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なにかが足りないけれどなにが足りないのかわからないと思ってしまう夜には、たいてい男が足りていない。 *** 飲み会帰りに、すこし人恋しくなったので彼に連絡してみる。今夜の予定や気分を知りうるほどの距離感ではないから、こういう連絡は一種の賭けなのだけれど、薄く酔った頭は勝算があると弾き出したので、わたしは都合よくその酔いに身を任せる。 平生返信が早い方ではない彼なのに、今日は珍しくすぐにiPhoneが震え、十数分後には彼の車が夜道で白く光った。タイミングや熱量の合う合わな