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夏至の夜に見る夢には、未来が描かれるのだという。時の節目に見る夢には、未来を告げる力がある、と。1年でもっとも短い夜に、わたしはあのひとの夢を見た。酷い、酷い夢だった。未来を告げる夢ではなく、過去の傷を愛しみながら舐めるような夢だった。 わたしは海辺で幼子を抱いていた。テンプレートのようなぼやけた目鼻立ちに、テンプレートのようなパステルカラーの幼児服を着た、テンプレートのような幼児。概念としてのみどりごは、抱いていてもどこか重さがない。太陽は柔らかに光を注ぎ、白砂の浜はどこ