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恋人はちゃんとわたしに欲情するので、その下腹部に溢れた雫はわたしが舐め取る。うすい塩味、ほのかな粘度、舌先で掬い取ったら水音が立って、ああ、どこまでも、夏だ、と思う。 愛しい熱の塊が、目の前でゆっくりと蕩けていくのを眺めている時間を、幸福と呼んでもいいような気がして、これをなんとかして夏が終わるまで保存しておけないかと、夏の長い町でそればかりずっと考えている。 *** 恋人のからだは無駄はないけれど細すぎず、きれいで、すきだ、と思う。「トルソーのような身体」、という形容