子供ができない長い時を過ごしたので、「もうできないかなぁ・・・夫婦でやっていくのね。」なんておぼろげに考えていたのですが、奇跡的に子供を授かることが出来ました。
 子供って産まないというのと産めないというのでは全く重さが違います。病院でこの状態では子供はできないといわれて、産めないのかぁ・・・なんて思っていたので本当にうれしかった。泣けましたね。ほんと。
 だから生まれてきたとき「天使が来た!」って思った。「初めまして。君だったんだね。よろしくね。」そう挨拶したなぁ。

 育児休業が取れたので、一時専業主婦を楽しんだ。明日から仕事に復帰するという日は気持ちが真っ暗になったし、ああこのまま辞めたいななんて思ったりした。
でも仕事に復帰しちゃうと、これがすぐに仕事人間に変わってしまう自分がいた。
 上の子の時は病気がちですぐに救急車を呼ばなくてはならない状態だったので、異動しないように庇ってもらった。その時は本当にありがたかった。今でもあの時の上司と周囲の人たちに感謝している。2人目を産んだ後は、もうどこでも行きます状態だったので、人事部にお任せでした。

育休明けに配属されたのは、とんでもないところだった。
行ったところは、とにかく試練の連続・・・・

 全く分からない仕事が待っていた。工事図面の読み方もわからない。でも、着々と工事は進む・・・問題が連日起こる。さらに、え?予算がない?日々これでもかって感じだった。しかも、同僚ともいえる人たちから非難ごうごう・・・そんな中でひたすら結果を出し、予算を獲得し同僚たちを説得しとにかく毎日が死ぬほど忙しかった。「なんだ姉ちゃんか・・」的な現場の打ち合わせでの私に対する空気感。そのうち各業者の男性諸氏から、「あなたとならもう一度一緒に仕事をしてもいい」といわれるまで頑張った。この言葉は私のなかで勲章になっている。

 連日帰りが遅くなると、母に子供のお迎えを頼んでいたので毎日嫌味をいわれるのです。「なんでもう少し早く帰れないの?こどもがかわいそうでしょ」

ごもっともです。

ここで怒ると、お迎えを頼めなくなるからぐっと我慢するわけです。母が来れない日は保育園の園長室で一人で待っていたりする。先生にひたすら謝り、子供が一人でいた姿に胸が痛くなった。

よくお金を払えばもっと楽ができるっていうけれど、そんなに簡単じゃない。だってフルタイムで給料が高いと保育料も高いわけです。あの当時は。さらにお金を払うってそこまでの負担が出来るほどの稼ぎじゃない。そういう女性たちがたくさんいた。ホームヘルパーを雇えばいいじゃないとか、そういうことってよほど稼いでいないと無理なわけです。しかも日本にはその文化がないからいい人に巡り合えないケースもある。知らないうちにアクセサリーが無くなったなんて言うことも聞きました。それに本当に子供をかわいがってくれるかわからない。

結局自分たちでやるしかない。

 子供が病気になると夫と自分とどっちが休むか・・・ってなりますが、うちの場合、夫に休んでもらったとき私が家に帰りつくころ家の前に救急車が停まっていたこと数回。なのでいつも自分が休むようにしていました。子供の病気は本当に辛いことでした。

 今女性が働くことが当たり前のようになって、共稼ぎが普通といわれています。でもこの大変さっていうのは、制度が何とかなればどうにかなるものではありません。それぞれの役割があって、お互いに大切なものを死ぬほど大切にしていく以外に道はないように思う。

家庭が大事ってみんな思っているのに、なかなかうまくいかない。気持ちの折り合いがつかない人が沢山います。家事をやることの負担、育児の忙しさとかは制度の問題ではないのです。どちらかがキャリアをあきらめる。それも違うと思います。

どこか手を抜いて、やるべきことだけやる。

 ある意味、私はキャリアをあきらめました。子供が死ぬか生きるかの病気だったからです。辞めることも考えました。でも周りの人たちが「この人を辞めさせちゃいけない。」と応援して、支えてくれました。これはキャリアなんか関係なく、自分にとっての宝ものだと思っています。そういう支えがあって今があるって心からそう思える。もっと上を目指す。会社に勤めているとそういう気持ちになるものです。でも、家事と育児を考えると今以上忙しいのは無理だと思いました。

その代償は、素晴らしい息子たちと尊敬する夫がいるということ。

二兎を追う者は一兎をも得ず

そうだと思います。これを自己犠牲と呼んだらすごく損した気分になると思います。一番大事なものを大事にしたから手に入ることなのではないかしら。

自分の時間なんて明け方早く起きた時くらいしかなかったし、あるいは夜中に自分の時間を持ったり・・・年を取ると夜中はまあ無理になってしまいましたが。

振り返ると、もう一回やれたらもっとうまくいくかも・・・そういうこと
たくさんあります。でももう一回やりたいとは思わない。だって必死だったから。失敗と後悔はたくさん持っている。取り返しがつかないと思うことも・・・・
 自分が本当にトンマでおバカだと思うことも。やり直しがきくなら・・・

そう思うけれど、それもないものねだり。

仕事を続けたことで得られるもの・・・それは自分の人生

子育てで得られたもの・・・最高の幸せ

二兎を追っても手に入りましたよ。











この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?