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チョコチップクッキーの冬が来た。

12月に入り学校が早く終わった午後、
長女先生が一緒にお菓子作りがしたいと言い出した。
何がいいかな…?と一緒に考えていて、
彼女が言い出したのはチョコチップクッキーだった。

うちでは毎年クリスマスイブの夜、サンタさんのためにお供え(?)のチョコチップクッキーとミルクを用意しておくのが慣わしだ。
「サンタさんのために作ってあげたいの」
サンタさんの正体を彼女はもう知ってるんだけど、
サンタさんっていう素敵なファンタジーは持ち続けていたいみたいだ。

家にある材料をごそごそと集めて一緒に作り始める。
チョコチップの買い置きがなかったので板チョコを取り出したとき、娘は「私、こっちの方が好き」と言った。

冬にチョコチップクッキーを作るのがすっかり習慣になってから、製菓用のチョコチップを買いだめしていた時期がある。
それを使うのが正しい「チョコチップクッキー」で
板チョコを割って入れるのは正確には「チョコチャンククッキー」と言うので、
チョコチャンククッキーって子どもには言いにくいかなぁ、
でも子どもに間違った情報を教えるのもなぁ、と思ったりしてそうしていたのだった気がする。

ところが長女先生は、
「小さい頃こうやってチョコを割って入れてくれたのの方が、何か『手作り』って感じで好きだったんだ」
とのこと。

私も随分とどうでもいい細かいことを気にしていたものだな。
娘はチョコを器用に包丁で細かく切りながら嬉しそうだった。

二人して粉まみれになりながらクッキー生地を作っていると、
「『今の思い出』って感じ」
娘が微笑みながら言った。

この子はどうしてこんなにも素敵な言葉を思い付くんだろう。
そう、こうやってちょっと特別な日常が大切な思い出になっていくことをこの子はちゃんと感じて知っているんだ。

甘い香りに誘われてオーブンを覗き込む長女。
ああもう一人で覗けるくらいになったんだな。
赤ちゃんの頃は抱き上げて見せてあげてたけれど。

本を読むのに夢中になっていた次女先生をダイニングに呼んで、
焼き上がったばかりのまだ柔らかいクッキーを三人で頬張った。
今回はなぜか11個になったので、
11個を3人で分けたら一人何個?なんて会話をゲラゲラ笑いながらした。

食べ終わって私は、今年初めてクリスマスソングを流した。
ああ、クリスマスがもう少しでやってくるんだな。
ちょっと素敵な予感のする、冬のはじまりでした。

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